昨日は薄暗くてよく分からなかったのだが、朝起きて周囲を見回して見ると、バンガロー風のコテッジが林のなかに点在していてなかなか趣のある宿である。

サンタ・エレナ~カナイマ

今日はサンタ・エレナからカナイマにセスナで飛び、カラオ川をクルーズしてエンジェルフォールのキャンプまで行くことになっている。

添乗員によれば、カナイマへのフライトの途中で運がよければエンジェルフォールが眺められるかもしれないそうだ、また、カラオ川クルーズでは1時間ほど走ったところに早瀬があり、一旦ボートから降りて陸地を歩かなければいけない所もあるらしい。

7時15分にホテルを出発、すぐにサンタ・エレナ空港に着く。

空港は国際線も飛ぶ新空港。出来たばかりだそうで、新機器が導入された手荷物検査室、モニターテレビを備えた待合室、旅行社のオフィスなどもあってピカピカの感じだ。

で、ルエパの空港からサンタ・エレナまでガイドを主導してきたウヴェさんとはここでお別れである。ロライマのパンフレットにも名前の出ているほどの豊富な知識と精力的なガイドで楽しませて貰ったし、ウヴェさん自身のデジカメの画像をCDに落すことに快く応じて貰ったし、感謝、感謝である。

挨拶の最後で‘ツアーでも個人でもカラカスまで来て貰えれば、ギアナ高地のことならどんな要望にも応じます’と言われたが、その元気は起きてきそうもない。

2機に分かれて、9時すこし前に離陸、カナイマに向かう。 上昇するすぐに厚い雲に覆われて何にも見えないので不安だが、雲の中を突き進んでいてもセスナはあまり揺れを感じないのが救いである。ところどころで雲のきれるところがあり、下をのぞくと森また森で人の住んでいる気配は全くない。

1時間ほど飛んだ頃、下をみると一瞬、ごつごつとしたテプイの頂上が目に入る、アウヤン・テプイだろうか?エンジェルフォールは何処だろうかと目を凝らすが厚い雲に遮られて拝むことはできない。日程では明後日、エンジェルフォール遊覧飛行があるので次ぎのチャンスに期待、と思っていると蛇行する川が見えて来た。

これからエンジェルフォールに向ってクルーズするカラオ川だろうかと思案しているうちにカナイマ空港に着陸する。すると、後から飛んだ2番機が先に着いている、我らの機長はエンジェルフォールを何とか見せてやろうとサービス飛行をしていたのかもしれない。

カナイマ~ラトンシート島、クルーズ

空港でガイドのデイビッドさんと合流、すぐ近くのホテルに向かう。彼はサンタ・エレナでキャンプ用のハンモッグや食材を買い込んで、シウダー・ボリバル空港からこのカナイマに先回りしていたのだ(シウダー・ボリバルはプエルト・オルダスの近くだが、サンタ・エレナからシウダー・ボリバルまで空路だったのか、陸路だったのか聞くのを忘れたが、膝を痛めていて大変な強行軍だったようだ)

1泊に必要なもの(洗面具だけなんだが)だけ持っていよいよエンジェルフォールに向かって出発する。

カナイマ湖に流れ落ちる豪快な滝をみながら波打ち際を5~6分歩き、小さな発電所(カナイマのホテルなどに電気を供給している)の階段を登って道路に出ると、一番手前に見えていたウカイマの滝の落ち際が目の前、水量がすごい。

近くにエンジェルフォールの案内板が立っており、デイビッドさんがその案内板を見ながらからクルーズのあらましを説明してくれる。

さらに10分ほど歩いてプエルト・カナイマというボートの乗り場に着き、ライフ・ジャケットを付けてカラオ川クルーズが始まる。

20分ほど走るとマユパの早瀬という難所があってツアー客は一旦、ボートを降りて陸路を歩かなくてはいけない。朝の説明では陸路を1時間ほど歩くということであったが、あちこち写真を撮りながらゆっくり目に歩いて35~6分でボートに乗り場に着く。(帰りに普通に歩いて時間を計ったら20分ほどであった)

