7時過ぎに朝食をとっていると、二人連れの若い女性が空いてますかと言って前の席に座る。最初の日に見かけなかった顔だが、二人の話によるとツアーの申し込みが遅かったので、関西空港からアムステルダム経由でフランクフルトに着く便になったとのこと。

二人は松山からの参加で、英語もしゃべれない上に、海外旅行が初めてなのでアムステルダム空港の乗換えでは死ぬほど心配だったらしい。
このアムステルダム空港でのトランジットのお話が、後でツアーを和やかにし、二人はこのツアーの人気者になる。ツアーの参加者は30人ほどで、さすがに新婚さんが半分を占め、あと熟年、中年夫婦と女性の二人連れなど、個人参加は一人なのが寂しい。

8時半にホテルを出発。このツアーの添乗員は35~6才の男性で、ドイツの政治、経済や文化などの現状について分かり易い説明の後、ライン川の源流の話や、ドナウ川も同じだが、1320kmの川が何カ国にも亘っても流れるのでヨーロッパでは環境に対して敏感なこと、また、自然の風物を大切にするので橋は極力架けないことなど、さらにライン川が中世から交易の大動脈として果たしてきた役割とか、ライン川沿いに点在する古城の話など豊富な知識が窺える説明が始まる。
ずんぐりした体型だが、今までの旅行で見てきた添乗員のなかでは断トツで、初めてプロの添乗員に出会った感じだ。

リューデスハイム

1時間あまりでリューデスハイムに到着。リューデスハイムは多くのツアーのラインクルーズの出発地で、なだらかな丘陵地に広がるぶどう畑をバックにした小さな町だ。
7年前、デュッセルドルフ出張の際に、1日かけてデュッセルドルフからケルンの大聖堂や古城をみながらライン川沿いをリューデスハイム、さらにライン川とマイン川が合流するマインツまでドライブして貰い、中世がそのまま現在に繋がっているようなゆったりとした農村の風景に魅了されたことを思い出す。
クルーズの出発まで小1時間のフリータイム。150mくらいのゆるやかな坂の両側にワイン酒場、カフェや土産物屋が軒を連ねる「つぐみ横丁」もなつかしい。ロープウエイで登ると巨大なニーダヴァルト記念碑がある筈だが、時間がないので、つぐみ横丁の上の通りで土産物屋をひやかして回る。

ライン下り

出発の時間となり、船に乗り込んでデッキの椅子に席をとるが、5月下旬とはいえ川面にふく風が冷たく肌を刺す。船内に戻り船首のビュッフェでコーヒーを飲みながらトラピックスツアーの家族連れと旅の話をする。さすがにどこでも見かけるトラピックス、すごい。
ライン川の両岸には教会を中心にした家並みの集落が点在し、中世のまま時間が止まっているようで豊かな風景が見えてくる。

古城はラインシュタイン城、ライフェンシュタイン城、シュターレック城や川の中州に建つプファルツ城、シェーンブルク城などがパノラマのように展開し、シェーンブルグ城を過ぎるとローレライが見えてくる。船内で流れてくるローレライの歌を聴きながら昼食をとる。
7年前には山の上からライン川を見下ろしたが、今回は船上からローレライを見る。
ローレライは、伝説は魅惑的だがただの岩山、皆さんがっかりするようだ。
ついでに昼食のポテトとソーセージも、味はもう一つ。
ローレライを過ぎ、ねこ城が見えるボッパルトという処で、2時間40分のライン川クルージングが終わる。

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