いよいよウユニ塩湖に入る。が、その前にウユニ塩湖の成り立ちを旅行社のパンフレットなどから少しだけ。
何百万年も前にアンデス山脈が隆起した後、ウユニ塩湖のあるこの地には海底が持ち上げられた内海のミンチン湖やタウカ湖があったと云われている。流れ出る川のない湖がやがて干上がっていくと海水中の塩分が固まって巨大な塩の塊が出来た。

そうした塩の塊の最大のものがウユニ塩湖で大きさは120×100km、四国の半分くらい広さがあり、約20億トンの塩があると考えられている。そのウユニ塩湖は高低差が50cmほどしかない真っ平な塩湖なので見渡す限り真っ白な世界が広がっている。高低差がほとんどないので雨季に雨が降り、うっすらと冠水すると天空の鏡張りが出現する、のだそうだ。

塩湖に入る途中に慰霊碑がある。確か8年ほど前に4WDどうしの衝突があって何人もの観光客が死亡、日本人も4名か5名、犠牲になったと聞いたことがある。われらのドライバーさんには安全第一でお願いしたい。

30分ほど走ったところで4WDを降りてウユニ塩湖に立つ。
遥か遠くの山際まで見渡す限り、白、白、まるで雪景色のような世界が広がっている。話にはウユニ塩湖は巨大な塩の塊だと聞いていても、実際、目の前にする白銀の世界が全部塩だとは感覚的には信じ難い、なので、指先にのせてちょっと舐めてみる。いつも使用している塩よりしょっぱい感じだが、塩であるに違いない。

さて、お仲間の皆さんは、あちこちカメラを向けたり、中にはトリック撮影を始める人もいるようだ。

他方、ガイドさんや添乗員たちが手際よくランチの準備をしてくれて、ウユニ塩湖でのピクニックランチとなる。メニューは今朝のボックスランチとあまり変わらないようだが、早朝のためほとんど手を付けなかったこともあって、遅めのお昼を美味しくいただく。

ランチの後はトリック撮影

お馴染みの怪獣に踏みつけられる人間たち、風船の上にのる小人たち、風船の上で吹き飛ばされそうな小人、スナック菓子の容器や袋から首を出す小人たち、2つに割ったリンゴの中で持ち上げようとする小人などなど、皆さん趣向を凝らしたトリックグッズで結構楽しまれている。自分もちょっとだけ参加させて貰った。

ウユニ塩湖は真っ白な塩原がずっと続き背景に何もないので遠近感が無くなる。なので、トリック撮影が可能になるようである。高級カメラはそのままでは背景がボケるので、絞りをしめ、ズームを使わないように設定を変えておく必要がある、ごく普通のデジカメの方が適しているとのこと。

トリック撮影の後、少し水が溜まっている地区に移動する。辺りは1、2cmほどうっすらと冠水しているようだ。塩原のデコボコがあったりするので、カメラ位置によっては太陽の光を反射して泡立っているように見える。少し移動するとトゥヌパ山が湖面に映り、山系に湧く雲が映ったりしている。

さっそく、われらのお仲間は自転車で走ったり、UYUNIの人文字を湖面に映したりと忙しい。

説明会の時、担当者が今シーズンの雨季は12月の終わりころから2月の初め頃まで雨が全く降らず困った。2月の中頃、大雨があり、もう1回降ってくれるとありがたいのだが、雨がないとツアーの車が80台も90台も水のあるところに集まって大混雑となると言っていた。

逆に云えば、ウユニ塩湖は高低差が最大50cmしかないが、程度はあるにしても雨が降らなくても水が溜っているところがあるので旅行社はそれなりの自信を持っていると云うことらしい。

天空の水鏡と夕日

さて、天空の水鏡と言っても、雲が水鏡に映り込み天と地の境目がなくなる絶景が現れるのは晴れ間7割がベストと云われている。

その雲を求めて移動すること1時間、ガイドさんが図示してくれたWATER ROFLEXIONを遠くに望む場所にやってきた。晴れ間と雲が半々くらい、いくつもの小島(ウユニ塩湖には32の小島がある)が雲の中に浮かんでいる感じである。少し望遠で見ると何台かの車も雲の上に止まっているよう見える。雲が水鏡に映り込み天と地の境目がなくなるのはこう云うことなんだと感嘆する。

(実は、スリランカのシーギリヤロックの断崖に描かれている妖艶なシーギリヤ・レディ(女官?、天女?)は雲の中から現れたように描かれていたので、雲の中から湧き出るような画像を密かに期待してカメラをガイドさんに渡したのだが・・・・・ 被写体がいかにも悪すぎる)

6時半を過ぎる頃になって空がだんだんと金色を帯びてきた。そして10分もすると太陽は山ぎわに沈み込みながら最後の輝きを見せるが、辺り一面は茜色に染まってきた。女性のシルエットが何だか寂しい感じがしないでもない。

出発前に調べたところでは、ウユニの今日の日没は6時47分である。太陽が沈んだ後、 茜の勢いが強まりこの世のものとも思えない風景となって、何の脈絡もなくふと‘ここはお国を何百里、はなれて遠き満洲の赤い夕日に照らされて、友は野末の石の下’と口ずさむ。学徒動員された先輩が酒の席で1番から14番まで延々と歌っていたのを思い出す。

夕日観察の後はホテルへ、ウユニ塩湖湖畔に建つクリスタル・サマーニャは全部塩でつくられている。

レセプションや廊下にも雪だるま、白鳥、シロクマなどの塩で作られたオブジェが置かれ、なんだか気が休まる。レセプションのお兄ちゃんも気軽にカメラにおさまって呉れた。

晩ご飯の後、星空観察が予定されているが、今晩は風が強くて星空が湖面に映り込むのは無理と聞いたのでパスする。