トルコの歴史など
ホテルを7時半に出発、カッパドキアに向かう。
バスは20人ほど乗れる小型バスである。旅行社の話では6人参加ですと言うことであったが、札幌、東京、名古屋、それぞれ2人を加えた、12人が今回の参加者で、少人数の家族的なツアーになりそうだ。
ガイドさんの他にジーハムさんと言うアシスタントが付いている。アシスタントと言っても来月から1本立ちすることになっていて最後の勉強のようだ。

トルコの歴史
ガイドさんによれば、トルコの歴史をさかのぼれば、旧石器時代の居住の跡がいくつもありますと言うことだが、そこまで遡って貰わなくても、アナトリアの地にヒッタイト王国が築かれたのが3800年前、カディシュの戦いでラムセス2世のエジプト軍を破ったのが紀元前1275年頃なので、日本の弥生時代の1000年も前、歴史の重みを感じるには充分だ。

ガイドさんの話しが続く、科学雑誌のネイチャーにカナダの学者が発表したところによれば、世界最初の農業はアナトリアで始まり、小麦などを作ったらしい。牛、馬、羊などを家畜にしたのもこの地が最初であった。カッパドキアとは美しい馬の国と言う意味とか。

ガイドさんの歴史の話はこのあと、混乱期、ペルシャによる征服、アレキサンダー大王の東征に続くギリシャ・ローマによる支配、コンスタンティヌス帝の遷都後1000年以上続いたビザンツ帝国の時代と続く。このビザンツ時代にはアナトリアは帝国の一部となっていた。

一方、現在のトルコ人に繋がるイスラムのトルコ系王朝、セルジューク朝の滅亡後、アナトリアに群雄割拠した地方勢力の一つ、オスマン・ベイに率いられたオスマン族が建国したのが13世紀末で、メフメット2世が難攻不落のコンスタンティノープルを巨大な大砲と艦隊の山越と言う奇策で陥落させ、ビザンチン帝国が滅亡したのが1453年のことであった。

オスマン帝国は16世紀半ばには地中海のほぼ全域を支配し、神聖ローマ帝国のウィーンを包囲してヨーロッパを震撼させるなど500年近くイスタンブールに君臨した帝国であった。

西欧キリスト教徒はコンスタンティノープルが陥落したと聞いて異教徒の脅威におののいたであろうし、神聖ローマ帝国の居城ウィーンが現実に包囲されて衝撃を受けたであろうから、征服、略奪、専制といった歪んだイメージのトルコ脅威観が一般に受け入れられたと思われる。
われわれ日本人も、ヨーロッパの知識の受け売りなので、トルコ観は五十歩百歩と言ったところだろか。

さて、観光の話に戻すと、このトルコの旅は2500キロを6日間で走るとのこと。そう言えば毎日ホテルが替わるスケジュールになっている、一度も連泊のない旅行は初めてだ。旅行会社はこれを充実・満喫・てんこ盛りと絶妙のネーミングをしている。

2時間くらい走って、広い湖が見えてくる。トゥズ湖で、トルコ語で塩湖の意味らしい、夏になると蒸発してあたり一面、真っ白になるそうだ。トイレと写真タイムを兼ねて20分の休憩をしていると、韓国のツアーのバスがやって来る。

再びバスが走りだすと、遠くに雪を戴いた富士山のような山が見えてくる。ハッサン山と言うこの山は3300mほどだが、カッパドキアの東にはさらに高い4000m級のエルジイェス山があるらしい。
この2つの山が300万年前に大噴火してこの高原地帯は石灰華や軟らかい石、灰、泥が堆積し厚い凝灰岩の層ができた。その後、長い年月をかけて雨と風によってこの凝灰岩の層は侵食され、赤、金、緑、灰色など色とりどりのきのこ型の岩や穴のあいた峡谷など奇妙な風景が出来上がったのだ。

カイマクル地下都市

バスがカッパドキアに近づくと穴があいた岩山が連なっている風景が繰り広ってくるが、まず、最初の観光はカイマクル地下都市から。
カッパドキアには地下都市が300以上あると言われているが、6~10世紀にかけてこの地を襲ったペルシャ、アラブの襲撃に際して建設されたと考えられているが、正確なことは分かっていないらしい。

カイマクル地下都市は地下8層、40mの深さがあるが公開されているのは4階、20mまでとのこと。ガイドさんの後について地下に降りていく。
1階の馬屋、2階の礼拝堂や墓の部屋をみて通路を降りると食料の貯蔵庫、ワイン醸造部屋、台所などを備えていて、小麦を挽いた臼、パンを焼いたカマドなど暮らしの跡が残っている。
通路のところどころに置いてある丸い臼状の石は危機に際して通路を遮断する扉の役割をしたようだ、通気孔も完備し、夏、冬15~6度で湿気もなく暮らせたとガイドさんの説明。

1万6千人もの人が敵の撤退まで仮住としたのだが、地下都市の建設に際して、掘り起こした土や岩をどこに捨てたのか、これだけの規模の設備の完成にどのくらいの年月がかかったのか、発見されたのが最近なので、詳しいことはまだ分かっていないらしい。
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