添乗員の次のお話、
ギリシャの夏のシーズン、6月~9月には音楽祭や演劇などいろんなイベントが行われます。オリンピック年の行事には蜷川幸雄の‘オイディプス王’も公演されました。
ギリシャ悲劇は紀元前6世紀にはもう上演されていたようです、3大ギリシャ悲劇作家と言われるアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスなどが競作しました。
アリストテレスは‘ギリシャ悲劇は、哀れみと恐れを通して諸感情を発散している’と評したそうです。

バスが2時間ほど走ったところで、遠くの山すそ辺りがテーベの眺めです、今は小さな村ですが、昔は繁栄していましたと言って、添乗員のテーベにまつわるオイディプス王の物語が始まる、「有名なオイディプス王の悲劇も、今回の私達の観光コースに入っているデルフィーの神託から始まります。古代ギリシャのテーべの王ライオスは、‘今度生まれてくる子供が自分を殺し、王妃イオカステと関係を持つであろう’とデルフィーの神託を受けていました。
王の不注意から王妃は孕み、男の子を産みます。王は男の子の足に釘を打ち家臣に殺すように命じますが、家臣はかわいそうになり国境に捨てました。

子供は拾われてコリントス王の王子として育てられます。足が腫れていたのでオイディプスと名づけられました。
成長したオイディプスはコリントス王の子ではないという噂が不安になり、デルフィーに行きアポロンの神託を求めると、‘故郷に戻れば父を殺し母を犯すと予言され’、コリントスに戻ることをやめ、旅に出ました。
旅の途中、老人と出くわし、ささいな事から口論となり殺してしまいます。この老人こそライオス王でありました。オイディプスは知らずして父を殺してしまったのです。

その後、テーベの国境の峠に身体はライオン、大きな翼を持ち、首から上は人間というスフインクスが出没し、通りがかりの人間に謎をかけて解けなければ崖の上から突き落として殺していました。
オイディプスが通りかかると、スフインクスが‘最初は四つ足、次は二本足、最後には三本足となるものは何だ’と尋ねます、オイディデプスは‘それは人間だ。人間は子供の時はよつんばいで歩き、大きくなれば二本足で立って歩く。そして年寄れば杖をついて三本足で歩く’と答えます。
スフインクスは謎をとかれたのを恥じて身をなげて死んでしいます。テーべの人々は喜んで、彼を英雄として迎え、帰っては来ないライオス王にかえて、オイディプスを王とし、イオカステを王妃として娶らせます。彼女はライオス王の妻だった人、つまりオイディプスの母だったのです。知らずして彼は母を妻としてしまいました。

オイディプスが王になると疫病と飢饉が続きます。テーべはアポロンの神託を求め、ライオス王を殺した犯人を捜索するとオイディプスが犯人だとわかってきます。王妃イオカステは自殺してしまい、オイディプスは両目を潰し、放浪の旅の果てにその生涯を終えます。デルフィーの神託は的中するのです」
なんとも物悲しい話であるが、話の展開、挿話、意外性など現代人を感涙させるに足る深さがある。

添乗員の話は、続いてギリシャの基礎知識、なにしろ6時間のバスの旅なので時間はたっぷりある。
ギリシャはバルカン半島の先端に位置しており、面積は13万2千km2、日本の3分の1ほど。本土とペルポネソス半島、それに約3千の島々が国土の20%を占める。人口は1000万人ほど、北に国境を接しているマケドニアやアルバニアなど不安定な国があり不法入国者で流動的らしい。
ミケーネ人やドリース人が97%を占め、あとトルコ、ユダヤ系など。アテネに人口の3分の1が集中している。ギリシャの現在のおもな産業は観光と農業だそうだが、車窓に見る山がちな地形とやせた土地では農業といってもオリーブやぶどうなどがおもなもののようだ。
ギリシャの歴史は紀元前20世紀頃のオリエントの影響をうけたクレタ島のミノア文明や、ミノア文明を引き継いだミケーネ文明が紀元前16世紀にペルポネソス半島に興り、暗黒時代と言われる時代を経て、紀元前8、7~6世紀にはアテネやスパルタなどポリス(都市国家)が各地に栄え、この時代にはナポリ、シチリア、マルセーユなど殖民都市も建設している。都市国家間の争いで衰退し、マケドニアのフィリッポ2世やアレキサンダー大王によって統一されるが、やがてローマの支配を受けることになる。

せっかくだからギリシャ語も使ってみて下さいと添乗員のギリシャ語のミニレッスンが始まる。

おはよう カリメーラ
こんにちは ヤスー
こんばんは カリスペラ
ありがとう エフハリストウ
どういたしまして パラカロウ
はい ネー
いいえ オヒ
さよなら アディオ
わかりました エンラクシュ

このあと、テルモピレーの戦い(紀元前480年)で、300人でシンガリを務め 、撤退作戦を成功させたあと、自らの軍は全滅したと言うスパルタ王レオニダスの記念碑の前で写真休憩をとったりしながら、カランバカのホテルに着く。

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