エフェソス遺跡その2

クレスタ通り
オデオンからヘラクレス門を通り、セルシウス図書館へと真っ直ぐに延びているエフェソスのメインストリート、両側に商店が軒を連ね、現在、観光客で賑っているが、当時も同じ賑わいであったと思われる。

トラヤヌスの泉
クレスタ通りを下り、ヘラクレス門を過ぎてしばらく歩くと、右手にトラヤヌスの泉がある。高さ12m、2階建ての建物が正面の泉を3面から囲んでいた。ファサードにはトラヤヌスの等身大の像が置かれ、ビーナスなどの像が飾っていた。ビーナス像は博物館に所蔵されている。

ハドリアヌス神殿
さらに進んでクレスタ通り下りきる手前にハドリアヌス神殿がたっている。コリント様式の神殿で4世紀に一度修復され、ローマ式建築を採り入れた最高傑作の一つと言われている。
門の上のレリーフはコピー、本物は博物館に展示されている。神殿はアテナ女神、アルテミス女神アンドロクロスなどのレリーフで飾られていた。ファサードのアーチの上部にはメドゥーサ、破風にはテュケ女神の胸像のレリーフが飾られていたと言う。
神殿の向かいは道路を挟んで高級住宅地であった。

浴場と公衆トイレ
ハドリアヌス神殿の裏手にある浴場にはセントラルヒーティングつきのサロンがあり高温、温水、冷水浴場や脱衣場などがあったそうだ。最初の建物は2世紀のもので、4世紀に数百人を収容する大浴場に改築されたと言う。

クレスタ通りとマーブル通りの交差するところにあるのが公衆トイレで水を流す溝があり水洗式であった。大理石の便座が一列に並んでいるので、仲良く並んで用を足したらしい。

セルシウス図書館
クレスタ通りを突き当たるとセルシウス図書館がある。
アジア州総督であったセルシュウスのために、息子が父の墓の上に壮麗な図書館を建てたと言われている、エフェソスの遺跡の中で一番優美な建築物。
3世紀に火災に見舞われたが前門は大きな被害を免れた。高さ16mの前門の壁がんには知恵、運命、学問、美徳を表す4体の女性像がある、20世紀の初めにオーストリアの発掘隊が不正に持ち出したために、現在の像はコピーである。
セルシウス図書館の右手は3世紀に大理石で造られた門でアゴラにつながっている。

娼婦宿と広告
セルシウス図書館のすぐ向かいにある。サロンと部屋で構成され、廊下で繋がっていた、エフェソスの娼婦は教養があることで知られていた。
ここから大劇場に向かう道がマーブル通りで、敷石に娼婦宿の‘足跡の道しるべ’が刻まれている。‘女の子が待っている’、‘お金を持っておいで’、‘心をこめてサービス’などの図が描かれ、世界最古の広告だったといわれている。
エフェソスの旦那衆は図書館で勉強すると口実をつけて彼女と逢っていたのだろうか。

大劇場
マーブル通りを進んで行くと右手に見えてくるのが大劇場。
パナユル山の斜面を利用して造られ、3階建てになっているが、1世紀に皇帝ネロによって2階部分が3階は2世紀末に増築された。
舞台から客席の最上段まで60mの高さがあり24千人の収容能力があったらしい。演劇の上演や市民参加の民会が行われ市民にとって大切な場所であったとのこと。

大劇場から港に向かって一直線の延びているのがハーバーストリートだが、途中で右に折れ、すこし進むと聖母マリアの教会が見えてくる。

聖母マリアの教会
もともと様々な商品が市場取引されていたローマ様式の建物だが4世紀に教会に改築されたとのこと。この教会では2度重要な宗教公会議が開かれキリストの神性と聖母マリアについて神学論争が行われたらしい。

エフェソス遺跡の観光に満腹して、今日の宿のイズミールに向かう。