続き、

タレジュ寺院

カゲシュワル寺院の右手、緻密な彫刻が施されている門の奥に聳えるのがタレジュ寺院、マッラ王家の守護神であるタレジュ女神を祀っている。

3層の寺院はダルバール広場の建物の中で1番高い。タレジュ寺院はもともとマッラ王家の本拠、バクタプルに祀られていたが、16世紀初めにカトマンズ・マッラが独立するとすぐにタレジュ寺院が建てられ、その後、マヘンドラ・マッラ王が現在のタレジュ寺院を建立したのだそうだ。

大寺院の周囲に4つの寺院、さらにそれを囲むように12の小寺院が配置される曼荼羅様式となっている。毎年、秋の収穫を祝うダサイン大祭の際にはヒンズー教徒のみ入ることが許されるらしい。

インドラプル寺院とヴィシュヌ寺院

カーラ・バイラブの東側、ジャガナート寺院の裏手にインドラプル寺院とヴィシュヌ寺院が並んでいる。両寺院の軒先を支える斜めのトゥンダールに施された彫刻やトゥンダールの根本の彫刻には建築職人の遊び心が存分に発揮され、お主やるな!と言う感じである。

ハヌマン・ドカ

ダルバール広場には似合わない白い壁に沿って歩いて行くと正面にハヌマン・ドカがある。

ハヌマンはヒンドゥー教の猿の神、ドカは門のこと。旧王宮の門の脇にハヌマン像が置かれていることからハヌマン・ドカと呼ばれている。現状、ハヌマン像は鉄パイプでがんじ搦めに囲まれて痛々しい。

ナサルチョーク

ハヌマン・ドカを潜ると3方を白い壁に囲まれたナサルチョークと呼ばれる中庭に入る。ここが 旧王宮の中心、今でも外国の要人が訪れた時には歓迎行事が行われるそうだ。

入って直ぐの壁のニッチに何やら怪しげな像がある。ガイドさんによればこれはヴィシュヌ神の化身、半身ライオン半身人のナラシンハがインド神話に登場する阿修羅の1人で3界を征服した恐ろしい魔王、ヒラニャカシプ(?)を退治している場面とのこと。

1階の廊下に進むとシャー朝の歴代国王の写真が並べられていて、最後の写真がギャネンドラ国王である。
2001年に起きたネパール王族虐殺事件は日本でも大々的に報道され驚いたことが思い出される。王族9人を射殺した後自殺を図ったとされる王太子の後を継いで疑惑だらけの中、国王となったのがこの人である。

ガイドさんによれば、ギャネンドラは生存して今も民主政府をたおして王政に戻すことを狙っているそうな。
中庭に出てふり返ってみると、王宮に接して円形の5層の塔が聳えている。パンチャ・ムクヒ・ハヌマン寺院である。5層の円形の塔を作る技術は素晴らしい。プラタップ・マッラ王時代のもの?

中庭の突き当りはバサンタブル・ダルバール、外見は4層に見えるが中は9階建てであった。今回の地震で上の2層以上が倒壊して惨めな姿になっている。その手前のドーム屋根の建物(ムガール様式)はもとはヴィラサマンディラであったが、現在はバサンタプルと呼ばれているそうだ。どちらも18世紀後半、ナラヤン・シャー王によって建てられたもの。

クマリの館

ダルバール広場の見物の最後はクマリの館、低い門をくぐって中に入ると、10m四方くらいのさほど広くないクマリ・チョークと呼ばれる中庭をレンガ作りの3階建ての建物が取り囲んでいて静寂な感じを醸し出している。

クマリにはネワール王家の守護神タレジュ女神が宿るとされ、ネワール族の中から選ばれた幼女が生きた女神としてこの館で暮らしており、インドラ・ジャトラなど年に数回の祭りの時以外は外出することはないそうだ。クマリは時折窓から顔をだすこともあるので運が良ければクマリを見られることもあるとのこと。

これでカトマンドゥのダルバール広場の見物はおしまい。

観光の後はショッピング。

ネイチャー・ニット云うカシミヤセーター屋に寄って貰い、パシュミナのセーターとネパール紅茶(高級品だそうだ)を買う。この後、少し遅めのランチは蕎麦定食、日本で修業した人がそばを打っているそうだ。メニューは、ざるそば、天ぷら、そば団子、そばの揚げ物、そばがき、そば羊羹など。ネパール産のそば粉を使った手打ちそば、日本の蕎麦と変わらず美味しく頂いた。

腹ごしらえも出来たところでナガルコットに向かう。

ナガルコットはカトマンドゥから1~2時間と気楽に行けてヒマラヤ山脈を見られ、また、ナガルコットから麓のチャング・ナラヤンへのハイキングも楽しめたりするので人気の観光スポットと云うことである

カトマンズの交通事情

カトマンズも東南アジアの大都市と同じように道路はひどく混雑している。電力が不足し計画停電を行っている状態なので信号は殆どなく交差点では警察官がひと塊になってマンパワーで整理しているようである。

その交通事情は、ベトナムのホーチミンのようにバイク数の多さが目に付く。バイクは乗用車やバスの隙間に割り込んで走っていたり、歩道側を2列で走ったりして2車線の道路を3車線にしている。

さらに急な割り込みや無理な追い越しなど平気でやっているようで事故を起こさずによく走れるなと思うが、どうも事故はしょっちゅう起こっているらしい。

実際、我らのバンも、バイクではないが、乗用車に交差点で追突された。幸い、我が方のバンに目立った被害はなく、乗用車側のバンパーが少しへこんだ程度に見えたが、警察官に交通量の少ないところに誘導されて事故処理をするのに30分ほどかかった。ネパール人は車もバイクも自分中心で交通ルールを守ろうとする気が薄いようだ。

さて、市街を抜け田舎道の登りになると、いたるところで道路の陥没があったり、道路の端が崩れたりしている。補修の手が加わった様子が見られないが、現状、ネパール政府は主要道路だけで手一杯なのかもしれない。我らのドライバーは慎重に道路の窪みがけ崩れを避けたりして呉れるのでありがたいのだが・・・・

そんなこんなで標高2100mのナガルコットに着く。早速、車で10分ほどのところにある展望台に夕日を見行くが、曇がかかっていて辺り一面、茜色に染まる絶景とはいかない。2~3枚カメラに収めておしまい。