サバンナモンキー

6時半過ぎに窓の外が明るくなり、テラスに出てしばらく眺めていると森の木陰から太陽が昇ってくる。日の出の瞬間は何処で見ても神々しいものだとしばし感心して部屋に戻っているとサバンナモンキーがテラスにご訪問になっている、体長50センチくらいのモンキーで愛嬌がある。

部屋の中までは入ってこないだろうと思って、洗面をしていると何やらごそごそと言う音が聞こえてくる。まさかと思いながら洗面所から顔をだすと、敵さんは散らかった円テーブル上で食い物がないかと物色中のご様子である。
互いに目があった瞬間、一目散に逃げ出したが、テラスに出てみると窓の外の梁柱に止まって獲物を吟味しているようだ。盗られたものが何かとよくみるとポケットティッシュらしい。クッキーもあったのだが散らかっているので咄嗟には見つけられなかったようだ。
野生の動物にとってホテルの部屋に侵入するのは危険この上ないことだと思われるが、ホテルゲストから食べ物を貰うことも多いのかも知れない。

今日も快晴。8時過ぎにホテルを出発、1時間ほどで国境(ジンバブエとボツワナの国境、ザンビアやナミビアとも接している地点 )に到着、ジンバブエを出国してボツワナの入国審査場に向かう。
ボツワナのイミグレーションは入国カードとパスポートだけで査証料が要らないので助かる。デビアスのDTC(ダイヤモンドの取引所)をロンドンから移設させ、世界で2番目の産出を誇るダイヤモンドの収益をボツワナにも落すようにして豊かな経済になっているのがこうしたビザ代にも表れているようだ。

で、今回のチョベ国立公園見物の基点になっているロッジに10時前に着き、2台の4WDに分乗してサファリドライブ(現地ではゲームサファリと言っている)に出発する。4WDは丁度ゴルフカートのようにドアーを取っ払い、テントの屋根を付けているので見通しはすこぶる良い。座席は3人掛けのシートが段差をつけて3列配置されており、後の席に千葉から参加のご主人と2人で座ることになった。
さて、Big5のうち、いくつが見られるだろうか。

ゲームサファリ

10分ほどで公園に到着し、いよいよゲームサファリが始まる。我が方のドライバーはMr.マブタ、小柄で愛嬌のある若者(?)である。
5分ほど走ったところで車がストップ、マブタさん指差す方向を見ると丘の茂みにアフリカ水牛がいる。
アフリカ水牛は群れをなして行動すると聞いていたが1頭だけのようだ。70~80mも離れているので迫力はないが、最初の獲物がビッグファイブの1つのアフリカ水牛とは今日はなんだか朝から縁起がよさそうだ。

続いて見えてきたのがイボイノシシ、5~6頭の家族が朝の食事中である。これも50mくらい離れているので臨場感に乏しい。インパラの雄が1頭、こちらはわりと近くにいるが車が近づいても平気の様子である。

しばらく進んでいると、車道のそばの枯れ木にアフリカハゲコウが止まっている。
枯れ木に群れて止まっているので、一瞬ヒッチコックの映画を思い出させて不気味である。左手の水溜りのまわりでもアフリカハゲコウが餌を啄ばんでいるが、こちらはなごやかな雰囲気だ。

あちこちでインパラの群れを見ながら10分くらい揺られていると、マブタさんが車をストップさせた。
茂みの向こうで何か動いているようだ、で、しばらくするとはっきりと姿が見えてきた、象である。1頭だけかと思ったら5~6頭いるらしい。
わずか10mも離れていないところに野生の象がいると思うと何だかわくわくしてくる。 マブタさんの話では頭の形が丸くなっているのがオスで、頭の形が四角いのがメスなんだそうだ。

車が進むにつれて、あっちでも此方でも象の群れに遭遇、1頭の象がほんの3~4mのところまで近づいてきて、巨大な頭をこちらに向けてきた時には腰が落ちる感じであった。隣のご同輩を見ると、顔は凍っていた。

象さまが車道をゆっくりと横切っていく時には、人間どもは手前で車を止めてじっと待っていなくてはいけない。丁度、象の群れがチョベ川に水を飲みに行く時間のようである。

象の群れを何度も見て有り難味がちょっと薄れて来たと思っていると、マブタさんが何やら仲間と連絡をとってから車を斜め横の道に進めた。で、しばらくすると遠くに2頭のキリンが見えて来る。さらに進むと右手の茂みにはにょっきりと首を伸ばして葉っぱを食べているキリン、たらふく食べた後なのかゆったりと休息しているようなキリンなどがいる。キリンの居住区らしく、この地域一帯はのんびりとした感じだ。
この後、ブッポウソウの仲間らしいピンク、青、うす緑など鮮やかな色をした鳥、イボイノシシ、カバなど見てチョベ川沿いで小休止、ミネラルの小瓶が配られる。

帰り道でもインパラや象の群れに何回も遭遇するが、チョベに行けばすくなくとも象は見られるよと言われるのが実感できた感じである。マブタさんの話ではチョベ国立公園には7万頭の象がいるとのこと。