終日サファリ(?)

9時過ぎにロッジを出発、添乗員の言では今日は終日サファリだそうだ。保護区の西寄りのあるマラ川に向かって大草原を行く。
25分ほど走っていると、道端に茶色と白のコントラストが鮮やかな鳥がいる。2組のつがいと少し離れてもう1羽、オシドリのようだが、アフリカにもオシドリがいるのだろうか。

2~3分走って草原にぽつんぽつんと立つ木を眺めていると、1羽のハゲワシ(コシジロハゲワシ?)が木の上から獲物を狙っているようである。さらに10分ほど行くと茂みの側にほろほろ鳥が5~6羽ちょっと遅めの朝食のようだ。

視界が開けてきて大草原を見やるとトピの群れ、こちらものんびりと食事中である。
さらに、4~5分走っていると茂みが見えてきて、その中にエランドが3頭、少し離れた枯れ木の下にもう1頭いる。こちらはとどっしりして、重量感もある、ほかの3頭が近づいてきているようなのでボスなのかも。

しばらく進んでいると前方にキリンが1頭、マサイキリンだろうが今まで見てきたキリンのなかでは1番大きい感じである。草原に立つキリン、優雅である!

さらに30分ほど走っていると、アフリカハゲコウやハゲワシが群れていて真ん中にヌーか何かの死骸がある、あばら骨だけを残して食べ尽くされたようだ。無残ではあるが、これもワイルドライフなのかもしれない。近くの茂みの際にイボイノシシが2頭、彼らもおこぼれにあずかったのだろうか?

また、しばらく走っていると道路を象が横切っている。家族のもとへ急いでいるようだ。また、5~6分走ると景色ががらっと変わり、ゆるやかなスロープの大草原にヌーの大群がいる。セレンゲティからマサイマラに餌を求めて、川渡りの危険も乗り越え、やって来てやっとのんびりと体を休めているのかも知れない。

そんなこんなで、11時過ぎ、巨大な雄ライオンが雌ライオンに覆いかぶさっているところに出くわした。テレビなどで見るライオンの交尾は2~3秒で終わるが、この巨大ライオンは、灌木の左側で覆いかぶさっていたが、灌木の右側にじり寄り、さらに一呼吸おいて咆哮をあげ事を終えた。ずらっと囲んだギャラリーが固唾を呑んで見守る10秒近い圧巻シーンであった。事後、仰向けに寝転がる雌ライオンを雄ライオンが労わるような眼差しで見ていたのも、何か印象的であった。

少し横の方に視線を広げると2頭の雌ライオンがだらしなく仰向けになっており、さらに少し先には 雄、雌ライオンのペアーが満足げにひっくり返っている。これはよっぽど大きな獲物でおなかが満腹になったに違いないと思っていると、ドライバーが車を反対側に回ってくれて少し進むと、イボイノシシやハゲワシがライオンの残り物をあさっている最中である。アフリカハゲコウは少し離れているが、分け前は残るのだろうか? で、見ている間にライオンの残り物はあばら骨だけになった。

11:30、マラ川が近づくと、大草原がヌーの大群に埋め尽され、われらの行く手の道路も厚くヌーの群れが覆っている。どうなるのかと思っていたらドライバーは慣れたもの、ゆっくりゆっくり進んで ヌーの群れを突き切った。
はるか遠くを眺めると、何処に途切れがあるんだろうと思うほどヌーが一直線に並んで移動している。川渡りを終えたヌーがマサイ・マラの餌の豊富なところ目指しているように思える。

視線を戻すと道路の水たまりにハイエナがしゃがんでいる、よく見ると赤ちゃんを抱きかかえているようだ、とかく、嫌われるハイエナも赤ちゃんは可愛い。そばの水たまりにハイエナがもう1頭、ペアーのオスかも。

12時過ぎにタンザニアとケニアの国境で車を降りて集合写真を撮る。国境はブロック標識の左側のTがタンザニア、右側のKがケニアで表されていて、世界でも1,2のシンプルな国境である。
と、言うかイギリスが如何にいい加減に国境を決めたかを示している。

この後、マラ川の橋を渡り、川のほとりでランチの場所を探すがモンキーが弁当を横取りするとかで、結局、車の中で済ます。

さて、ヌーが川渡りをする様子がないし、川渡りをするために集まってくる気配もない。で、レンジャーの後ろについて川の畔を散策することになった。ヌーが川渡りする時の土手の窪み、いやと言うほどいるカバには皆さんはもうあまり関心がないようだ。対岸近くの岩の間にワニが頭を出していると言われて、じっと見つめても、かすかにワニらしいと云う程度、マラ川散策は添乗員がヌーの川渡り代償にお茶を濁したと言うことのようだ。

そんなこんなで、この後、13.30過ぎにマラ川を引き揚げる。で、終日サファリは何処へやら、途中から、われらのドライバーは一目散にロッジを目指しほかの車より30分も早くロッジに着いた。
道中、ヌーの川渡はどうなのと聞いたら、‘渡った、渡った’と言う返事であった。
もう1つよく分らないが、大量のヌーが昨日か一昨日、川渡をして後、今日は一服ということかも知れない。

昨夜の夕食の時、添乗員が‘ヌーの川渡りに時間をとりたいので、明日は9時出発で、終日サファリにします’と説明していた。
旅行会社のパンフレットでは、マサイ・マラの2日目はモーニングサファリとイブニングサファリ、その間にマラ川にも行くと書いてある。
時間的にもモーニングサファリが6:30~8:30、イブニングサファリが16:00~18:00とすれば、マラ川に行く時間は10:00から15:00とたっぷりある筈である。

その夕食後、旅行客はパンフレットを見て商品を買っているので変更はどうなんですかと添乗員に聞くと、①ヌーの川渡りに時間をとりたいこと、②旅行社が帰りのナイロビへの時間を考えてか(?)ロッジが保護区の東の端なのでマラ川への往復に時間がかかること、それと、③早朝から1日中車を走らせるのはドライバーのことも・・・・と言う説明であった。
① については、旅行社のスケジュールでも十分マラ川での時間はとれるし、
② も、具体的に言って、マラ川への往復に例え3時間かかってもマラ川で2時間の時間はある筈、
③ はドライバーには同情するが、旅行社も現地のことも調べてスケジュールを決定している筈だし、このツアーは過去、何回も催行されているので規則違反であれば問題となっていると思われる。

旅程を変更する権限は添乗員やガイドにあるが、正当な理由によることが必要であり、添乗員の説明は変更の理由には当たらないと思われる。
専属の添乗員が多いいこの旅行社にしては珍しく今回は派遣添乗員である。なので、この添乗員は旅行社の過去のツアーの詳細や旅行社と現地エージェントと関係など詳しくないのかかも知れない。で、マラ川への往復に時間がかかり過ぎるなどとドライバーに言いくるめられた感じがしてならない。お客は終日サファリと言われて、9:00から18:00くらいまでサファリするのかなと漠然と想像してしまう。ところが、実際はマラ川で十分な時間をとるでもなく、散策の後はあまりサファリなど眼中になく途中から一目散にロッジに帰ってきた。

お客がおとなしく、文句も出なければ現地ドライバーの言いなりなってもツアーを無事に終えたい、これが派遣添乗員の性かも知れない。

帰国へ

ロッジを8:00に出発、帰国に向けてナイロビに向かう。12時過ぎ、ナイロビ郊外のケニアサファリの定番らしいカーニボアという肉食獣の焼肉店で昼食、牛。豚、ラム、鳥、ダチョウや牛の金玉、ワニなど大きな塊を切り落してくれる。で、満腹になってナイロビ空港に向かう。