オーロラ鑑賞から帰ってくるのが2:30近くになるので、今日の日中観光の出発は13:20とゆっくり目である。野生動物保護区の見物とタキーニ温泉に入って、ホテルに帰るのは18:00頃の予定となっている。

ユーコン野生動物保護区

東京ドームの60倍の広大な保護区に10種類ほどのカナダ北部に住む動物が飼育されている。見学はバスで巡回し、動物たちの近くでバスを降りてガイドさんの説明を聞きながら写真を撮ったりして1時間半くらいで一周するようである。

白頭鷲

入口を入ってすぐ右手の金網の囲の止まり木に大きな鳥が止まっており、白頭鷲だそうだ。傷ついた白頭鷲を保護したのだが野生に戻すことは出来ないらしい。頭が白くなるのは5才になってからのようだ。

エルク

保護区で最初にお目にかかる動物はエルクとバイソンである。4~5頭のエルクがいくつかの群れをつくって、午後のひと時をのんびり過ごしているようである。
エルクはヘラジカで、鹿の仲間では1番大きいと思っていたが、1番大きいのはムースだそうだ。雄のエルクは大きな角を持っていて毎年生え変わるそうだ。冬遅くに抜け落ち、8月頃には、また硬い角に成長するらしい。

ウッド・バイソン

エルクの隣の広大なエリアにバイソンが10頭ほどねそべっている。展望台にはパネルでWood bisonと平原バイソン(Plains bison)の違いなども解説されて分かり易い。それによると、森のバイソンは平原バイソンより背が高く、背中の瘤が大きいそうだ。
バイソンは北米の哺乳動物のなかで最も大きくて1トン以上になるようだ。ユーコンには20年ほどまえに再移入され、500頭くらいに増やす目標だったが、現在は1100頭にもなり生態系を脅かす心配になっているそうだ。

シンホーン・シープ

バスが走り始めて最初にストップしたのがシンホーン・シープの餌小屋の前、白い羊と茶色の羊が仲良くならんで微笑ましい。白いのがユーコンで多いいドール・シープ、茶色がストーン・シープである。森林限界のあたりに住んでいて、1500m先まで見通す視力があるらしい。
シンは英語でThin、薄いとか、細い、の意味だと思うが、どうしてどうして太くて曲がった大きな角を持っていらっしゃる。角にある輪で年輪のように歳を数えることが出来るそうだ。

ジャコウウシ

道路を隔てた反対側の広いエリアがジャコウウシのエリアで、遠くに5頭、近くの金網の傍に2頭のジャコウウシがいるようだ。正面からみると如何にも獰猛そうであるが、うずくまった姿は置物のようである。ジャコウウシは一見、バイソンに似ているが、羊やヤギに近く、マウンテン・ゴートが一番近いのだそうだ。古代からの草食動物で9万年前、マンモスなどの時代に遡ることが出来るらしい。

ミュール・ディア

シンホーン・シープの餌小屋から少し進むと、木立の周りに少し小型の鹿が40頭くらい群れて餌を食べたり、腰を下ろしたりしている。ミュール・ディアと云う鹿の仲間で、大きな耳が特徴だそうだ。ミュール・ディアはカモフラージュが上手で周りの環境に溶け込んでしまうので野生のミュール・ディアをみるのは難しいらしい。

マウンテンゴート

この後、1匹だけ隔離されているマウンテンゴートと雪深い山腹を移動している6~7頭のマウンテンゴートを見る。マウンテンゴートはヤギにあらず、アンテロープの仲間だそうだが、間延びした顔はヤギのようだ。

ウッドランド・カリブー

北米に住むトナカイである。鹿の仲間では唯一、雄、雌共に角が生えている。冬には上手に雪を掘ってコケ類を食べ、夏場になるといろいろな草や葉っぱ、柳、マシュルームなど食べ物が広がってくるそうだ。ここには観光客のためにカリブーの角が置かれていて、皆さん角をバックにしたり前にしたりしてカメラに収まったようだ。

オオヤマネコ

小高い丘の林の中にオオヤマネコが1匹いるのだが、ガイドさん指差されないと何処にいるのか分からない。一昔前に流行ったゴルフクラブにlynxがあり、ネコのマークが刻印されていたのを思い出す人も多いと思われる。カナダのオオヤマネコは北極圏まで生活圏が広がり、冬場にはおもにウサギを餌にしている。ウサギが獲れない時はライチョウや小さな動物を狙うとのこと。雄は成長すると10~15kgになり、雌はすこし小さいらしい。

北極キツネ

オオヤマネコの反対側の斜面が北極キツネの住み家である。真っ白の雪の上に真っ白のキツネがいるので近くに来ないと分らない。北極キツネは北極から60kmくらいのところに点在していて、陸上の動物の中では一番北の住人である。毛皮は最も暖かく、足には逆流して熱を交換する高度な機能があるので心臓に戻る血液の温度低下を防いでいるのだそうだ。北極キツネはツガイで一生を過ごし、1回に8匹くらいの子供を産む。ネズミやウサギ、リス、タマゴ、魚などを餌にする肉食だが、果物や野菜を獲ることもあるらしい。

ムース

最後の見物がムース、鹿の仲間では1番大きく、高さは2m以上になり、体重も700kgにもなる。小枝や葉っぱ、灌木など1日に20kgも食べる。大きく垂れ下がった鼻がシールの役目をして鼻の孔に水が入るのを防ぐので水中の魚も獲ることが出来るらしい。


で、ユーコン野生動物保護区の見物はおしまい。

この後、タキーニ温泉はパス。地元で評判だと云うレストランでエルクの肉料理を食べたが、話の種と言う程度であった。