ルーヴル美術館
9時前にホテルを出てルーヴルに向かう。地下鉄オペラから2つ目がルーヴルなのですぐに着く。
今回のルーヴル見物はドノン翼だけにして、出来るだけ丁寧に作品を見ていこうと思っている。

サモトラケのニケを見て、2階のグランド・ギャラリーに向う。ギャラリーの突き当たり辺りにモナリザがあるはずだと思って急いだが、ない。

あわてて戻っているとあちこちにモナリザの部屋に行く案内表示がある。単細胞で思い込むと何にも目に入らない傾向があるので、気づかなかったようだ。

案内表示に従って進んで行くと、グランド・ギャラリーに平行してフランス絵画の大作が展示されている部屋にモナリザがあった。
盗難にあったり、損傷を受けたりしたこともあるので移転し防弾ガラスケースに収められ、温度、湿度もコントロールされているらしい。
まだ時間が早く人が少ないので、ゆっくりと見ることが出来き写真も10枚ほど撮った。

部屋の正面の壁にはカナの婚宴などが展示されているが、フランス絵画の大作は後でゆっくり見ることにして、グランド・ギャラリーに戻りスペイン絵画の部屋に行く。

スペイン絵画ではゴヤの’着衣のマハ、裸のマハ’、’巨人’、’我が子食らうサトゥルヌス’などショッキングな絵が印象に残っているが、スペイン絵画は国外のあまり出ていないのでゴヤはあまり期待できない。その代わりムリュリョの甘美な聖母を拝むことはできる。また、ムリュリョは初期には子供たちを描いたりしていて、貧しい少年をありのままに描いた「蚤をとる少年」は記憶に残っている。

スペイン絵画の後は、グランド・ギャラリーの両側の壁に展示されているイタリア絵画をゆっくり見る。巨匠たちの受胎告知や聖母被昇天などを見なが進んでいると「美しき女庭師」などラファエロの絵が幾つか展示されている。「美しき女庭師」は「小椅子の聖母」と並んでラファエロの聖母画の双へきだと思っているのだが・・・

少し進んで、’岩窟の聖母’や’聖アンナと聖母子’などダヴィンチを見た後、グランド・ギャラリーに平行してフランス絵画が展示されている部屋を順にみて行く。モナリザの部屋に戻ると、ルーヴルで一番大きい「カナの婚宴」のほかティッツァーノなども展示されている。

「ナポレオンの戴冠式」を見ながら横目でグランドオダリスクを見る。鑑賞者が少し増えてきているのをみて「グランドオダリスク」を後ろからそっと覗く、一人でグランドオダリスクの前に立つ度胸はない。

時流を写す「民衆を導く自由の女神」などを見た後、チマブーエなどルネッサンス以前の絵画をちょっとだけ見てから1階に下りる。


先ずは、ミロのヴィーナス、モナ・リザと同じように人々で混雑している。サモトラケのニケと同じヘレニズム時代の傑作とされ、2千年を経てもなお人々を魅了し続けている。
大部屋に移ってミケランジェロの奴隷、ボルゲーゼの剣闘士、カノーヴァアのモルの接吻で蘇るプシュケなどを見て回る。

(軽くランチをとった後、もう1回モナリザを見ておこうと思って歩いていると、美術館の係員らしき人に呼び止められ、事務所に連れて行かれた。
で、机の上には見覚えのあるファイルケースがのっている。旅行社が最終日程表などを送ってくる時のファイルケースだが、A社のものが便利なので個人旅行の時にも使っている。中身はeチケットやパスポート再発行の写真などで金目のものは入っていない。

これはお前のものかと聞かれ、写真が決め手になって自分のものと特定されて返して貰った。旅先では肩掛けバッグにガイドブックやファイルケースなどを入れているのだが、言われて見るとバッグのファスナーが開いたままになっていた。今になって思えばミロのヴィーナスのところで、写真を撮るのに夢中になってバッグを背中に回してしまい、ファスナーを開けファイルケースを抜き取られても気が付かなかったようだ。隙だらけのとんだ間抜けだが、パリで盗まれたものが戻ってくるくるとは、感謝々々)

