バオバブの巨木

今日も快晴、ホテルを8時半に出発する。ホテルの敷地を出てちょっと走ったところでバオバブの巨木が見えてきて写真ストップ、皆さん巨木をバックに順番にカメラにおさまる。このバオバブは何本もの木が寄り集まったように見えるが1本の幹で、高さは35m、樹齢は1000年とも1500年とも言われているが年輪がないのではっきりとは分からないと言う。
枯れ木のように殺風景な姿であるが、バオバブは落葉樹なので冬期には葉っぱが落ちてしまうためらしい。

バオバブと言えばマダガスカルが有名で、徳利のような形をした幹と発育不良で根っこのような枝をしたバオバブの写真をよく見るが、バオバブには幾種類もの種類があってアフリカのサバンナにはこのバオバブのように樹齢1000年を越え、太い枝が四方八方に伸びているものあるようだ。
上下さかさまの木と呼ばれるバオバブは、不平ばかり言うバオバブに腹をたてた神様が、根を引っこ抜き逆さま突き刺したためだと言われている。いかにも愉快な話しではある。

ビクトリアの滝(ジンバブエ側)

5分ほどでビクトリアの滝に着き、車内で雨カッパに着替え、クロックスまがいのサンダルを履く。カッパは上下セパレーツで昨年ギアナ高地旅行のために用意したもの、危ないと感じた時にはカッパの内側に一眼レフカメラをしまいジッパーを閉じて雨や飛沫からカメラを守ったのだが、今度もうまくいくだろうか・・・・

入場口のところで、アダさんが案内板の絵を指差しながらごく簡単な説明をしてくれた、デビルズ・キャタラクト、メイン・フォールズ、レインボー・キャタラクトなどがあり、観光は対岸の遊歩道に沿って見物するが、ところどころにビューポイントが設けられているようだ。
(旅行社のパンフレットではデビルズ・キャタラクトには7つのビューポイント、メイン・フォールズに2つ、レインボー・キャタラクトとイースタン・キャタラクトにそれぞれ1つのビューポイントがあるという)

入口をくぐって遊歩道に進むと、道の両側には熱帯雨林のようにマホガニー、コクタン、ヤシなどが生い茂り、ツタやシダが絡まっている。そもそもこの辺りは茶色い大地にまばらな木々が点在するアフリカサバンナ地帯であるが、滝の水煙が降りそそぎ雨林を形成しているようだ。添乗員の話では900種類以上の植物が繁茂しており、緑ゆたかなアイルランド島に匹敵するらしい。

皆さんの後について遊歩道を歩いていると、地鳴がだんだんと大きくなり右手が開けてきて轟音と共に濁流が落下する光景が見えて来た。デビルズ・キャタラクト(デビルズは悪魔、キャタラクトは瀑布なので‘悪魔の瀑布’の意のようだ)である。デビルズ・キャタラクトはデビルズ島を東西に挟むように流れているので、西側の瀑布を横からちらっと眺める格好で、ビューポイントはまだ先だそうだ。

2~3枚写真を撮ってからアダさんの後を歩いていると、リヴィングストンの銅像の前に出た。ビクトリアの滝をヨーロッパに最初に紹介したイギリス人である。
宣教師だそうだが、軍人と言ってもいいような面構えである。1855年と言えば宣教師も軍人もたいして変わらなかったのかも知れない。

さて、ビューポイントを2番目、3番目と進んでいくにつれて、滝つぼから吹き上がる水しぶきで視界は悪くなるが、デビルズ・キャタラクトの全体像がぼんやりと見てきた。

デビルズ・キャタラクトは流れがデビルズ島にぶつかって2つに分かれて狭くなり、さらに湾曲した両岸に激突、奔流となって落下している。現地の人々はこの激流を ‘悪魔の瀑布’と怖れたようだ。
イグアスの滝にも‘悪魔の喉笛’があるが、とてつもなく巨大で凶暴な自然を前にすると、アフリカであれ南米であれ人は畏怖の念をいだき、そこに悪魔(神)をみるのかも知れない。

遊歩道を進み、メイン・フォールズのビューポイントの辺りに来ると視界は殆どなくなり、さらに降り注いでくる水しぶきが一層激しくなる。その上、横なぐりの土砂降りが不意に襲ってくるので一眼レフを取り出す余裕はない。コンパクトデジカメをさっと出して撮り、すぐに引っ込めたりしながらメイン・フォール2~3枚シャッターを押すのがやっと、かすかにでもメイン・フォールの雄姿が撮れているだろうか。

メイン・フォールズに続いてホースシュウ・フォールズやレインボー・フォールズがある筈だが、ビューポイントに立っても判然としない。レインボー・フォールズの落差は108mでビクトリアの滝の中では最長だとパンフレットに書いてあったが何にも見えないので実感がない、さらにアダさんの後を歩いていると遊歩道の行き止まりに着く。危険地点(Danger Point)と呼ばれている処で対岸はザンビアである。ここで、東西1700mの滝壺が合流してボイリング・ポットと言う溜まりになり、一挙に下流に流れ出すのである。

危険地点を右手に折れてしばらく進んでいるとビクトリアフォールズ橋が見えてきた、 第2峡谷(Second Gorge)に架かっている橋でジンバブエとザンビアの国境にもなっている。橋のたもとに立つときれい虹が懸かっているのが見える、さんざん土砂降りに痛めつけられたあとだけに、皆さんほっとしてカメラにおさまる。

アダさんにビクトリアフォールズ観光のベストシーズンはいつ頃かと尋ねたら、年にもよるが8月がいいと言うことであった。
ビクトリアの滝は増水期と渇水期で水量が10倍も違い、渇水期には滝の上を歩くことも出来るらしいが、渇水期では滝の迫力を感じるのにはちょっと物足りないし、逆に土砂降りで、視界が0では興趣が湧かない。
滝の全容がそれなりに見え、かつ、瀑布の迫力も感じられるのが、年にもよるが8月ということのようだ。

負け惜しみを言えば、ビクトリアの滝の全体像をヘリの遊覧飛行で掴み、滝の圧倒的な迫力を地上で感じることが出来きるこの時期はセットで考えるとベストシーズンの1つとも言えそうだ。

フィッシュ&チップス

昼食はビクトリアの滝からすぐの処あるイララ・ロッジというホテルのレストランでフィッシュ&チップスである。

フィッシュ&チップスと言えばイギリス、イギリスの食べ物がまずいと言われるのはローストビーフとこのフィッシュ&チップスが代表している。紙に巻いて手渡される油ギトギト、生臭い匂いのフィッシュ&チップスはお腹が空いていても半分も食べられなかった記憶がある。ビクトリアフォールズでフィッシュ&チップスがレストランのメニューに載るのはジンバブエが長い間イギリスに支配されていたなごりなのかも知れない。

添乗員に昼食はフィッシュ&チップスですと言われて、なんでビクトリアフォールズまで来てフィッシュ&チップスなんだよという気にもなるが、とびっきり格安ツアーなのでツアーの中身については不満があってもすべて飲み込むことにしている。

で、テラス席でブーゲンビリアなどが美しく咲く庭を眺めながら、ポテトとタマネギのスープ、フィッシュ&チップスとデザートにボリュームたっぷりのアイスクリームをいただく。白身魚は期待に反して結構美味しい、素材が新鮮なところがよろしいようで。