伊丹空港のJALのカウンターでダラスまでの搭乗券を発行して貰う。機内預け荷物のタグは最終目的地のラパスになっているが、ダラスで一旦ピックアップして、また、預けることになるので注意してくれとのこと。
航空会社はアメリカン航空、JALと同じワンワールドに加盟しているのでマイレージを貯めることが出来るし、JALのグローバルクラブ会員に与えられたサファイヤのステータスでアメリカン航空のラウンジも使えて乗り継ぎ待ち時間の退屈さもしのげるのでちょっとお得感がある。
成田での乗り継ぎ時間は1時間しかない。超スムーズな乗り継ぎで11:50に離陸する。

今回のツアーの日程は9日間であるが、ラパスに2日、ウユニ滞在は3日となっているので残りの4日は移動時間である。直接の飛行時間は20時間半ほどなので、残りは乗り継ぎ待ち時間である。行きと帰り、それぞれホテルでの休憩と宿泊が設定されているのが有り難い。

で、水平飛行に移って食事の後、旅行社の旅行資料、ウユニ塩湖ハンドブックを開く(この旅行社の旅行資料と云えば目的地の地図以外のものを見たことがないが、さすがにウユニ塩湖観光のパイオニアを自負するだけあって観光ハンドブックを用意してくれている)

ハンドブックによるとボリビアの基本情報などは次のようである。

ボリビア基本情報

国名 :
ボリビア多民族国(2009年、ボリビア共和国からボリビア多民族国に変更した)
面積 :
1.1百万m²(日本の3倍)
人口 :
1067万人(先住民55%(ケチュア、アイマラ)、メスティーソ30%、ヨーロッパ15%)
首都 :
ラパス(憲法上の首都はスクレだが最高裁判所以外の国家機関はラパスにある)
宗教 :
キリスト教93%(カトリック76%)
言語 :
スペイン語、ケチュア語、アイマラ語のほか36の先住民言語
GDP:
330億ドル(3035ドル(1人当たり))
通貨 :
ボリビアーノ(17円/1ボリビアーノ)

ボリビアの歴史

先コロンビア期(BC1500~AD1533)

BC1500年頃、チチカカ湖(現在、チチカカ湖のおおよそ西半分はペルー、東がボリビア領となっている)の動植物を採取、狩猟する生活が湖の東岸に営まれていた、チリパ文化と呼ばれている。
BC200年に入るとその東岸にティワナク文化が出現した。この文化は1150年頃まで続いたとみられ、特に300~500年には大規模な祭祀建造物が建てられるなど大きな発展がみられた。
15世紀後半に入るとインカ帝国に征服される。

植民地時代(AD1533~1825)

インカ帝国に続きボリビア地域もスペインにより1533年頃に征服され、植民地化される。16世紀中ごろ南部のポトシで銀山が発見され、ペルーなどからインディオが連れて来られ強制労働させられた。標高4000mを越える鉱山での労働は苛酷を極め、多くのインディオが犠牲になった。18世紀後半になると銀山の埋蔵量が枯渇し始め、社会経済が不安定になり暴動や反乱が多発し始める。
19世紀初めにはラパスで独立革命運動が起きるが鎮圧されム首謀者のリーリョは処刑される。

独立から内陸国化(1825~1938)

シモン・ボリバルやアントニオ・スクレが率いる解放軍によりスペインを追放、独立 するが、利権が渦巻く不安定な国内事情もあって、周辺国との戦争に相次いで敗れ、国土の半分を失う。殊にチリとの戦いで海への出口を失い内陸国になってしまう。

近現代(1938~)

「黄金の玉座に座る乞食 」と揶揄されるほど天然資源が豊富なため、その利権に群がる財閥や外国資本と鉱山労働者や農民との闘争が絶えなかった。そのためクーデターが頻発し、軍事政権・文民政権がくるくると交代する不安定な政治状況が続いた。そうした中、チェ・ゲバラが潜入、革命運動を展開するが失敗、処刑される。 その後、中南米を襲った債務危機でハイパーインフレーションが起こり、破たん状態になるが、思い切ったデノミや経済改革により危機を乗り切った。
2006年、先住民出身のエボ・モアレスが大統領になり外資企業の国有化や大農園の先住民への再配分行っている。近年では大規模な天然ガス田が発見され、またウユニ塩湖のリチュウム資源など国内の豊富な資源をもとに長いトンネルを脱しつつある。

ざっと、見たとろボリビアは南米の中で先住民族の比率が圧倒的に高いようだ。その歴史はスペインの植民地の過酷な圧政を脱した後も近隣諸国に国土の半分を奪われたり、国内の権力闘争が頻発したりして南米大陸の最貧国、「黄金の玉座に座る乞食」の状態が続いたようだ。
近年は政治的な安定を取り戻し、先住民出身のモラレス大統領が天然ガスなどの収入を元に先住民にも目配りをした政策を実施しているようである。
資源価格がここ2~3年暴落しているが、貯め込んだ資源マネーでしばらくはやって行けそうだし、IMFもモラレス政権の財政運営に一定の評価をしているらしいので3~5%の成長は続くのかも知れない。ま、なんと言っても将来的にはボリビアにはウユニ塩湖に眠るリチュウムがある。ボリビア経済を食い物にされないようにリチュウム開発をするにはモラレス大統領の手腕がかかっていると言えよう。

さて、ダラスには定刻より40分ほど早い7:25に到着する。手荷物検査ではジップ袋を別にしてコンベアーに乗せて、何の問題もなく検査をパスした。
(この後も旅行の間、十数回ジップ袋を別にして手荷物検査を受けたが、ラパスも含めて何も指摘されることはなかった。ルールに従っていることなので、旅行社の言うように没収されることなど起きるはずはない)

ダラスからマイアミは3時間弱、空港のホテルで休息がとれたので体力は十分回復したと思ったが、マイアミ~ラパスの7時間がきつい、もともと姥捨て年齢であるうえに腰痛があるので、腰にサポーターを巻いていてもあまり効果がない。時々、後ろのキャビンのところで腰を伸ばしたりして何とか誤魔化しながら、早く着いてくれと祈る。