入口を入ったところに、オリンピア遺跡の復元模型がある。こうして立体模型にして貰えると想像力がない者でも当時の様子がよく分かり有り難い。

ゼウス神殿の破風のレリーフ

正面の大きな部屋はゼウス神殿の破風のレリーフで、長さが30m近く、高さも3mほどの大きなものである。左手はペロプスの戦車競争、右手はケンタウロスの狼藉の場面である。白大理石のクラシック期の傑作と言われている。
ゼウス神殿の東側破風を飾っていたレリーフがペロプスとオイノマオス王の戦車競争の準備場面の様子である。レリーフの中央に立つのはゼウスで両陣営の運命を握っている。
向かって右サイド、ゼウスの隣に立っているのがピサのオイノマオス王と王妃ステロ、王妃は腕を組んでいて結果が心配な様子のようだ。馬の前で跪いているのは御者のミルティロス。反対のサイドに裸のペロプスとヒッポダメイア、彼女はペプロスを着て、花嫁のゼスチャーをしているらしい。端の方には老人が座り、手を濃い顎鬚に乗せて不安な様子である、結果が分かっているのだろうか。

東側破風のレリーフが戦車競争の準備の場面で、静的なのに比べて、反対側のケンタウロスとラピテス族との争いのレリーフは動的である。ケンタウロスは上半身が人間、下半身が馬の形をしたギリシャ神話の野蛮な怪物である。
中央にはアポロンが立ち、争いの裁定をする。アポロンの両側はペイトリス王とテセウスだと言われているが、頭部が僅かに復元されているだけで判読が難しい。テセウスは花嫁の介添えとして出席した。
場面はラピテス族の王ペイトリスの婚儀に招かれたケンタウロス族が酒を喰らって酔っ払い、数人がラピテス族の女性に乱暴を働いているところである。向かってアポロンの左側にはケンタウロス族のエウリュティオンが花嫁のデイダメイアを犯そうとし、花嫁が手を伸ばして必死に戦っている様子、その隣もラピテス族の女性がケンタウロスに激しく抵抗している様子である。右側のラピテス族の女性がケンタウロスの手を胸の上で押さえつけている様子や、ケンタウロスが足首を掴んでいる様子などはリアルで写実的、白大理石のクラシック期の傑作と言われている。

勝利の女神ニケ像

ゼウス神殿の東南の角近くで台座跡を見たが、9mあまりの台座のうえに、この2mを超えるニケの像がのっていた。丁度、女神ニケが天上の住まいから地上に舞い降りているところで、横から見ると羽を広げて飛んでいる様子である。当時は彩色されていたらしい。

ディオニソスを抱くヘルメス像

ギリシャ彫刻のなかでも傑作とされる像で、この像も2mを超えている。
ヘルメスがディオニソスを神話のニサ山に連れて行く途中で、一休みしている場面である。ヘルメスはゼウスに命じられて、ニサ山のニンフにディオニソスの養育を頼みに行っているのである。
ディオニソスと言えば酒なので、ヘルメスの左手に抱かれたディオニソスが見つめているのはヘルメスの右手の葡萄のふさではないかと言われている。
よりかかっている木に掛けられたショールの様な衣服の流れるようなドレープ、S字にカーブしている肉体の柔らかさ、優しい表情のととのった顔など、美術音痴にもギリシャ彫刻のすばらしさを楽しませてくれる。
大理石彫刻ではこのほか、ガニメデを抱くゼウス像、ローマ時代の女性像など、ブロンズでは3脚の大釜、羽の生えたゴルゴンの盾、などなど。添乗員、お勧めのオリンピア博物館を楽しむ。