昨日はチトワンからガタガタ道を再びムグリンに戻り、ムグリンからプリティビ・ハイウェイを90kmあまり走ってポカラに着いた。カトマンズからムグリンまでが110kmだったのでカトマンズからポカラまでは200kmほどである。

ポカラ

ポカラと云うのは現地語の‘ポカリ(湖)’からきており、ペワ湖、ベグナス湖、ルパ湖などの美しい湖群を持つネパール第2の都市だそうだ。トレッキングに出かける人々の拠点の町であり、湖のほとりでゆっくり過ごしたり、アンアプルナの山々を眺めたりしてリラックスできる人気のリゾート地らしい。そのアンナプルナはサンスクリプト語で「豊穣の女神」と云う意味があるらしい。

ポカラでのわれらの宿は‘フィシュテイル・ロッジ’、名前の通りペワ湖が魚の尻尾のように細くなった河口の近くにある。宿へは筏をロープで引っ張って渡ると云う趣きのあるホテルである。

サランコットの展望台

さて、今日もモーニングコールは4時半、5時過ぎにホテルを出発、行き先はサランコットの丘である。丘と言っても標高は1600m、ポカラの町が800mほどなので結構な高さである。

40分ほどで駐車場に着き、坂道を4~5分上るとサランコットの展望台がある。テラスにはすでに沢山の人が椅子に座りアンナプルナの山々を眺めている。

で、なんとか椅子を確保してアンナプルナにカメラを向ける。時刻は5時46分過ぎ、アンナプルナの山々はまだ薄い墨絵のようであるが、5~6分もすると輪郭が少しはっきりして来た。

1番左(西)、雲の上にどっしりと戦艦のように浮かんでいるのがアンナプルナサウス(7219m)、ちょっと分かり難いがアンナプルナサウスと繋がっているヒウンチュリ(6441m)の間に少しだけ頭を出しているのがアンナプルナⅠ(8091m)のようだ。

その隣のマッタンホルンのように尖っているのがマチャプチャレ、その右裾に見えるのがアンナプルナⅢである。

マチャプチャレはアンナプルナ山群の中でひと際高く聳えているように見えるが、高さは6993m、ポカラの町から1番近いので高く見える。そのマチャプチャレの裾野にあるように見えるのがアンナプルナⅢ、7555mである。遠近感が分からないので、何十キロも離れていると裾野にあるように重なって見えてしまうと云うことのようだ。

少し離れてアンナプルナⅣとアンナプルナⅡが並んでおり、アンナプルナⅣは7525m、アンナプルナⅡ(7937m)の南壁は登山者を拒否するように反り返っている。

日の出前になって山々の頂上が輝き始めた。旅のいつどこで見てもこの瞬間は凛として気が引き締まるが、ことに目の前にある孤高のマチャプチャレが神々しい、今も地元の人々が登山を許していないのがなんとなく分かる気がする。

今日の日の出は6時15分、望遠でアンナプルナの雄峰を西から東へとシャッターを押し続けていると、ガイドさんが西の山の中腹にダウラギリ(8167m)がかすかに見えると教えてくれた。望遠にしてみるとずんぐりとしたダウラギリの頭が見える。ダウラギリと聞いて何かひっかかる気がして、後で思い出したが、3年ほど前に日本人の女性登山家が遭難したのがこのダウラギリであった。

望遠を標準に戻してアンナプルナ山群の全体を撮影する。真っ青な空にアンナプルナの雄峰が連なる様は、まさに「豊穣の女神」がピッタリである。

ダウラギリ展望

ホテルに戻って朝食の後、9時過ぎにミニトレッキングに出発する。旅行に出発前、旅行社に聞いたところでは下り坂を40~50分くらいハイキングする程度なのでどなたでも大丈夫ですと云うことであったが、車で8合目まで登って、後、頂上まで1時間ほどトレッキングすることになった。ガタガタ道なので足をくじいたりすると大変なので、トレッキングは遠慮して老人2人は車で運んで貰うことにした。

頂上ではお陰で時間がたっぷりあったので、雲に隠れたダウラギリが徐々に姿を現す様をたっぷりと見ることが出来た。