さて、ヘリコプターの発着場に着いてみると20人くらいが待っているようだが、6人乗りのヘリ2機が交互に発着しているので30分も待てば順番がくるはずである。
係員に体重計に乗せられた後、ヘリの乗り口の方に進んでいると後から来た外人が前に割り込んでくる。なんでも重量調整をしているらしいが、かなりアバウトで例の新婚さんも後からきて先に乗って行く、滝の上空に掛かっている綺麗な虹が消えない内に乗りたいと話し合っている間に、虹も消えてしまう。

そんなこんなでちょっと不平を一口くらい言いたい気分であったが、ヘリが飛び立った途端に全部消え失せた。(前の組の人からパイロットの隣がベストだと耳打ちされたので、ちゃっかりその席を占めている)

旅行社のパンフレットの写真ではビクトリアの滝はデビルズ・キャタラクト、メイン・フォールズ、レインボー・キャタラクトやイースタン・キャタラクトなどの滝がほぼ一直線に並び、全長は約1700mだと言う。500mもの高さの水しぶきが舞い上がる光景がすぐ目の前にあると思うといささか興奮気味である。

サバンナが眼下に広がり、今日から3泊するホテル専属のゴルフ場が見えて来たと思ったら、ザンベジ川とビクトリアの滝の水煙が近づいてくる。

ヘリが滝の対岸の雨林の上空に回って一番手前の滝のデビルズ・キャタラクトの正面に来た時、シャッターチャンスと思ってカメラを半押してもファインダーに赤い点が出ずシャッターがおりない。一眼レフの知識がない上に慌てているので半押しを繰り返すだけである、若しやと思って電源を入れ直してみると作動するようになった。
何のことかさっぱり分からないが、とにかく、ヘリはメイン・フォールズの中ほどに進んでいるのでシャッターを押し続ける。

少し広角にしてメイン・フォールズとレインボー・キャタラクトを撮っていると、滝の出口が見えてきた。全長1700mの滝から降り注いだ水が1箇所に集まって来る所である。地上ではここがジンバブエとザンビアの境目となっているらしいが、毎分5億リットルの水が一挙に流れ出すので舞い上がる水煙にかき消されて谷のようすは分からない。

ザンビア側に進んで行くと正面にイースタン・キャタラクトが見えてくる、この滝が一番迫力があると感じてシャッターを押しまくっていると、ヘリが旋回をはじめてイースタン・キャタラクトを横から、続いて上流から眺めるように回っていく。

レインボー・キャタラクト、メイン・フォールズ、デビルズ・キャタラクトの上流から、それぞれの滝の落ち際を眺めながら進み、再びデビルズ・キャタラクトを横から見る位置にくると、デビルズ・キャタラクト、メイン・フォールズ、レインボー・キャタラクト、イースタン・キャタラクトなどの滝が一直線に見え、ザンベジ川のゆったりとした流れがいきなり滝つぼに流れ込むと言うか、大地の裂け目に注ぎ込まれるようである。

ヘリは旋回しながら少し上昇して再び対岸を進んで行く、今度はデビルズ・キャタラクトがはっきりと撮れ、メイン・フォールズ、ホースシュウ・フォールズ、レインボー・キャタラクトやイースタン・キャタラクトをゆっくりと眺めることが出来た。
そしてヘリが最後の旋回をした時、左手の下に待望の滝の化石が姿を現した、第2峡谷(Gorge)、第3峡谷と第4峡谷が見える。ごつごつと荒々しい感じの過去の滝の跡で峡谷と言うより、ずばり自然がおりなす大地の裂け目である。

現在のビクトリアの滝も、デビルズ・キャタラクトの辺りから数千年後には次の新しい滝が出来て、滝の化石の仲間入りをするらしい。
で、無事にヘリポートに着陸、12分ほどの遊覧飛行はあっという間であったが、皆さんそれぞれ満足気である。

ホテル到着は15時半ちょっと前、関西空港を前日の16時10分に発ったので、28時間半あまり経ってやっと宿にたどり着いた勘定になる。
今晩から3泊するホテルであるが、部屋は広くベッドも大きい、バスタブも付いていて水回りにも問題はなさそうだ。テラスに出てみると周りの芝生ではインパラが遊んでいて、さらに右手を眺めるとビクトリアの滝の水煙が見える。

添乗員にねじ曲がった鍵を直して貰うように頼んで、さて一服と思ってテレビをつけてみると映らない。電話するとすぐに技術の人が来ていろいろ調べてくれたが原因が分からない、結局、取り替えてくれることになった。

ビュッフェ形式の夕食の後、CNNを見ているうちにねむったようで、目が覚めたら2時だった。