昼食後、一路 デルフィーへ、215km。
いよいよギリシャ神話の世界に向けて出発である。どの文明も世界の始まりの物語を持っているが、ギリシャ神話の天地創世の話は込み入っていてなかなか面白い。

まずは、添乗員のお話、「ギリシャ神話によると、世界はカオス(混沌)の状態から始まります。そこから自然発生的にガイア(大地)が生まれ、そのあと エルプス(暗黒)、ニュクス(夜)、アイテル(上空)、ヒメラ(昼)と神々が次々と生まれました。
またガイアは単独でウラノス(天空)や山々とポントス(海)を誕生させます。この時点ではまだ神と自然は一体化したものでした。

その後、ガイアはウラノスと結ばれ、巨人ティタン神族が生まれます、人格化された神々がここで登場することになります。また、1つ目のキュクプロス、100本の手があるヘカトンイケルを産みます。
ウラノスはこの異型の子供を嫌いタルタロス(大地の底の暗闇)に押し込めてしまいます。ガイアは悲しみ、ウラノスに報復をと考え、子供達に自分が作った大鎌で仇を討ってほしいと頼みます。
末っ子のクロノスが名乗りをあげ、ガイアにかぶさる様に寝ていたウラノスに、襲いかかり鎌でウラノスのペニスを切り落とします。

恥じたウラノスはガイアのもとから去ります。大地(ガイア)に滴り落ちたウラノスの血の滴からギガントスと呼ばれる巨人族が生まれ、海に投げ捨てられたペニスは波間を漂い、白い泡から美しいアフロディーテが生まれることになります。
この時、やがてお前も自分の息子に滅ぼされるだろうというウラノスの予言は、以後クロノスの脳裏をはなれません。

クロノスは姉のレアとの間にヘスチア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンをもうけますが、父の予言が不安でたまらないクロノスは子供5人を次々と飲み込んでしまいます。
悲しんだレアは次に生まれる子供を守るため、子供をクレタ島の洞窟に隠して産み、クロノスには大きな石を産着にくるんで子供だと偽って渡します。クロノスは確かめもせず、その石を飲み込みます。

クロノスの手から逃れた赤子は逞しい男に成長します、この末っ子がゼウスです。
彼は女神メティスに頼んで、クロノスに下剤を飲ませ、最初に大きな石、続いて兄弟達を吐き出させます。
助け出された兄弟達はオリンポス山に立てこもり、クロノスを先頭とするとティタン神族に戦をいどみます。ティタノマキアと呼ばれるこの戦いでは、ガイアの助言でタルタロスから助け出したキュクプロスとヘカトンケイルが加勢、またゼウスには雷電、ポセイドンには三つ又の矛、ハデスには姿を消す兜が与えられて勝利をおさめ、ティタン神族をタルタロスに閉じ込めます。

ガイアは自分の産んだ子供が迫害されるのが我慢ならい性分で、腹を立てたガイアはギガントを戦いに挑ませます。
ティタノマキア、ギガントマキアと戦いは10年も続きますが、なんとかこの戦いにも勝利し、ゼウスは天を、ポセイドンは海を、ハデスは地下の世界を治めることとし、こうしてオリンポスの神々の時代となりました、ゼウス兄弟はテスタリア北部のオリンポス山に住み、その山の名前に因んでオリンポス神族と呼ばれるようになります」

天と地が創られ、神々の世代間の争いになり、ゼウス達のオリンポスの神々が権力を奪取するまでの話だが、ガイアの強烈な母性愛がなんとも興味深い。

続いて添乗員の話は、オリンポス12神に移る。
「ギリシャの神々は強力な力を持ちながら、怒り、戦い、嫉妬、泣いたり笑ったり、裏切ったり、限りなく人間くさいのがギリシャの神々の特徴です。町のどこかで争いが起きると天上から降りてきてどちらかに加担したりして、結局は神と神との争いになったり、またトロイヤ戦争の原因にもなった美人コンテストではワイロを贈ったりして、今の日本と変わらないようなほのぼのとしたエピソードがたくさんが残っています。
当時は神々が兄弟同士結婚するのは当たり前でゼウスの奥さんは姉のヘラです、また神と人間との間にも良く知られているヘラクレスなど英雄神話がたくさんあります」

添乗員の話は、この後、オリンポス12神それぞれの話に移りますが長くなるので割愛します(もうすこし詳しい話に興味のある方は→ オリンポス12神)(ヘラクレスなど英雄神話に興味のある方は→ ギリシャ神話の英雄たち)。
ギリシャ神話では人間がいつ、どのように生まれてくるのだろうか、ゼウス説もプロメテウス説もどうもよく分からないところだ。

デルフィーのホテルに到着後、夕食まで時間があるので海岸を散歩し、近くのスーパーでミネラルとジュースを仕入れる。