いよいよドイツを後にしてスイスのルッチェルンまで300キロの旅。
道路を走る車も賑やかで、添乗員がこれはスイスの車、あれはドイツ、次のはベルギー、あっ、イタリアの車が来ました、大型トラックやバンなど商用車が多いでしょうなどとしゃべり始める。EUは経済の障壁をなくし、域内の物流が活発になっているので道路を走る車も国籍パレードのようだ。

「EUは今年の5月に新たに10カ国が加盟して25カ国になっています。人口は4億5千万人でアメリカの2倍、GDPもほぼアメリカに匹敵します。
2002年にユーロが導入さましたね、われわれ旅行者にとっては再両替のロスがなくなり大変助かりますが、ユーロという単一通貨を導入するということは、自分の国の通貨を永久に放棄することなんですよ、国家の主権の一部がなくなるんですよ、すごいことをヨーロッパ人はしますねえ。」と、添乗員の滑らかな口が全開になる。
添乗員の説明を聞いて、神聖ローマ帝国にしても、EUの拡大にしてもヨーロッパ人は根っこの処では古代ローマ帝国への憧れがあるのかなぁと自問する。

その後、スイスの話、ツアーの裏話しなどは、お昼に飲んだドイツ最後のビールも手伝って子守歌になる。オーストリアやリヒテンシュタインの国境を越えたり、ボーデン湖やバーレン湖やチューリッヒ湖などの湖畔を走っているはずだが記憶が定かでない。

ルッチェルン

バスはルッチェルン市内に入り、ホテルの前に止まる。ルッチェルンのホテルもミュンヘンに続いて市内のホテルだ。このあと、徒歩での市内観光と夕食が今日の予定。
ルッチェルンはルッチェルン湖にそそぐロイス川の両岸に城壁に囲まれた中世の街並みが広がる町、市街を歩いているとフレスコ画が描かれた建物もある。

最初は瀕死のライオン記念碑、小さい濠があり、その向こうの岩肌の洞穴になんとも悲しそうなライオンが横たわっている。フランス革命の時、チュルリイ公園でルイ16世を守って全滅したスイス傭兵の死を悼んでつくられた碑とのこと。そういえば現在でもヴァチカンの衛兵はスイス傭兵が勤めていて、スイスは昔から傭兵の兵站地のようだ。
次にロイス川に斜めに架かるカペル橋の袂で、橋の説明を聞く、この橋は14世紀前半に造られたヨーロッパで一番古い屋根付き木造橋。17世紀になって梁に歴史物語や町の守護聖人などの板絵が飾られている。残念ながら1994年に橋の3分の2が火災で焼失し、修復したもの。
で、30分のフリータイムの後、夕食。