再び、ボートに乗り込みカラオ川を遡る。船頭はペモンの若者2人、年長の方が舳先に陣取り、手を僅かに振ったりして後方の助手に進路の指図をしている。

上空は黒い雲に覆われて今にも降り出しそうな気配であるが、アラウタイマ早瀬という急流を乗り切ったり、どっさっと横波に襲われて水浸しになったりしながらも、ほとんど雲に覆われたテプイが走馬灯のように次々と現れて退屈することがない。

2時過ぎにオルキディア島に着いて、添乗員が早起きしてつくったというすし太郎で昼食。(ツアーのおしまいの頃に、添乗員がソーメンを作ってサービスをするツアーがあると聞いたことがあるが、このツアーではすし太郎を作ったり、日本から持参した白米を炊いたり、梅干や佃煮昆布がいつも出たり、お八つが出たり、食事の時のドリンクもフリー、ミネラルもいくらでもタダで飲めると言う、てんこ盛りのサービスぶりである。そもそも入国カードからして旅行社が記入済みのものを用意して呉れている(用紙は添乗員がイミグレーションで次のツアーのために取り込んでおくらしい)

競争会社が少ない秘境ツアーでは旅行料金がベラボーに高く設定されているが、こうしたサービスが高品質のツアーだと考えているのであれば独り善がりも甚だしいと思う)

貧乏人の僻みはさておいて、食後、再びラトンシート島をめざして出発、しばらく走ったところでカラオ川にお別れしてチュルン川に入り、アウヤン・テプイの懐深く分け入って行く。

アウヤン・テプイ

アウヤン・テプイはギアナ高地のなかでも最大級のテプイで、標高は2600m、頂上台地の面積は700平方キロメートル、大阪市の3倍もある。

THE LOST WORLD によれば、アウヤン・テプイはペモン族の言葉で‘悪魔の家’を意味すると言う。最初にこの地を探検したアルメラダの話では先住民はアウヤン・テプイを極端に恐れ、山に近づく前に顔に赤いペンキを塗ったそうだ。

こうして白人がやってくる前には先住民は悪魔の家を怖れ、忌み嫌って近づくことがなかったのでアウヤン・テプイを流れ落ちるエンジェルフォールは太古の昔より空を飛ぶ鳥だけが知っていたのかもしれない。

さて、チュルン川を遡るにつれて川幅がだんだんと狭くなってきて流れも速くなってくる。水深のないところでは船底がギーギーと鳴り不気味である、カイマンの急流では舳先の船頭が櫂を岩に押し付けて岩場をすり抜けたりしてスリル満点、なんとか無事にラトンシート島のキャンプ地にたどり着く。カナイマを出発したのが12時過ぎだったので5時間あまりのクルージングである、ご苦労、ご苦労。

ラトンシート島キャンプ

ジャングルを切り開いた空き地に屋根と柱だけの小屋が建っているのがラトンシート島キャンプで、新旧2箇所あり、われらのお宿は新しい方である。
作りかけて放置されたような更衣室、トイレは旧の方にあるらしいが青空トイレも利用可、野趣溢れている。

早速、デイビッドさんが持参したハンモックを柱と柱の間に吊るしていく、蚊帳付きだがベープのスウィッチは入れておいた方がよさそうだ。一方、船頭は小屋の隅で、小枝に突き刺した鶏を焚き火の周りにつき立てている、夕食は鶏の丸焼きらしい。今夜のお客さんは白人のグループがもう1組、後からやって来てさっさと食事を済ませて要領がよい。

サラダに、鶏の丸焼き、デザートは西瓜と豪華な食事の後はすることもないので、ハンモックの試乗をする。後ろ向きになって右手で奥側、左手で手前を掴んでハンモックを広げるようにして腰をおろし、斜めに背を伸ばすのが安定させるコツである。

なかなか快適だが、ハンモックとハンモックの間隔がなく腕を少し動かしただけでも隣の人に当たるので気を遣うこと甚だしい。