スワヤンブナート見物の後はバルバール広場の観光、20分ほど走って車を降りる。

カトマンズの電力事情

広場に向かって歩いていると道路脇の小さな寺院の横に電柱が立っている。驚いたことにこの電柱には40~50本もあろうかと思われる配線が群がっている感じである。

この電柱をみても分かるようにカトマンズのライフラインが極めて貧弱なことが見て取れる。ガイドさんの話ではカトマンズでは計画停電が行われているそうだ。なんでも乾季には午前と午後に分けてそれぞれ6~7時間の停電があるとのこと。

電力は殆んど水力発電によっているが、ヒマラヤの豊富な潜在資源を生かす国力がないと云うことのようだ。ライフラインと云えば水道も電力にましてひどいらしい、1週間に1回しか給水されないこともあるらしい。

さらに進んでいると道路に面して、1階は商店らしい3階建ての建物がある。屋根の天辺には3本の尖塔が立っているので寺院のようだ。17世紀に建てられたたもので、1階ではヴィシュヌ神の化身、ナラシマの仮面をかぶって踊ったりするところだったらしい。2,3階は商人の宿だったそうな。

カスタマンダッブ寺院

ダルバール広場に入って、最初に見学したのが倒壊して跡形もなくなったカスタマンダッブ寺院。更地に立ってガイドさんが説明したところによれば、カスタマンダッブは木の家と云う意味だそうで、ここに建っていた壮大なカスタマンダッブ寺院は1本の沙羅の木から作られたものだそうだ。

最初の建物は12世紀に建てられた宿泊施設だったが、その後、17世紀の前半に改築され3層の寺院となった。‘カトマンドゥ’の名前はこのカスタマンダッブ寺院から来ており、‘カスタマンダッブ→カスタマンダ→カトマンドゥ’となったとのこと。

カスタマンダッブ寺院の隣に小さな祠がある。アショク・ビヤナクと言ってガネーシュを祀る寺院である。ガネーシュは商売繁盛と学問の神様とされるので人気がるらしいが、祠の中を覗いてみると神様は不心得者にはゾウではなくサルに見えるのだが・・・・・

ラクシュミー・ナラヤン・サッタル

アショク・ビヤナクの前方に3階建ての建物がある、ラクシュミー・ナラヤン・サットルと言い、16世紀に避難所として建てられたもの。屋根は今にもくずれ落ちそうだが1階には土産物が並べられ、2、3階には不法に住み着いた住民が暮らしているらしい。

シヴァ寺院

ラクシュミー・ナラヤン・サッタルを眺めながら少し進むと、シヴァ寺院の跡がある。
基壇だけが残って建物は倒壊してしまっている。ガイドさんによれば震災前は9段の基壇の上に3重の塔が建つ寺院であった。17世紀末にプパティドラ・マッラ王の母によって建てられたもの、内部にはシヴァリンガが祀ってあったとのこと。

すぐ近くに同じように建物が倒壊、3段の基壇を残すものがある、こちらはナラヤン寺院だそうだ。

シヴァ・パルヴァティ寺院

ナラヤン寺院の右手に建っているのがシヴァ・パルヴァティ寺院。つっかえ棒で支えられているが、ようやく建物全体が残っている寺院にお目にかかることが出来た。扉や半円形の扉飾り(トーラン)には精緻な彫刻が施されている。また、よく見ると2階の窓からシヴァ神とその妃パルヴァティが顔を覗かせており、広場の民を眺めているようである。

この寺院は18世紀後半、シャハ王朝時代に建てられたもの。マッラ王朝の建築とはひと味違う感じである。

ジャガナート寺院

広場を抜けて少し進むと、足元にレンガの残骸がうず高く積まれた石柱と、その後に2層の寺院が見えてきた。ガイドさんによると震災前には石柱の上にマヘンドラ・マッラ王と家族の像が乗っていたそうだ。寺院はジャガナートと云い16世紀の中頃、マヘンドラ王が建てたもの。

カーラ・バイラブ

さらに進んでいると、ちょっと場違いと云うか異彩を放つ像に出くわした。
ガイドさんの説明によると、この像はカーラ・バイラブと云いシヴァ神の化身の1つで恐怖の神だそうだ。右手に刀を持ち左手には生首をぶら下げ、足元を見ると左足で悪人を踏みつけている。

このカーラ・バイラブの前で嘘をつくと即座に死んでしまうと恐れられていたので、かってはこの像の前に嫌疑のかかった者を連れてきて犯した罪を白状させていたそうだ。

一つの岩から彫りだされたと云われるカーラ・バイラブ像、よく見ると漫画っぽくユーモラスな感じである。

カーラ・バイラブからさらに奥まった方を見やると3層の寺院と四角い建物の上にドームが載った祠が見える。この辺りがダルバール広場の北の端のようである。
寺院はマハヴィシュヌ、18世紀にジャガジャヤ・マーラ王が息子の死を悼んで建てた?

カゲシュワル寺院

カーラ・バイラブから右手に進むと、1階を残して上の部分が吹っ飛んだような建物がある。これが カゲシュワル寺院と云って2階には砲弾の形のような白いシカラ様式の塔が立っていたそうな。