サモトラケのニケ
サモトラケのニケ:高さ244㎝、翼の生えた勝利の女神ニケが空から船の舳先に降り立ったところ。BC190年頃にシリアに勝った記念にロードス島の人々が造った。動的な姿態と巧みな襞はギリシャ彫刻の傑作とされている。

ダヴィンチ
モナ・リザ:世界で最も有名な絵と言えば、このモナ・リザである。
モナ・リザのモデルはフィレンツェの裕福な商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの夫人、リザ・ジョコンドだと言われている。モナは貴婦人の意なのでリザ夫人というと。
モナ・リザは背筋を伸ばして座り、両手を重ねていて控えめな感じである。
わずかに左を向きかすかに微笑んでいるようにも見える。聖母ではそうはいかないが、正面をじっと見つめているモナ・リザにじっと目を合わせると鑑賞者はモナ・リザとの間に個別の静謐に満ちた雰囲気を共有した気持ちになる。これが何世紀にも渡って鑑賞者、特に男たちを魅了して来た由縁なのかもしれない。

モナ・リザ顎の線や目のくぼみなどはっきりとした輪郭線はなくぼやかすように描かれていて柔らい表現となっている、スフマートという技法らしい。

俗物は値段はいくらするのだろうと思ったりするが、一説には10億ドルは下らないらしい。

エルグレコ キリストの磔刑と2人の寄進者エル・グレゴ
キリストの磔刑と2人の寄進者:エル・グレゴの身体の描写は10等身にもデフォルメされることが多いが、この絵はそれほど違和感はない。キリストの磔刑で言われる神性とか聖性とかの難しい話は置いといて、十字架の背景ではどす黒い雲が覆ってきており、今にも何か起こりそうである。キリストの表情は生気を失わず天を見つめているようだ。



べラスケス
王女マルガリータの肖像:スペイン王室の宮廷画家べラスケスはフェルペ4世のお気に入りで、フェルペ4世の家族や王女マルガリータの肖像画をたくさん描いた。


ムリーリョ
蚤を取る少年:よく見ると少年は痒いのか、両手の親指と人差し指で胸元をつまんで蚤を見つけようとしている。少年の足元には小エビが散乱し、籠からは傷ついたリンゴがはみ出している。
ぼろぎれのような服を着た貧しい少年を通して、修道院などの貧者への共感が画家にこのような絵画の制作を依頼したのかもしれない。

ムリーリョ 聖家族ムリーリョ
セビリアの聖母としても知られる聖家族(La Saint Famille ,dite aussi La Vierg de Seville):聖エリザベトは聖母を見つめながら幼き洗礼者ヨハネの腰に手を添えている。そのヨハネはリードで作られた十字架を掲げ、聖母の膝に立っている幼子イエス子がその十字架の上部をを握っている。十字架は磔の前兆を意味し、画面下部の子羊は犠牲を意味する。天には父なる神が幼子イエスを見守り精霊の鳩が飛んで三位一体を表している。ムリーリョの聖母は甘美で美しくしい。ミーハー的にはラファエルの聖母よりムリーリョの聖母が好ましい。


ムリーリョ
無原罪の御宿り:宗教心の薄い不届き者にはよく分からい話だが、エデンの園でアダムとイヴが神に背いて木の実を食べてしまう罪を犯した。これが原罪で、アダムとイヴの子孫である人間は生まれながらにしてこの原罪を背負っている。ここまでは何となく分かったような話のような気がするが、マリアはアンナの体内に宿った時から、神の恵みにより特別のはからいで原罪の汚れと穢れを一切受けていなかったとなると、話が分からなくなる。不届き者はムリーリョの甘美な聖母を楽しむだけだが、この聖母は14、5才にしか見えない。

