グランドキャニオン観光 その1

連泊するフラグスタッフのホテルはホテルと言うよりもINNという名前がついている通り、モーテルである。 アメニティは何も無いし、朝食も質素である。 ただ、ネットで調べたら観光シーズンのはしりの時期にも拘らず、値段は結構お高かい。

ナバホ族
ホテル出発は遅めの9時、1時間ほど走ったとろでトイレ休憩、キャメロンと云うモーテルなども併設した土産物屋である。 バスのなかで添乗員が話していたところによれば、経営しているのはナバホ族という先住民族だそうだ。 アリゾナ、コロラド、ニューメキシコ、ユタの4州にまたがる地域の7.1万平方キロ(日本の九州、四国と中国地方を合わせた面積の8割くらいの広さ)の砂漠がナバホ族の保留地で、議会や司法など一部の自治権がナバホ族に与えられているそうだ。 添乗員は詳しくは話さなかったが、かって、ナバホ族は何百キロも離れた強制収用所に徒歩で連行され、過酷な道中で多くの死者が出たらしい。

土産物屋にはジュエリー、革製品、手づくりの人形などなどのコーナーに商品が並べられている。 MLBの球団ロゴマーク入りの野球帽は$20、キャメロンマークは$10、で、キャメロンマークを買った。 MLBの中継をみていると観覧席はがらがらの球場が多いが、選手に途方もない給料を払える一端を覗いた気がする。

グランドキャニオン

旅行社はそれぞれ「気の遠くなるような年月を掛けてコロラド川の浸食作用によって削り出された大渓谷、地層の重なりを肉眼で見ることが可能、 最深部の地層は約20億年前と言われ地球の歴史や自然の偉大さをその雄大な景観から感じることができる」と云った謳い文句で旅行者を誘います。

出発が近づいた頃、ウィキペディアやUSGS(US地質調査所)、Grand canyon explorer(Bob Ribokas)などでグランドキャニオンの地層をちょっとだけ齧った。
’Grand canyon explorer´はグランドキャニオンの全てについてメチャクチャ詳しく、地層についても、’それはどのように形成されたか’、’なぜそうなった?’、’いつから’、’すべての岩はどこらきた?’、’どうやって知った’などが詳しく説明されていて、英語も何とか分かる。
解説によると地層は上から;
カイバブ(kaibab)石灰岩層(Pk)2.5億年前
トロウィープ(toroweap)層(Pt)2.62億年前
ココニノ(coconino)砂岩層(Pc)2.65億年前
ハーミット(hermit)頁岩層(Ph)2.7億年前
スーパイ(supai)グループ(Pe、Mpu、Ms)2.85~3.15億年前
レッドウオール(redwall)石灰岩(Mr)3.4億年前
ムアブ(muav)石灰岩層(Cm) 5億年前
ブライトエンジェ(bright angel)頁岩層(Cba)5.1億年前
タピーツ(tapeats)砂岩層(Ct)5.2億年前
ヴィシュヌ(vishnu)片岩層(Xv)6.7~18.4億年前
(P…ペルム紀、M…ミシシッピ紀(石炭紀)、C…カンブリア紀、X…)

で、一番上の地層のカイハブ石灰岩層(カイハブは先住民の居住区の1つ)についてみると;
地層は砂岩の層砂質石灰岩で主に構成され、灰色がかった白クリーム色をしている。Rim(縁)から見るとバスタブリングようにみえみえる(?)。
ブラキオポッド(腕足類)、サンゴ、軟体動物、海ユリや魚の歯などの海の生物の化石が含まれていて、海岸近くの浅瀬で形成されたこと意味し、地質学者はこれらの化石から2.5億年前の地層と判断しているなどなど。

北米大陸がローラシア大陸から分裂して出来たのが6000~3000万年前、なんで2.5億年前のカイハブ石灰岩層を始めとする地層がグランドキャニオンにあるの?と云うことだが、大陸移動図が用意されていて5億年前のユーラメリカ大陸、1.8億年前のパンゲア大陸図にグランドキャニオンがピンポイントされていて分かり易い。

グランドキャニオン見物
デザートビューポイント

11時半過ぎに到着、バスのなかで添乗員が話したところによればグランドキャニオンにはサウス リム(南側の縁)とノースリムがあるが、今日はサウス リムを見学する。最初に東の端のデザートビューウオッチタワーに行き、昼食を兼ねてデザートビューからの絶景を楽しんで下さいとのことでデザートビューウオッチタワーに向かう。

デザートビューウオッチタワーは先住民の遺跡を参考にして造ったタワーだそうだが、ヨーロッパの古城のタワー似ている気がしないでもない。
タワー内の土産物などをちらっと見た後、弁当ランチは得意の掻き込みで済ませてデザートビューポイント、ナバホポイント(?)など周辺に足を伸ばす。
ビューポイントから眺めると、手前には赤茶けた岩肌、右手には切り立った断崖が連なり、少し遠くに目を移すと地層が幾重にも重り、さらに遥か遠くにも地層の連なりが見えて、雄大な景観のなかに何億年もの歴史の重みをずっしりと感じる。

右手のデザートビューウオッチタワーの方角を眺めると、断崖の上の平原にミニチュア火山のような噴石丘(シンダーコーン)が見えて、モノトーンの風景の中に一服の清涼を感じさせてくれる。

コロラド川

ガイドさんがやってきてコロラド川が見えると指差してくれたので、右手の下方を見ると谷底をちょろちょろ流れている感じのコロラド川が見える。
こんな川が1000mもの深さのグランドキャニオン大峡谷をつくったとは俄かに信じ難いが、たしか、’Grand canyon explorer´にもこのあたりの解説があった。
6~7千万年前にロッキー山脈が形成され、その後しばらくしてコロラド川が生まれ、おうよそ千万年前にグランドキャニオンの地域に流入して来た。
17千万年前にはコロラド高原が1500~3000メートルも隆起して、この隆起がコロラド川とその支流の勾配を急峻化し、流速と岩を削る力を増加させた。
さらに530万年前にカリフォルニア湾に繋がったことによりコロラド川の基準面は低下し、流路も変わった。これにより、浸食の速さが増し、120万年前までにはグランドキャニオンのほぼ全体が現在の深さにまで達したのだそうだ。