ドレスデン観光

遅めの朝食をとって、昨日の続きの見物に出かける。

ツヴィンガー宮殿

ツヴィンガー宮殿は18世紀の初め、神聖ローマ帝国の摂政についていたアウグスト1世強王が造営したバロック様式の宮殿だが、途中で造営が中止され博物館、美術館や図書館に変身したそうだ。

劇場広場に面した建物をくぐってツヴィンガー宮に入ると広々とした中庭の通路の向こうに王冠門(クローネントーア)、右手にツヴィンガー宮の門館(ヴァル・パビリオン)、左に数学・物理学館の3翼館が拡っている。
王冠はポーランドの鷲4匹で支えられポーランド王でもあったことを示しているらしい。

門館はアウグスト強王がポーランドの王冠を手にし、ヘラ(権力)、アテネ(知恵)、アフロディア(愛)の女神に囲まれた構図でツヴィンガー宮の中でも最も壮麗なバロック様式の館であるが、その機能はアルテ・マイスター絵画館への階段がある館に過ぎないとも言われている。

アルテ・マイスター(古典・巨匠)絵画館

歴代のザクセン王が収集した15世紀から18世紀の絵画のコレクションであるが、アウグスト強王と息子のアウグスト2世の時代にその大半が収集されたと言われている。

2階がメインの展示室となっていて、入口を右手に進むとドイツ、オランダ、フランドルの絵画の部屋で、まずルーベンスが2室、‘メルクリウスとアルゴス’、‘レダと白鳥’、‘パリスの審判’など20点あまり展示されていて、さすがという感じである。

次がレンブラントの部屋、‘ガニュメデスの誘惑’、赤い花をもったサスキアなど、突き当たりに部屋に、フェルメールの‘やり手婆’、‘手紙を読む少女’は神戸と東京に出張中。

ウィーンの美術史美術館を昨年訪れた時にも、‘アトリエの画家’が神戸に出かけて留守であったが、金満日本人のフェルメール好きがよく分かる。
右手の階段を下りた中2階にデューラーやホルバインなど。

もとに戻り、左手に回るとイタリア絵画が展示され、最初の部屋はティントテットで‘聖ミカエルのサタンとの戦い’、‘女達の演奏’など。

ティツィアーノは‘聖母子と4博士’、‘白い服装の婦人の肖像’などなど、ジョルジョーネの‘まどろむヴィーナス’と続き、圧巻はラファエロのシスティーナの聖母で、幼いイエスをしっかりと抱きかかえたマリアが、素足で雲を踏んで近づいてくる様子が描かれている。一点をみつめているようなマリアは気品に満ちて美しく、見る人を釘付けにしている。

アウグスト2世がどうしてもラファエロが欲しくて大枚を叩いたらしいが、現在、ドレスデンに人々を引きつけるのがこの絵である。
コレッジオ、ボッティチェリなどをみて、3階に上がるとベラスケス、ムリリョなどスペイン画やフランス画など。

武器博物館

アルテ・マイスター絵画館と通路を挟んで反対側にあるのが武器博物館、アルテ・マイスター絵画館のチケットで入場できるので、ついでに見物。

ヨーロッパ全土から収集した16世紀から18世紀ころの豪華な甲冑、槍、刀、馬具などが展示されている。

緑の丸天井

ツヴィンガー宮殿を出て、レジデンツ宮殿西翼の緑の丸天井へ。

緑の丸天井は17世紀後半、宮殿内の芸術の部屋の天井が緑色に塗られていたことからきている。昨年、宮殿の緑の丸天井が修復、ヨーロッパ有数の宝物館が再現されている。金銀細工の宝飾品、象牙や琥珀の工芸品、宝石をちりばめた器、ブロンズ彫刻などなど。

黄金のコーヒーセット、 186の顔が彫られたさくらんぼの種、象牙のフリゲート、真珠の人形など見ていて楽しいが、最大のものは‘ムガル帝国皇帝の宮廷’で金製、彩色エナメル像137体、5千以上のダイヤモンド、ルビー、エメラルドや真珠がちりばめられたアウラングゼーブ皇帝の宮廷の様子を表現したもので、精巧な細工に驚嘆させられる。貧乏人としては、費用が気になるが、小城ひとつくらいは造れたのだろうか。

この後、アルバティーヌムのノイエ・マスター絵画館に。

ノイエ・マイスター(近代・巨匠)絵画館

アルテ・マイスターが18世紀までの絵画館であるの対し、こちらは19世紀~20世紀のグスタフ・カールス、ルートヴィッヒ・リヒターなどドイツロマン派や、印象派など絵画2500点あまりを所蔵しており、ゴッホ、ドガ、マネやゴーギャンなども展示されている。