ホセ・デ・リベーラ エビ足の少年
リベーラ
エビ足の少年:
少年が左手に持っている紙切れにはラテン語で’神の愛のために私に施しを’と書かれている。エビ足の右はかかとを地面につけることができないようだ、にも拘らず笑っていて何とも言いようがない。


ゴヤ
青い服の子供:モデルは画面下部に描かれているようにルイス・マリア・デ・シストゥニ、赤いほっぺに大きながいかにも利発そうである。後にスペイン独立戦争の英雄の2才8ケ月の唯一の肖像画だそうだ。


ゴヤ
ギレンマーデットの肖像:ギレンマーデットは駐スペインフランス大使とか。
ゴヤと言えば、’着衣のマハ、裸のマハ’、’巨人’、’我が子食らうサトゥルヌス’、’マドリード、1808年5月3日’などショッキングな作品もたくさんあるが、主な作品はスペイン国内にあってルーヴルといえども主要作品を手に入れることは難しいようだ。


ゴヤ
ローレンツア・コレアの肖像:ローレンツア・コレアはスペインの有名歌手で女優、知性と情熱を感じる。

 

ニコラ ヴルーゲルス 試作?ニコラ ヴルーゲルス
ニコラス・ヴリュッゲルス
E’tude d’une te’te casque’e(ヘルメットをかぶった頭の研究?):スペイン絵画室の入口の横に展示されている。魅力的な女性なのでついついカメラに納めた、よしあしは元々と分からない。

ターナー
河と湾の見える風景:ロンドンのナショナルギャラリーとテートブリテンでたくさんのターナーの絵を見た。ターナーは空気を描くと言われるが、この絵もまさにそうだと思わせる。

 


グランドギャラリー、ちょっと幅広の廊下のようにしか思えないが、両側の壁にはオークションに出せば、何十億、何百億もの値がつく絵がずらっと並んでいる。

グイド レニイグイド・レーニ
受胎告知:受胎を告げる天使がいなくて身ごもった喜びが伝わってくる、と言うか普通の女性が妊娠を告げられ嬉しさをかみしめているようであり、神の世界も人間も同じことのようだ。マリー・ド・メディシスが作成を依頼したとある。


ジョヴァンニ・ピアツェタ
聖母被昇天:聖母マリアの死から3日後、魂が体に戻され天使たちに取り囲まれながら魂と肉体が天上へと昇天していく情景が躍動感溢れるタッチで描かれている。


アンニーバレ・カラッチ
さくらんぼのマドンナ:?



グイド・レーニ
受胎告知:天使がやってきて受胎を告知、マリアは両手を合わせておごそかに受け入れる伝統的な受胎告知の場面である。これもマリー・ド・メディシスが作成を依頼した。

 

バザリー 受胎告知


ジョルジョ・ヴァザーリ
受胎告知:ヴァザーリは建築家としても有名だったが、絵は表面的との見方もあった。彼の評伝、’画家、彫刻家、建築家列伝’は美術史の基本的資料とされている。


カラバッジョ
女占い師:女占い師が若い男の手を取って手のひらをなぞり、視線で相手の気をひきながら指輪を抜き取ろうとしている。男は女占い師に見つめられてうっとりしていて気づかない。


ラファエロと弟子のジュリオ・ロマーノ
伝説聖人アンティオキアのマルガリータ:迫害にあいながらも数々の奇跡を起こしたされるアンティオキアのマルガリータ、ドラゴンの姿をした悪魔に飲み込まれるが、持っていた十字架によってドラゴンの体内が傷つき外に出てきたとされる。画面では勝利の象徴であるパルムの葉を持ち、ドラゴンを足で踏みつけていて勝利を暗示している。


