ロンドン~ミュンヘン

ロンドンを発って、ドイツに移動する日である。
ヒースロー空港、9時30分発、ブリティッシュ・ミッドランド航空でミュンヘンに向かう予定となっている。

空港に2時間前に着くように6時半にホテルをチェックアウトする。
BDのミュンヘン便はルフトハンザの機材で第2ターミナルから出発すると聞いていたが、念のためコンセルジェに確認すと、そのとおり、第2ターミナル発で、9時半発なら8時過ぎホテルを出発すれば充分だと言われる。

タクシーでパディントンまで行き、ヒースロー・エクスプレスに乗れば30分ちょっとで行けるのだろうが、‘金はないが時間はたっぷりある旅だ’と言うと、片目をつぶって、よい旅をと笑顔を返してくれる。彼らはEU域内のフライトはシャトル便感覚で利用しているようだ。

ツアーのロマンチック街道観光ではミュンヘンはノイシュヴァンシュタイン城観光の基地で、夕方に着いて市庁舎を横目に見て、ホーフブロイハウスでビールを飲んで翌朝早く出発するスケジュールだったので、今回はバイエルンの都をもう少し見てみようと思っている。

4時間弱のフライトで、ミュンヘンに着く。
8年ほど前に仕事の帰りにトランジットで降りたことがあるが、ターミナルはきれいになっていて、リニューアルされたようだ。

空港地下駅に行きSバーンに乗る。急行だろうから停車駅は少ないと思っていたが、やたらと止まり、30分も走っても町が近づいた様子がない、隣の人に中央駅に行くのだがと聞いてみると、6つ目が中央駅で着いたら知らせると言われて安心する。

ミュンヘン観光

ミュンヘンの宿は中央駅周辺の安宿街のこじんまりしたホテル、2時半出発の市内観光ツアーを予定しているので、部屋に荷物を置いてすぐに中央駅のインフォメーション・センターに行く。

ニンフェンブルグ城の観光が含まれているコースのチケットを買い、バスに乗って出発を待っているとインフォメーション・センターの人が乗り込んできて、これはあなたのカメラかと茶色のカメラケースを差し出される。

言われるまで気付かなかったが、チケットを買う時、説明に気をとられて置き忘れてしまったようだ。どうも最近こうした物忘れがちょくちょく起き老化が進んでいるようだ。

それにしても、バス乗り場までわざわざ届けてくれるドイツ人の生真面目さに感謝々々。
カールス広場やオベリスク、新、旧の絵画館などを車窓から眺めながら、しばらく走ると4気筒のBMW本社ビルが見てくる、博物館も併設されているが、休館中らしい。

ガイドはドイツ語を交えながらの英語。どちらも殆ど聞き取れないのでどちらでもいいわけだが、野蛮人、野蛮人と何回も繰り返すのが気になり、ホテルに帰って電子辞書を開いたら、bavarianをbarvarianと聞き違えていたようだ。rがあるかないかでえらい違いになる。

ニンフェンブルグ城

ミュンヘン・オリンピックの跡地公園を過ぎると、ニンフェンブルグ城が見えてくる。正面には大きな池、緑の芝生が広がり、赤い屋根の立方体の建物が繋がっている。

ニンフェンブルグ城は17世紀の半ばにヴィッテルスバッハ家の夏の離宮として造営され、その後19世紀の半ばまで2世紀に亘って増築が行われてきたと言われている。入口を入ったところが大広間で、広さと壁や柱、シャンデリア、天井のフレスコ画などの装飾に壮大な気分にさせられる。

フレスコ画はニンフとフローラ、ヴィーナスやダナエなどギリシャ神話が描かれているとのこと。
北ウィングの控えの間、タペストリーの部屋、寝室などを見て南ウィングに回ると、ルートヴィヒ1世の美人画ギャラリーがある。

36人の美人の肖像画に財産をつぎ込んで、退位の原因になったとか。それにしても、ヴィッテルスバッハ家と言えば、皇帝バルバロッサからバイエルンの地を与えられて以降、戦闘的に領土を拡大した剛毅の血筋だと思っていたら、このルートヴィヒ1世や城作りに血道をあげた孫のルートヴィヒ2世などの軟弱な王様も出てきて愉快である。

ヴェルサユー宮殿の庭を思わせる広大な裏庭をみてニンフェンブルグ城の見物は終わり。

再び市内に戻り、勝利門、マクシミアン大学、レジデンツ、オペラ座、イザール門などを車窓観光して、丁度5時にバス乗り場に着く。

5時と言っても日は高いが、月曜日なので美術館など休館しているか、6時には閉まるので、歩行者天国のノイハウザー通りやマリエン広場をぶらぶらすることにする。

ノイハウザー通りは屋外のテラス席でビールを楽しんでいる人で溢れていて、暑いしのども渇いているので仲間入りする。ミュンヘンは世界のビールの本場と言われるが、下戸には日本のスーパードライの方が美味しい気がする感じがするが、どうなんだろう。

新、旧市庁舎やペーター教会、フラウンエン教会など見て回り、通りの店で晩飯のソーセージとサラダ、ジュースを買う。レジで棚の値札の金額を支払うと足らないと言われ、レシートを見せられる。VATかと聞くと、そうではなくペットボトルのデポジットらしい、ペットボトルを返せば返金されるのだろうが、持ち帰った後、ボトルを返却に来る時間は旅行者にはないわけだから、腑に落ちない話だ。