ホテル出発はゆったり目の9時。
バスが出発するとすぐにメテオラの切り立った岩山が見えてくる。
今日も、まずは添乗員の説明から、「メテオラは垂直の高い岩山ですが、現在は道路が舗装されバスで15分ほどで登ることが出来るようになっています。
ホテルの前からちょっとだけ見えていたのは聖ステファノス修道院で、メテオラの南の端になります、女子修道院です。

メテオラには最盛期には24の修道院がありました。現在は6つで、そのうち2つが女子修道院となっています。今日はメガロ・メテオロン修道院(メガロは大きい、メテオロは空中に浮かんでいる、の意味)の中に入ります。
風、雨などの自然の侵食作用によって、このような垂直に尖ったような奇岩群が出来たと言う説もありますが詳しいことは分かっていません。トルコのカッパドキア地方に旅行された方は同じような風景をご覧になったと思います。

岩肌には自然に出来た割れ目があり、11世紀にそういう穴で1人の修道士が修行を始めたのがメテオラの始まりと言われています。
ヨーロッパでは古くから難行苦行をする歴史があります。柱の上の苦行者と言われたシメオンは、5世紀前半のシリアの人ですが、1本の石柱の上に座って苦行に励み、信者の人が提供する食べ物をロープで受け取り、死ぬまで下りてこなかったと言われています。

メテオラも同じように物理的、心理的に俗世からかけ離れ、また神に近づける岩山で自分一人で祈りを捧げる場として選ばれました。
切り立った岩山に梯子かけたり、縄で編んだ袋を滑車で上下させたりして建築材料や日々の食料を運び上げていました。命がけで頂上に登り、洞窟で生活しながら労働と自給自足、毎日畑仕事して難行苦行、冬の厳しい時だけは下で生活したとも言われています。険しい岩山の頂上での修行はギリシャ正教の修道士達の心を捕えたわけです」

バスが岩山を巻くように7~8分走って写真休憩。
最初に見えるのは、左側にニコラウス修道院、右手の遠くにルサヌー修道院、どちらも小ぶりな修道院で、50~60mほどの岩山の上に危なっかそうに立っている。
深い谷の対岸の巨大な岩山の中腹には横に広がった割れ目があり、信者達がお祈りをしているようにも見える。こうした岩の割れ目に住みつき修行が行われたことを思うと想像を絶する思いがする。

さらに5分ほど走り、ルサヌー修道院の下で2回目の写真休憩。右手、遠方にはヴァルラーム修道院がみえる。添乗員によればヴァルラーム修道院は14世紀に造られたもので、195段の階段を上り主祭壇にいくことが出来る。修道院は複合施設で城壁に囲まれた感じだが、右の2つ塔があるところが主祭壇のある部分で、左のぐるっと小さい窓が並んでいるところは修道士の部屋とか食堂などだそうだ。メガロ・メテオロンに続く規模と古さの修道院である。

メガロ・メテオロン修道院

で、バスはメガロ・メテオロン近くの路上に駐車する。
添乗員の説明、「メガロ・メテオロン修道院(メタモルフォシス修道院)はメテオロの1番高い処にあり標高は614m。14世紀、アサナシオスという修道士が聖地アトス山の同志14人と中央の岩山の頂上に修道院を造りました。
最初は頂上付近の岩肌の穴を礼拝堂にしていましたが、やがて簡単な巻き上げ機など、当時、この地方を治めていたセルビア王国の援助も受けて1356年に修道院を完成させました。

メテオラの名声は広まり最盛期には24の修道院が出来ましたが、その後、メテオラの修道院は荒廃してしまいます。16世紀になってネクタリオンとデオハネスという名門出の2人によってメテオラは再興されました。現在、見ることが出来る修道院の多くは16世紀に再建されたものです」

115段の階段を皆さんの後ろについて登り、修道院の入口でガイドさんと合流。
ガイドさんは中年のギリシャ女性、日本語ガイドということらしいが、単語を並べる程度のようだ。ギリシャ正教の話など旨く説明してくれるのだろうか。
「ミギは、14セイキ、フルイ小さいキョカイ、古い教会のナマエはキリストのショテン。ヒダリは16世紀、アタラシイ教会、大きな教会、ムカシ300人、イマ3人、サァー、イキマショウカ」・・・・・
入口に向かう通路の壁にフレスコ画がある、「マンナカはキリスト、ミギはヨハネ ヒダリはマリア、オリジナル。サァー、イキマショウカ」

教会のなかはロビーと言われる部屋、ミサが行われる部屋と祭壇の部屋があり、それぞれあまり広くない。ミサが行われる部屋の天井から銀製の立派なランプが吊り下げられており、ギリシャ正教の教会らしくほの暗く荘重な感じである。
部屋の四方の壁にはキリスト、マリア、ヨハネなどのイコンや受胎告知、キリスト生誕、洗礼、キリストの処刑、キリスト復活、キリストの昇天などの壁画がびっしりと飾られている。厳しい修行の励みとされたのか、ヤコブ、ペテロ、パウロ、ステファノスなど殉教者がたくさん描かれている。

仏教徒にとってはどうでもいいことだが、カトリックと正教はどう違うのだろうか、ガイドさんによればカトリックの十字架が縦長なのにたいして正教の十字架は縦横が同じ正十字、教会の構造も同じく縦長と正十字の違い。十字の切りかたも、肩のところが、カトリックは左肩から右肩なのに対し正教は逆に右から左となるらしい。最も違うところは、カトリックの教会ではイエスやマリアなど彫像であふれているが、正教の教会ではイコンなどの聖画はあるが彫刻類は一切ないとのこと。キリスト教は元々偶像崇拝禁止だったので、正教はオーソドックスと言うだけあって原始キリスト教に忠実であろうとしていることなのか。
同じ啓示の民のイスラムでは偶像崇拝禁止が徹底しているが、絵がよくて彫刻が駄目とは正教も50歩100歩の感じだが、どうなんだろう。三位一体など教義の違いは聞いても分からないので質問するのを遠慮する。

メガロ・メテオロン修道院の観光の後は、トリアダ修道院ステファノス修道院の外観、ニコラオスやルサヌー修道院を上から眺めて、メテオラ観光はおわり。

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