ラファエロ
聖母子と幼い洗礼者ヨハネ(美しき女庭師):牧歌的な風景を背に聖母子が見つめあっている。聖母は若くややふっくらと丸い顔立ちの生き生きとした女性として描かれている。数多くのラファエロの聖母の中でも最も甘美で情緒的であり、人々を惹きつける。



ラファエロと弟子のペンニの合作
聖母子と幼き洗礼者ヨハネ(青い冠の聖母):眠る幼きキリストの頭上に聖母マリアが右手でヴェールをかかげている。マリアのヴェールは生後間もないキリストを自身がかぶっていたヴェールでくるんだと言う言い伝えを表す。さらにキリストの将来の磔刑の予兆を意味する象徴として使用される。

ラファエロ工房 荒野の洗礼者ヨハネ
ラファエロ工房
受難の十字架を示す荒野の洗礼者ヨハネ:


ラファエロ
聖家族と聖エリザベツ、幼子洗礼者ヨハネと2人の天使:(説明プレートはLa Sainte Famille d’après Raphaël(ラファエル後の聖なる家族???))、アトリビュートがないので聖母マリアに抱かれているのがイエス、聖エリザベツに抱かれているのがヨハネだろうと勝手な推測をする。

 


グランドギャラリー、10時過ぎになるとツアー客がやってきて、ガイドが有名な絵の前で解説をするので人々の塊があちこちできる。


ダ・ビンチ
岩窟の聖母:中央に聖母マリア、右側の指差しているのが大天使ガブリエル、そして寄り添うように幼きキリストが描かれていて、幼きキリストも右手を指さしているようである。聖母マリアに優しく肩を抱かれいている洗礼者ヨハネも幼きキリストを見つめている。ダビデ王の幼児虐殺から逃れて洞窟に身を潜めている場面だが、洞窟の薄暗さによって聖母マリアの表情は甘美かつ憂いに満ちたものになっている。


ダ・ビンチ
聖アンナと聖母子:聖アンナの膝に乗った聖母が幼子イエスを抱きかかえようと両手を伸ばしている。聖アンナの右手や聖母の左手、聖母の顔の表情など未完成である。


ダ・ビンチ
洗礼者ヨハネ:キリストの磔刑を意味する天を指すポーズをしている。モナ・リザと同様、最後まで手元において手放さなかった作品の1つ。


ピエトロ・コルトーナ(ピエトロ・ベレッティニ)
双子を拾うファウストゥルスとアッカ・ラーンティア

グイドレイニイ ゴリアテの首を持つダヴィデ
グイド・レイニー
ゴリアテの首を持つダヴィデ:旧約聖書のダヴィデとゴリアテの戦いの物語、敵軍の巨漢ゴリアテを怖れて誰もが尻込みをしていた時、羊飼いのダヴィデが名乗り出て石を投げつけてゴリアテの額に命中させる。ダヴィデはゴリアテの剣を抜き首を刎ねる。美少年が何事もなかったかのように巨漢の頭髪を握り死に顔に目をやっている。カラバッジョのゴリアテの首を持つダヴィデを見たことがある。

 

ヴェロネーゼ
カナの婚宴:縦6.62m、横9.90m、ルーヴル美術館で最も大きい。カナという村で行なわれた婚礼を描いており、瓶の中の水が葡萄酒に変わる奇跡の場面である。絵の前は人、人でごった返して何が何だか分からない。

 

ティツィアーノ 田園の奏楽


ティッツァーノ
田園の奏楽:草原に座って楽器を奏でる3人の男女と手前に立って水差しから水をそそいでいる女性が描かれている。女性は2人とも足までずれ落ちた薄布以外は何も身につけていない。
古代ローマの叙事詩をもとに詩的寓話として田園風景のなかに美を象徴する裸体のニンフを描いているのだろうが、古代ローマの叙事詩をもとにした詩的寓話と言われても、ど素人にはただのヌードとしか思えない。



