伊丹~羽田~成田~ヒースロー
4年ぶりの個人旅行である。歩きに自信がないので今回はロンドン、パリ共に郊外には足を延ばさず市内見物だけのお手軽観光を予定している。

ロンドン行きのJALは11.45成田発、羽田~成田はリムジンになるので、伊丹発7.30 で成田に着くのはスムーズに繋がっても出発の2時間前は無理、せいぜい1時間半前と言うところだが、何とか発券して貰っている。

当日、何とか間に合って、JAL401便はほぼ時間通りに駐機場を離れるが、滑走路に向かうトラックに10機ほど繋がるジャム状態、30分ほど遅れて離陸、ロンドンに向かう、12時間半のフライトである。

水平飛行に移ってしばらくして挨拶(グローバルクラブ会員などに挨拶することがあるようだ)にやって来たCAがテーブルのパスポートケースを見て、長く使って頂いてありがとうございますと言う。
パスポートケースはJALのグローバルクラブ入会記念のノベルティとして貰ったものだが、パスポートやカード、ちょっとした紙入れにもなるので海外旅行の際には20年近く便利に使っている。CAが一目で古いとみたのはリニューアルがあったのかもしれない。

食事の後、キューガーデンのウィキペディアを眺める。
キューガーデンと言えば、6年ほど前にロンドンのバス旅行でイングリシュガーデンのシシグハーストに行った時、ガイドさんがロンドン市内に世界遺産に登録された植物園がある。機会があったらぜひ訪れて見て下さい、おすすめですと言っていたので今回の旅行の主な目的の一つにしている。

ウィキペディアによれば、キューガーデンの歴史は17世紀後半、グロスター郡のテュークスベリー選挙区の国会議員ヘンリー・ケープル卿が熱帯植物を集めた庭を作ったことに遡り、その後、1759年にジョージ2世の王太子の未亡人のオーガスタ妃が宮殿併設の9エーカー(東京ドームよりちょっと狭いの庭園を作ったのがキューガーデンの始まりとされている。

植物園は公園や庭園のように市民にレクリエーションの場を提供することのはかに、植物の収集、栽培、品種改良、分類や標本の作成やSeed Bankなどを担う研究機関としての機能があるが、キューガーデンはイギリスの植民地政策の一翼を担うこともあったようだ。
例えば、
1、中国の茶をインドのダージリンやスリランカへ
2、アマゾン川の天然ゴムをマレー半島へ
3、キニーネをペルーからインドへ
など育成条件の合う植民地に移植してプランテーションでの大量生産をして莫大な富を英国にもたらした。

天然ゴムについては仕事先のタイヤメーカーでの雑談中、面白い話を聞いたことがある。
アマゾン流域の熱帯雨林からゴムは採れたのだが、19世紀の半ばには世界のゴムはブラジルが独占状態にあった。手をこまねいて見ているイギリスではないので、男を雇ってブラジル政府の厳重な監視の目をかいくぐって国外にゴム樹の種を持ち出すことに成功、ロンドン郊外の植物園で育てた苗をマレー半島に移植した。その後の自動車の飛躍的発展に伴って膨大な利益をイギリスにもたらせた。
今にして思えば、ロンドン郊外の植物園というのがキューガーデンだったようだ。アマゾン流域の熱帯雨林のゴムをマレー半島でのプランテーションに適するようにキューガーデンで品種改良を行ったのかもしれない。

現在のキューガーデンは132ha(東京ドームの28倍ほど)、パームハウス(世界で最も重要な生き残ったビクトリア朝のガラスと鉄の構造物といわれている)、テンペレートハウス(温帯温室、パームハウスの2倍の大きさでビクトリア朝の最大のガラスハウス、)、プリンセス オブ ウエールズハウス(3角の屋根が連なっ温室、オーガスタ妃の結婚250年を記念して建てられ、ダイアナ妃が開設を祝った)などなどがあって世界の植物の1割ほどを収集、展示しているらしいのでただの旅好きでも結構、楽しめそうだ。

ウィキペディアにも飽きた後は映画を観たり、ゲームの将棋をしたりして退屈な時を過ごして、予定より少し遅れてヒースローに着く。

到着が重なったのか1時間近くかかってようやく荷物をピックアップ、オイスターに20£チャージしてピカデリー線に乗る。コベントガーデン近くの宿に着いた時はとっぷり日が暮れていた。