キリキリ展望台

トイレ休憩をかねて、もう1つの展望台キリキリに向かう。実は、公共のトイレがキリキリ展望台にはあるのだが、トイレのおばちゃんが来るのが9時なのでムリリョ広場の見物を先にしますと云うことであった。

広場に上がるとちょっとした公園になっている。柵に沿って回るとほぼ360度、すり鉢の底の高層ビル群からすり鉢の縁にへばり付くように赤茶けた建物がびっしりと並んだ絶景を展望できる。

観光客には絶景でも、住んでいる人々にとっては地震が起きたら大変だろうと心配になるが、ガイドさんの話ではラパスには地震はないんだそうだ。その代わりと云うか、もともと地盤が弱いのでちょっとした大雨でも降ると水害やがけ崩れなどが起きたりするので、立ち退き勧告が出ることがあるらしい。

展望台の端に立つと、すり鉢の彼方にイリマニ山が見える。高さが6439m、ボリビアで2番目に高い山である。ワイナポトシは優雅な感じであったが、こちらはごつごつと男性的である。

すり鉢の底の方を眺めていると高層ビルの間にサッカー場が見える。バスの中でガイドさんが話していたが、ボリビアはサッカーが強い、それもホームでは圧倒的に強くてブラジルやアルゼンチンにも負けないらしい。南米サッカー連盟で2300m以上の高地での試合をやめるよう提案が出たたが、うやむやになっているらしい。

丁度、我々がウユニから戻ってくる10日にはアルゼンチンの名門、ボカ・ジュニアとの試合があるそうだ。

おばちゃんプロレスラー

再び、すり鉢の底に戻り、両替屋に向かってサガルナガ通りを歩いていると、ふわっとした真っ赤なスカートにショール、頭に黒い山高帽を被った2人のチョリータに出くわした。ガイドさんの話では彼女たちは女子プロレスの選手だそうで、ラパスではおばちゃんプロレスがすごい人気があるらしい。写真を撮ってもいいと云うことで、カメラを向けると迫力充分のファイティングポーズをとってくれる。

両替の方は$20~50くらいを皆さん両替されたようだが、$も使えるし、カードも使えるところがあるらしいので遠慮する。

昼食

昼食はニュー東京と云う日本食のレストランである。ツアーでは日本食は普通、旅の最後の方に出されることが多いが、添乗員の話では、今回は皆さん長旅でお疲れなので最初に日本食を用意したとのこと。

白ご飯にみそ汁、ほうれん草のお浸、きゅうりの和えもの、煮物、煮魚、てんぷら、食後はお餅の入ったぜんざいが出るなどそれなりの日本食であったが、高山病の影響なのか箸をつけず席を立つ女性も3人ほどいたようだ。

今の時期、9日間の休みをとるとなれば、出発の前日遅くまで仕事に追われ、加えて睡眠不足の長旅で若い人でも体調を崩して高山病の症状が出やすくなるらしい。

この後、スーパーマーケットに寄る。ラパスではスーパーを利用するのは高所得者層で、一般の人々は市場などで買い物をするのだそうだ。けっこう品揃えは豊富な感じであるがガイドさんの後をついて回っただけなので野菜や惣菜コーナーなどどうなっているのか分からない。土産物用にチョコレートとチアシードを買って、おしまい。

月の谷

スーパーでの買い物の後、小1時間ほどで月の谷に着く。
半地下通路を抜けると、前面に泥色の尖塔や割れ目などが連なった光景が広がっている。ガイドさんによればこの月の谷は氷河によって削られた土が堆積して出来た粘土と軟らかい砂岩の地層が風雨によって浸食されて出来たものだそうだ。

カッパドキアは繰り返し起きた火山の噴火で火山灰と溶岩が積み重って出来た地層が雨風によって浸食されていく中で、軟らかい凝灰岩層は早く削られ、固い溶岩層は浸食が遅れる。浸食が遅れた溶岩層が頭に残って、きのこのような奇岩群が出来たと教えてもらった。

目の前のデコボコの崖は岩と云うより土の塊のようである。本当の月の谷がどんな風景なのか知らないが、荒涼とした風景を想像するなら、目の前の景色は上部に人家があったりするのでちょっと違う。

ネーミングはよろしいようだが、ただの荒れ地に遊歩道などを作ったりして無理やり観光資源にしたようだ。で、途中で引き返す。