プリンセス・オブ・ウエールズ温室
3角形のガラス屋根をいくつも連ねたような温室である。この温室はダイアナ妃がキュウガーデンの始まりをつくったオーガスタ妃の結婚250年記念として1987年に開設したもの。
因みにプリンセス・オブ・ウエールズは王位継承1位の王子の妃の称号、ダイアナ妃もプリンセス・オブ・ウエールズであった。

パームハウスからプリンセス・オブ・ウエールズ温室に向かう途中の芝生では孔雀のツガイがのんびりと休んでいる、雄の翼は2mもありそうだ。少し離れたところにはエジブトガン?がよちよち歩いていて、鳥たちにもこの広いキュウガーデンは楽園なのかもしれない。

パンフレットによるとサボテン、リュウゼツラン、アロエなどの乾燥熱帯、マングローブなどの湿気熱帯、ウツボカズラなどの食虫植物、羊歯、蘭など10のゾーンがコンピューターでコントロールされているそうだ。
ここにも中学生くらいの見学者が訪れている、ロンドンの子供たちは小さい時から植物についてはしっかりとした知識を得られて幸せである。

サボテン

入口を入った辺りが熱帯乾燥ゾーン、通路のそばの少し幅広の葉をしているのはリュウゼツラン、幅細の棘のある葉のはアロエなのようだ。
少し進むと、’違いを見つけよう’と言うキャッチフレーズのパネルがある。
「左手にはカーボーイ映画の背景によく出てくるサボテンやメキシコのテキーラ用のリュウゼツランがあり、右手にユーホルビアやアロエがある。
遠く離れたアメリカとアフリカ、行き来がないとしたら、何で似ているのか?
答えは同じようなコピーメカニズムを進化させてきたから。両者は半乾燥の環境で育ち、生き残るためには強い風と焼け付くような太陽光を必要とする。水を溜め、逃げるのを防ぐのに適合する為のワックスのような葉や棘のようになるものもある。多くの植物は水が利用できるに応じて伸びたり縮んだり出来る柔軟な茎を持っている」 何だかよく分からないが、要は同じような環境が長い時間をかけて命を繋げていくうちに同じような植物になるという事のようだ。

通路のそばに、丸い蹴まりのヨナサボテンや棒のようなサボテンが植わっていて、奥の方にはモヤッタような感じのサボテンやヒトデのような形をしたサボテンなどさまざまサボテンが見られる。
反対側には、それこそ西部劇で見るニョキニョキと伸びたサボテンや二股になったサボテン、手前にはリュウゼツランが植わっている。

少し進むと「変装名人」とタイトルされた面白い説明パネルがある。
「南アフリカやナミビアの乾燥地帯に育つ驚きの’生きた石’と呼ばれるサボテンの仲間で、食べられるのを防ぐために石ころのように見えるように進化し、ゴミが散らばっているように生息している。いろいろの色が石ころにあるようにこのリトープス(このサボテンの名前)にはクリーム、グレイ、ブラウンなどいろいろ色がある。
この楕円形のリトープスの半分は葉であり、それは分厚くて水を蓄え漏れ出すのを防ぐワックス状の葉、あるいは棘になるように変化して乾燥状態に適合するよう進化している。
雨季には葉の割れ目から花が顔を出し、花が枯れた後、新しいペアーが内部に形成され始め、数か月後にはまた上部の裂け目から現れだす・・・」

ブロメリア

熱帯雨林のゾーンに入ると、ブロメリアの説明パネルがある。
「ブロメリアはパイナップル科の植物で世界には3000種類以上のブロメリアがある。ブロメリアは熱帯アメリカの荒れ果てたビーチから生い茂った熱帯雨林の崖の表面や木の皮、電話線などにも着生する。棘があるもの、葉の間に水を溜めるもの、ベリーをもつもの,種を風で飛ばすものもある。多くは色とりどりの花火のような花を咲かせる長い茎を持つ」
また、完璧なプールというパネルでは「水を溜めるタンク植物は熱帯雨林の木の高いところに着生することがある。葉は水を集めて小さな空中プールを作り、そこでカエルは時々オタマジャクシを育てる」とある。(ブロメリアのフリーセアには葉の間に水を溜めるタンク系と木の樹皮に着生する種類があることのようだ)
(日本ではアナナスと呼ばれ、愛好家にフリーセアやディッキアなどが人気があるらしい)

少し進むと大きな木の枝に着生して花を咲かせているブロメリアがあり、通路の傍には赤い花を咲かせたフリーセアが並んでいる。

この後、熱帯の羊歯、プールの睡蓮などを見てプリンセス・オブ・ウエールズ温室の見物はお終い。

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