8名以上12名限定の催行条件であるが、最後の1~2名がなかなか集まらないようであった。期限近くになって催行決定となり、大阪でも説明会をすると言われて旅行会社の大阪事務所に出向むくと、ご夫婦1組が先着されている。温厚そうなご主人と上品な奥さんなので、秘境ツアーと言ってもヨーロッパ旅行とあまり変わらないんだと安心する。旅行社の担当者も人あたりがよく説明も丁寧である。

出発の4日前に添乗員コールがあって、保険のことを根掘り葉掘り聞かれる。いつもは保険料が2,000円程度の保険にしているのだが、今回は傷害死亡、後遺症障害を限度一杯掛けている。そのことを話すと添乗員は納得したようだが、今回のツアーには危険が伴っていることをあらためて思い知らされる。

当日、成田発が午後4時前だが、羽田で降りてリムジンで成田に行くのも面倒なので、8時半のJALで伊丹を出発する。
成田ではカード会社のラウンジで時間を潰し、昼過ぎに何となくモニターを見るとヒューストン行きのコンチネンタルがキャンセルになっている。

慌てて集合場所に行ってみると皆さん心配顔である。添乗員は会社と連絡をとったりして代わりのフライトをさがすのに忙しそうだ。なんでもコンチネンタルがフライトをキャンセルしたのは千島列島の火山が噴火、噴煙が高く広がったためなんだそうだ。(旅行から帰って新聞を見ていたら、千島列島のマツア島にあるサリチェフ火山が6月12日に大噴火、この噴火を若田さんが宇宙から撮影した画像が載っていた)

日本とアメリカの間を飛んでいる航空会社は多数あるが、フライトをキャンセルしたのはコンチネンタルだけらしい。コンチネンタルは2回も倒産しているし、他の航空会社に比べて特に安全運行にシビアーだとも思えない、簡単にフライトキャンセルするのをアメリカの航空局はお咎めなしとしているだろうか?

で、4時10分発、ノースウエストでサンフランシスコ経由、ヒューストンに行くことに決まった。実は、旅行社の最初の予定では成田からカラカスまでのフライトはデルタ航空であり、ヒューストンではホテルの部屋で5時間ほど休息出来る筈であった。

最終日程で何故かコンチネンタル航空に変更になり、燃油サーチャージを6,000円払い戻しますと言われてウファウファだったのだが、とんだしっぺ返しを喰らったことになる。

今回の参加者は9人、全員が揃ったところで顔ぶれを見ると、成田からの参加のご婦人のなかには黒く日焼けした方や、前後どちらでもよいような猛者もいて、さすが秘境ツアーなんだと感心すると同時に大阪で感じていた安心感が吹っ飛ぶ。今回は皆さんの後ろでもっぱら聞き役に徹した方がよさそうだ。

さて、成田からベネズエラのカラカスまで、飛行時間が成田~サンフランシスコの9時間15分など合計18時間半、入国審査や乗り継ぎ待ち時間が成田の待ち時間を入れると同じく18時間半、合わせて37時間の長旅である。

飛行機のなかでは寝たり起きたり、退屈しながらも座席の前のモニターで映画を見たり、ゲームをしたりして時間を潰せるが、乗り継ぎ待ち時間がやたらにあるのが辛い。

で、たまに気分がすっきりしている時には旅行社から送られてきた資料やインターネットのサイトthelostworld.org(ロライマ国立公園の総合的な観光案内のサイト・・・・・ 残念ながら、最近変なサイトが貼り付けられてロライマ国立公園の総合的な観光案内には行けなくなっている)からダウンロードした説明などを眺めて過ごす。

ギアナ高地

ギアナ高地はコロンビア、ベネズエラ、ブラジルやガイアナなどにまたがる120万平方キロメートルの広大な地域で、地質学的にはギアナ楯状地(Guiana Shield)と呼ばれ、カナダ楯状地などと共に世界最古の地殻の一つだと言われているが、the lost world によるとギアナ高地の地層は大きく分けて3つの形成過程からなっていると言う。
‘1番古い地殻は約36~12億年前、南米大陸がアフリカ大陸にくっついていた時代に形成された変成岩の基盤岩で、16億年~10億年の間に沈殿物で覆われた。この最初に形成された地層は深く埋もれているので見ることはできない。

2番目は現在のギアナ高地のあの特異な卓上台地(テーブルマウンテン)の主要部分となっているローライマ層と言われるもので、珪岩や砂岩層から形成されている。先カンブリア紀に狭い海か、又は内陸の湖に堆積して堆積岩として形成されたものである。

最後は古生代から中生代の間で、マグマが繰り返しローライマ層に貫入して輝緑岩、まれに、花崗岩の地殻を形成した’

多分、湖に堆積していたローライマ層が先カンブリア紀のいつかに隆起して台地を形成していたが、ゴンドアナ大陸が分裂してアフリカ大陸と南米が生まれた古生代から中生代にかけてギアナ高地でも地殻変動で台地がいくつもの塊に分裂していったのではないだろうか。その塊が何億年にも亘って侵食されていき、輝緑岩と花崗岩の固い岩盤だけが残った、そうして、1000mもの垂直な断崖に囲まれたテーブルマウンテンが出現したということのようだ。

ギアナ高地のうち、ブラジルとガイアナ国境寄りの3万平方キロメートルはカナイマ国立公園に指定されており、100以上のテーブルマウンテン(先住民、ペモン族はテプイと呼び、神の家を意味する)があるそうだ。

大西洋から流れ込むたっぷりと湿り気を含んだ風がテプイの垂直な断崖にぶつかると雲を生み、そのつねに湧き上がる雲によって隠され、テプイ全体が姿を現すのは少ないと言う。

日本に居ては絶対に見ることの出来ない世界だと思うので、楽しみである。