ティッツァーノ
聖母子と聖ステパノ、聖ヒエロニムス、聖マウリティウス:聖母子の周りに集う聖人たちの会話は伝統的な主題であった。
聖ステパノは最初のキリスト教殉教者、ウイーンのシュテハン大聖堂に祀られている。日本にもステパノを名乗る学校が幾つかある。
聖ヒエロニムスは懺悔者として砂漠に隠遁しヘブライ語を学んだ。修道院時代、ライオンの怪我を治したと言われており、いく人かの画家の画題になっている。


ティッツァーノ、エマオの巡礼者:エマオに行く途中、出会っ巡礼者がパンを取り祝福をして引き裂いた時、クレオバ達はその人が生き返ったキリストだと気づく。カラヴァッジョよりキリストらしい

アングル グレイトオダリスク
アングル
グランドオダリスク:トルコ語のオダ(部屋)とオダリス(女奴隷)のフランス語の造語、グランドを付して’偉大な娼婦部屋’の意味か?
ベッドに横たって肩越しに振り向いている女性のポーズはダヴィッドのレカミエ夫人の肖像を思わせる。背中が異常に長いなど制作時からいろいろ批判がったようだが、一度見終わって離れた後、また、戻って見たくなる作品である。

ダヴィッド ナポレオンの戴冠
ダヴィッド
ナポレン1世の戴冠:縦6.21m、横9.79mの大作である。白い典礼服に身を包んだナポレオンがジョセフィーヌ妃に冠を授けようとしているところを描いている。ナポレオンの後ろいるのは教皇ピウス7世、ローマからこの日のために呼び寄せられた。150人に及ぶ登場人物はカメラを望遠にしないと枠に入らない。ナポレオンが己の権威を誇示するために作成を依頼した。

ダヴィッド レカミエ夫人の肖像

ダヴィッド
レカミエ夫人の肖像:裕福な家に生まれたジュリエットは15歳で42歳の銀行家のレカミエ氏と結婚する。実はレカミエ氏はジュリエットの母親と愛人関係にあり、ジュリエットとは親子の関係にあった。
絵は長椅子に横たわり、ギリシャ風の衣服を身につけた姿で顔をこちらに向けていて、緻密な写実的描写により夫人の美しい顔立ちや艶めかしい姿態が見る者を惹きつける。驚くことに、この絵の制作を依頼したのはナポレオンで、彼女を愛人にするための贈りものとしたかったらしい。上流階級のきらびやかな世界もひと皮むけばどす黒い欲望の渦巻く世界だとよく分かる。

 

ジェリコー メデュース号の筏
ジェリコー
メデュース号の筏:フリゲート船メデュース号が遭難、筏に乗って12日間漂い続けた。生き残った15人が軍艦アルギュス号が遠ざかって行った時に感じた絶望の様子がまざまざと描かれている(軍艦は結局引き返して彼らは救助されるのだが…)

ドラクロワ 民衆を導く自由の女神
ドラクロワ
民衆を導く自由の女神:1830年7月、シャルル10世の専制政治を解体しルイ=フィリップ国王をたて議会君主制とした、栄光の3日間と呼ばれる革命である。自由とロマン主義に傾倒していたドラクロワは参加しなかったが、蜂起した市民を称える絵を急遽描いた。擬人化された自由は三色旗を右手に屍のバリケードを越えて突撃を叫んでいる。


ドラクロワ
キオス島の虐殺:トルコに支配に対して企てられたギリシャの独立戦争の一局面、エーゲ海に浮かぶキオス島の住民はトルコの兵士によって殺戮された。異教徒の残虐行為はヨーロッパの人々の愛国心を燃え上がらせたようだが、自分らのやった十字軍の残虐行為は忘却の彼方である。

 

