桂林 瑠璃江下り
七星公園
昨日は西安での出発が遅れに遅れて桂林のホテルに着いたのが、日付をまたいで1時50分であった。
で、瑠璃江下りの出港予約を10時に遅らせ、先に七星公園をちらっと見ることになった。
桂林のガイドさんは莫彬(モ ビン)さん、見るからに真面目そうな30代後半か、40代前半の男性である。

ホテル出発は8時20分、10分ほどで七星公園に着く。
七つの峰が連なり、あたかも空に輝く北斗七星のようにそびえているため、この名が付けられたそうだ。
観光スポットは花橋や七星岩などたくさんあるらしが、入口付近の駱駝岩をカメラに納め、1998年にクリントン大統領が地球環境保護のスピーチをしたと云うガイドさんの話を聞いたりした後、林道を少し歩いて七星公園の見物はおしまい。璃江下りの出港地点の竹江に向かう。

璃江下り

バスの中でのガイドさんのお話、
今日は、これから竹江のふ頭から陽朔と云うところまで4時間ほど掛けて川を下って行きます。川の両岸には大小さまざまな塔のような形をした峰が多数見られますが、漓江流域はカルスト地形で、石灰岩層が溶食されて岩峰、峰林や鍾乳洞と云った独特の風景が形成されていきました。その岩峰や峰林が連なる景色は中国でも有数の景色として中国の20元紙幣にも描かれています。また、この地方は中国では古くから仙人が暮すところとして言い伝えられています。

つまり、雨水と空気中の二酸化炭素が反応して出来た炭酸水によて石灰岩が溶食されてゆきカルスト地形になったが、漓江流域は亜熱帯気候に属していて高温多雨なので溶食の度合いは激しく、岩峰、峰林や鍾乳洞が形成されたと云うこと。
弧峰や峰林が海に沈み、頭だけを海面にのぞかせているのがベトナムのハロン湾で、川の両岸には大小さまざまな峰林が連なっているのが漓江と言うことのようだ。

そんなこんなで、30分ほどで竹江ふ頭に着く。
ガイドさんの後についてわれらの遊覧船に乗り込むと、すでに多くの観光客が思い思いにお茶を飲んだり、談笑したりしている。竹江は外国人観光客専用の乗り場だと聞いたことがあるが、ヨーロッパ人は少ないようだ。
1階が60席ほどと2階にも20席くらいあり、合わせて80人位は乗れそうである。
お茶を飲んだり、配られた璃江下りのリーフレットを眺めたりしていると船が動きだした。早速、デッキに出る。
竹江出港時には晴れていた空が20分もすると曇ってきた、ゆったりと流れる川の両岸は緑が濃く(とは言っても、川辺に蓬莱竹など2mほどの木々が茂っているだけで、少し離れると潅木が岩肌を覆ってだけのようにも思え、カルスト地形では木々は育たない感じである)、遠くにはほぼ同じ高さの峰林が連なっていて、墨絵のような世界とはいかないがそれなりの雰囲気である。

で、最初の観光スポットの蝙蝠山が近づいてきた。蝙蝠が羽根を広げている姿だと説明されるが、想像力の乏しい自分にはピンとこない。でも、蝙蝠山?は赤褐色の地肌がむき出しになっており、付近には緑が剥げ掛けていつか赤褐色の地肌になりそうな岩峰などもある。
岩峰の潅木や草木が風雨によって削ぎ落され石灰岩層が現れ、石灰岩中の鉄分などの酸化物が露出して赤褐色の地肌があらわになるようである。

下っていくに連れて漓江は右に左に蛇行を始めた。カーブの手前では岸壁や竹林などで隠されていた峰林の景色が船が進むにつれて徐々に姿をみせる。漓江が蛇行する度に、右に左に大小さまざまな形をした岩峰が次々に姿を現して興味が尽きない。丁度、贔屓の作家の待望の新刊書のページをめくるような感じである。

1時間ほど下った辺りが草坪回族の村?、さらに5分ほど進んだところに赤褐色の岩峰にぶつかって漓江がカーブするポイントがある。くすんだ緑の潅木が纏わりつく赤褐色の絶壁、対岸には鮮やかな緑の蓬莱竹林が茂り、川の流れはエメラルドグリーンに光る、さらに遠くには峰林がかすんでいる。
一押しの絶景ポイントと思うのだが・・・・・・

出港から1時間40分、分かり易い筍岩を過ぎた辺りで川べりの砂浜が広がり、川の中かほどに中洲ができたりしている。川底が見えるようなところを下るので船長はよほど注意して操船しているのだろう。実際、後、10日もすれば11月になり乾季が始まるので水量はさらに減っていく。

楊提から興坪
見た目にも分かり易い筍岩を過ぎて7~8分、楊提が見えて来る。楊提は昔から水上交通の渡し場だったらしいが、今でも漓江観光の拠点の一つで、たくさんの観光筏竹が係留している。冬場の渇水期には楊提から陽朔まで漓江下りとなる。

その楊提の背景に羊の蹄の形をした羊蹄山(と言われても?)、続いて皆さんが一斉にスマホを向けた観音岩、日本人に人気のりんごと富士山は遠目がよろしいとか、
そんなこんなで九馬画山が目の前に迫って来た。赤褐色の絶壁に九つの模様が描かれているように見える。九つの模様は九頭の馬にも見て取れるので九馬画山と名付けられたそうな。
興坪が近づいてきて、川幅が広くなり水量も増してきた、黄布倒影と言われる辺りである。おだやかな川面に黄色の布が映っているように見えるところから黄布倒影と言われるそうで、20元紙幣の裏に描かれている風景である。黄布倒影の辺りを過ぎて振り返って撮るのがベストとか。

興坪を過ぎると、後は1時間半くらいは淡々とした景色が続くだけと言うガイドさん伝言ですと言われて船内に戻り遅めのランチをとる。
でもって、2時半少し前に陽朔に着く。

漓江下りの遊覧船を降りた後、陽朔近郊の高田郷をドライブしながら桂林市内に戻って行く。
車窓には漓江下りで見た峰林と同じように石灰岩の岩峰が林立していて、のどかな田園風景が次々に展開されてくる。
そんな風景の一つが月亮山、
山の頂上付近にぽっかりと穴が空いた洞窟?がある。ガイドさんによれば
見る方向によって三日月や半月さらに満月もに見えるそうだ。