カッパドキアの奇岩、洞窟教会

洞窟レストランで昼食をとった後、カッパドキアの奇岩や洞窟教会の観光となる。

パシャバー

バスが最初に停まったところはギョロメ地区のパシャバーの谷、ギョロメとはトルコ語で‘見てはいけないもの’の意味らしいが、眼前に広がる光景は‘なんじゃ これは’と言うのが第一感。
一つ岩から3本の傘が出ている有名な3本キノコ岩、茎が細って今にも倒れそうなキノコ、傘を閉じたままのキノコの群れなど、神様がいたずらをしたとしか思えない光景に唖然となる。
山の中腹の侵食が進んでいないところを見ると、下層に凝灰岩、上部には玄武岩が層を成しているのが見えたり、まだ傘になっていないとんがり帽子が連なっていたりしてキノコ岩の生成過程が想像できる。

デヴレント

ギョレメの野外博物館に行く途中でバスが停まったところがデヴレントの谷、道路を隔てラクダの姿をした岩やナポレオンの帽子を思わせる岩など多士済々と言った感で絶好の写真スポットだ。

ギョレメの野外博物館

ギョレメ国立公園とカッパドキアは自然と文化の複合遺産として世界遺産に登録さていて、800近くある世界遺産のうち複合遺産として登録されているのは23くらいらしい。
ギョレメ野外博物館は岩窟教会と礼拝堂の集まりだが、この地方には早い時代からキリスト教が伝来し、4世紀には熱心な修道活動が行われ、イスラム勢力が支配した7世紀半ばから9世紀半ばのあと、再び修道活動が盛んになり、11世紀から12世紀の間には多数の岩窟教会が造られたと言われている。
岩窟教会の壁や天井に残っているフレスコ画の多くはこの時代に描かれたものだ。

リンゴ教会(エルマル・キリセ)

付近にりんごの木があったことからリンゴ教会と呼ばれている。
4本の柱に支えられているドームの中央には4人の聖人に囲まれたキリスト。後陣の小さいドームにマリア、キリスト、ヨハネ。周囲の壁には東方三博士の礼拝や最後の審判の場面などキリストの誕生や昇天が描かれている。
それにしても、イスタンブールの近郊ならまだしも、何百キロも離れた荒廃の地にまで修道の場を求め、岩山を掘って厳しい修行をさせるキリスト教とは何だろうか…、ぶつぶつ呟きながら次の教会に向かう。

聖バルバラ教会(バルバラチャペル)

この教会の壁画は質素で、カッパドキアの二人の聖人が蛇を退治している
場面が描かれているが保存状態がよくない。上部に描かれている素朴な鶏と木の苗(杉の木を図案化したもの)の絵は油断禁物を意味しているとか

へび教会(ユルラン・キリセ)

聖バルバラ教会を出てゆるやかな斜面を登ったところがユルラン・キリセ。教会の名が由来するカッパドキアの二人の聖人が退治する大蛇の壁画
はバルバラチャペルの図より精緻で保存状態もよい。
このへび退治に続いてコンスタンチヌスとヘレンなどが描かれていて、ガイドさんによればこの教会の壁画はテーマの一貫性に欠けるらしい。

バックル教会(トカル・キリセ)

ギョレメの野外博物館を出て道路をすこし下ったところにあり、カッパドキアでも最も素晴らしい壁画があるのがトカル・キリセ。
10世紀の初めと終わりに造られた新・旧の教会があり、十字形の大きな教会である。受胎告知、ベツレヘムへ旅、ヨハネ、カナンの結婚、最後の晩餐、ゴルゴタへの道、磔、十字架から下ろされるキリストや埋葬や十二使徒、聖母と天使に囲まれたキリストの昇天などの場面が描かれているとのこと、ガイドさんの説明がやたらに詳しい。地色に使用されている紺色に映えて2千年の時の経過を忘れさせる美しさである。

ウチヒサール

ウチヒサールは車窓観光。 小高い丘の上に要塞のような巨大な岩が聳えている。かって、実際にヒッタイト時代には城塞として使われてのだが、ウチヒサールは尖った城の意味だとか。岩の表面には数多くの穴があいていて、鳩の家といわれる鳩の巣である、この鳩の糞はブドウ畑の肥料に使われている。

ゼルヴェ

最後に回ったところがゼルヴェの谷、キノコ岩が林立している谷だが、現地の人やヨーロッパでは妖精の煙突と言われる優雅な姿の岩がある。

洞窟住居

旅行会社のパンフレットにも最終日程表にも載ってなかったが、ガイドさんが実際に人が住んでいる住居を見ましょうといって、崖の途中に掘られた洞窟の家を訪問する。洞窟といっても冷蔵庫、洗濯機、テレビなど電化製品がそろった住居で、リビングに通されてチャイを振舞われながらしばし歓談、壁の絨毯が見事だと褒めると、おばあさんの嫁入り道具で、トルコの結婚は見合い結婚だが、お嫁さん本人よりも絨毯の出来で嫁入り先が決まるらしい。