チバトン周辺観光

8時半過ぎにロッジを出発、ギアナ高地の観光が始まる。といっても、まる2日かけて日本からギアナ高地の入口に辿り着いた強行軍の疲れもあり、今日はギアナ高地のグラン・サバナ(大草原)にご挨拶といった程度のスケジュールとなっている。

昨日は1号車でさんざんな目にあったが、今日は入れ代わって2号車である。
車は同じ4厘駆動だが、さすがプロのドライバーだけあって、ラテライトの道路のあちこちに出来た水溜りや凸凹を巧みに避けて揺れをあまり感じさせない。

はるか彼方にテーブルマウンテン(テプィ)を望み、どこまでも続く雄大なグラン・サバナの真っ只中を1時間あまり走ってイボリボ村に着く。

イボリボ村はペモン族の人々が暮らす村で、彼らは焼畑農業や川や森で狩猟をしながら生活しているのだが、最近は観光客相手のガイドや食事の賄などに従事する人が増えているそうだ。イボリボの由来はガイドさんの話では、ペモンの小さな男の子の名前から来ているそうで、その子が近くの川に落ちて亡くなり、亡霊が近所に出るという噂が広まり、村の名前になったそうだ。

チナクの滝 (アポンワオ滝)

今日の最初の観光はチナクの滝。ウヴェさんによれば、数あるグラン・サバナの中でも随一の美しさを誇る滝なのだそうだ。

広場の脇から、ライフジャケットを着せられてカヌーのようなボートに乗り込む。1枚の座板に2人ずつ座るので15~16人くらいは乗れそうだ。船の操縦はペモンの青年、助手に妹がついている。

ボートにはヤマハの船外機がついていて快調に走り出す(後で見物したカナイマでもそうだが、ボートにはたいてい性能のよいヤマハの船外機がついている)

アポンワオ川の川幅は200~300mほど、両岸に鬱蒼と生い茂った原生林が続き、ところどころで木の幹にできたバスケットボールのような蟻の巣や、黄色い大きな花をつけたイッペイなど見ながら20分ほど走ってボートを降りる。

草原の丘をしばらく歩いていると地響のような轟音が聞こえてくる、チナクの滝のである。滝の上から覗くと、雨季で増水した2条の滝が途中で合体し怒涛のように流れ落ちるさまは壮観である、滝の落差は107mと言う。

滝つぼまで降りられると言うことで、ジャングルの中を下りていると早速、蚊の洗礼を受ける。虫除けを塗り、携帯用のベープをONにしていても効果はあまりないようだ。

20分ほどで滝つぼに降り、下から滝を見上げると、なるほど、ウヴェさん一押の通り美しい。滝の落差だけなら日本の那智の滝などこの滝に負けないが、雄大さと美しさでは敵わない気がする。

愚考するに、それは滝の壁面の広がりにありそうだ。滝の左右の緑の密林と赤黒い絶壁はまるで翼を広げているように雄大であり、少し離れて見ると一隻の屏風を見るような美しさを醸し出しているように思うのだがどうだろう。

Ptari Tepui

イボリボ村に戻り昼食のあと、ペモンの人々の居住区となっているモノ村に向う。途中、遠くに大木の切り株のようなテーブルマウンテンが見えてきて写真ストップ。添乗員の通訳では、ペッタハ・テプイと聞こえたのだが、宿に帰って、THE LOST WORLDを見たら、Ptari Tepuiのことのようだ。ペーテーアリ・テプイと発音するのかもしれない、ペモンの人々の言葉でパンを焼くオーブンの形からPtari Tepuiと名づけられたとのこと。数あるテプイの中でも特異の形をしたテプイとして有名なんだそうだ。(残念ながらペッタハ・テプイの写真はシロクロになってしまった)

草原と密林?

さて、つい先ほどまで、アポンワオ川の両岸の原生林やチナクの滝の周りのジャングルを見てきたところだが、30分もしない内に再び大草原の中に身をおいている。ジャングルと草原が同居しているような感じである。

プエルト・オルダス~ルエパのセスナからはジャングルが一面広がっているのが見えたし、テーブルマウンテンの麓は鬱蒼とした密林に取り囲まれているようだ。そもそも、ここギアナ高地は標高1000mの高原とはいえ赤道直下の北緯5度、年間雨量は4000mmを越えている。熱帯雨林に一面覆われていてもおかしくない筈だが、ルエパのあたりからサンタ・エレナまで200km以上にも亘って草原が広がっているようだ。どう言うことなんだろう?

アポンワオ川を走っている時、密林の間に黒く焼け焦げた木が無残な姿をさらしているのを何度か見たが、ペモン族は焼畑農業をすると言われているので、密林に火を放って畑にしたり、猟に出た男どもが村との連絡に森に火をつけて狼煙を上げたり、また、交通路の確保のために林を焼いたりなど火を利用していたものと思われる。このような場合、時には収拾のつかない大火事になり密林が一挙に消えてしまうことがあったのではないだろうか?

長年の間に熱帯雨林がだんだんと姿を消し、現在のジャングルと草原のパッチ・ワークのようになってしまったと思われるのだがどうなんだろう。