アンドレア マンテグナ キリストの磔刑

マンテーニャ
キリストの磔刑:キリストの痩せこけた肉体や処刑を見つめる人々の嘆き悲しむ様子が生々しく描かれている。


ウッチェロ
サンロマーノの戦い:1472年のフィレンツェ軍とシエナ軍の戦いを描いた3部作、他にはロンドンのナショナルギャラリーとフィレンツェのウフィツィにある。戦いが始まり、白馬に乗った隊長がフィレンツェ軍のを率いる場面が描かれいるのはロンドンのナショナルギャラリー、つい5日前に見た。
戦いの最中にシエナ軍の隊長がわき腹を槍で射られた場面はウフィツィで見たはずだが、どんな絵だったのかお思い出せない。
このルーヴルは援軍がやってきてシエナ軍をフィレンツェ軍と挟み撃ちにするところ。
実際にあった戦争の場面を同時代に描いているのが凄い。

 


チマブーエ
荘厳の聖母子と6人の天使:1270年頃の作品、聖母マリアが玉座に座って幼子イエスを抱き、6人の天使が周囲を囲んでいる。玉座が斜めに置かれ僅かに奥行きが表現されているとか。


バルナバ・ダ・モデナ
幼子イエスに乳をあたえる聖母:聖母の衣服から乳房がむき出し、幼子イエスが乳首をくわえている。ちょっとびっくり。




アフロディーテ(ミロのヴィーナス):BC100年頃、エーゲ海のメロス島で19世紀初め頃に発見された。
身体の重心を右脚で支え左脚を踏み出しており、生き生きとした動きが感じられる。知性的な顔立ち、胸の膨らみ、豊かな腰部、均整のとれたポーズ、腰までずれ落ちたキトンの襞の表現などヘレニズム時代の女性美の典型なのだろうが現在でもまったく通じる。


ヴィーナス?


オノル・ペッレ
真実を発見する時間:ヨーロッパの歴史に疎いただの旅好きには「真実を発見する時間」といわれても何のことかさっぱり分からない。ボルゲーゼ美術館で見たベルニーニの「プロセルピナの略奪」に似てる感じがするが・・・

ミケランジェロ 奴隷
ミケランジェロ
奴隷像2体:教皇ユリウス2世がサンピエトロ大聖堂に自分の墓碑を作ることをもくろみミケランジェロに墓碑を飾る像の制作を依頼したが、教皇の死後制作は中止された。作品のテーマはルーヴルの解説によれば、「教皇の永遠の勝利、隷属させられる情熱、肉体の重みに縛られた魂を象徴している・・・」???、専門家の評論は素人には意味不明である。ただ、ローマのアカデミア美術館のダビデ像からしてこの奴隷像2体は未完成だと分かる。

 

アントニオ カノーヴァ キューピットトプシケ


アントニオ・カノーヴァ
アモルの接吻で蘇るプシュケ:エロース=アモル=キューピッド
冥界から持ち帰った瓶を開けてはならないとヴィーナスに命じられていたが、プシュケは開けてしまい魔法の香りをかいで岩の上で永遠の眠りにつく。
場面は翼をつけた青年アモルがやってきて気を失った乙女プシュケを抱きかかえ優しく口付けをしようとし、プシュケは生き返って身をそらしアモルの首に手を回そうとしているところ。
神話が分からないと作品の理解はできないが、愛の讃歌とみれば見ているだけで楽しい。


戦う兵士(ボルゲーゼの剣闘士)、BC1世紀頃。教科書にもでてくるお馴染みの均整のとれた肉体が素晴らしい。


ボルゲーゼ家のコレクションをナポレンがフランスに持ち帰り、ルーヴルに移した?

 

オランジュリー美術館
チュルリー公園の端にあるオランジュリー美術館には3時過ぎに着く。オランジュリーもカメラ禁止になっている。オルセーに追従したようである。
で、ざっと見てオランジュリーはお終い。

オランジュリーには3年前にも訪れていて、わりと丁寧に写真も撮っているので、興味のある方は →オランジュリー美術館(2010.4)