ブロッキニア

麓に近づき、草原が一面黄緑色に染まったように見えてきて写真ストップ、ブロッキニアが群生しているのだ。

ブロッキニアは太陽の壷と言われるヘリアンフォラと同じ食虫植物である。数枚の葉が重なり合い、その中に水を溜めるようになっている。その水は甘い蜜のような匂いがして虫を誘引すると言う。水は強い酸性なので落ちた虫は助からないそうだ。ギアナ高地は土壌がラテライトであるうえに大量の雨が栄養分を流してしまうので自ら栄養補給することが出来ず、虫を取って養分にするらしい。

ヘリアンフォラやブロッキニアはギアナ高地だけに自生する食虫植物でよくロライマ山などの頂上で見られるが、1000mもの断崖絶壁に囲まれているため頂上と麓の間での生物の行き来は不可能で、テプイの頂上の生物は数千万年も間、独自の進化を遂げたと言われている。

だが、こうしてテプイの頂上と麓に同じ植物が見られるのは、ウヴェさんによれば、テプイの形成についての見方の1つの証拠を提供するのだと言う。テプイの形成については隆起説と侵食説があるが、頂上と麓に同じ植物があるのはテプイが侵食によって形成されたことを裏付けるのだそうだ。

食用蟻

道路沿いの草原のあちこちで、現地の人たちが何か捕っているように見えてきて、また写真ストップ。

土盛りのようなところをよく見るといっぱい穴があいている、どうやら蟻塚のようだ。こうして捕った蟻はあのユカ芋から作るクマチェの風味出しや佃煮のように加工したりしてペモンの人々の大切な食材になるようだ。雨季に入ったこの時期が蟻捕りのベストシーズンらしい。

再び、サンフランシスコ・ユルアニ(人も車もほとんど通らないのに銃を持った警備兵が検問をしている、コロンビアからの麻薬ルートにでもなっているのだろうか)に戻り軽食をとった後、12時過ぎ出発。パン・アメリカンハイウェイを走る。

ハスペの谷

20分ほど走ったところにハスペの谷がある。草原を5~6分歩き、密林を下りていくと小振りな滝があるが、谷間を流れる川の底は赤い色の岩でおおわれている。
この赤い岩は10kmも続いているらしいが、赤い岩は碧玉という一種の宝石だそうだ。

ギアナ高地はダイヤモンドや金を産出すると言われているが、太古の昔にギアナ高地を隆起させたエネルギーがダイヤモンドや金、碧玉などの豊富な鉱物資源をもたらしているのかも知れない。近くのサンタ・エレナの町には今もダイヤモンドや金を扱う業者が屯していると言う。

しばらく走ったところでまた写真ストップ。

ジェラシックパークの撮影が行われたところで、恐竜が逃げ込んだのが右手の林だと説明される。いかにも恐竜が出てもおかしくないと景色だと納得。カメラのシャッターを押して今日の観光はお仕舞い。

サンタ・エレナ

3時前に、今日の宿泊地のサンタ・エレナに着く。サンタ・エレナはブラジルとの国境の町である。シモン・ボリバルの銅像がある公園の前のレストランで中華料理の昼食、久しぶりに食べ慣れた食事にありついた感じでお代わりもして満腹になる。食後、時間があるのでブラジルとの国境に出かける。

国境といっても、ここではそんなに厳しい入出管理が行われているわけではないので、現地の人はお互いにパスポートなしで出入りしているそうだ。ブラジル人は産油国の安いガソリンを入れに越境してくるし、ベネズエラ人は日用品などをブラジル側に買出しに行くらしい。

両国の国旗が並んでいる国境地点で写真をとって、緩衝地帯を進んでいくとブラジルの出入国管理の建物が見えてくるが検問所の前には誰もいない。それもそのはず、中華料理店のテレビでFIFAのコンフェデカップでブラジルがイアリアをリードしていたので、担当者も検問どころではないらしい。

金細工や日用品、土産物などが並んだ商店街をぶらぶらした後、今日の宿に。