ウスアイア観光2日目、今日も天気予報に反して晴れである。2日間で観光する予定だった日程を1日で全部済ませることになるので、忙しい1日になりそうだ。
8時25分、ホテルを出発する。

ビーグル水道クルーズ

1832年、イギリス海軍の2回目の探検にダーウィンが乗船、南米各地の地質や動植物をつぶさに観察した。このビーグル水道では動植物よりも、先住民について多くを語っているが、

‘このような連中を見ていると、彼らがわれわれと同じ人間であり、同じ世界に住む住人だとはとても信じられなくなる’とか‘野蛮人と文明人がこれほど違っていようとはとても信じられなかった’などと述べている。侮蔑と嫌悪に満ちた皮相な見方とも思われるが、若き博物学者が人類の起源について思いをはせるきっかけになったのかも知れない。

昨日の船舶博物館のビーグル号の説明には、

‘Among other things, naturalist Charles Darwin described – unfortunately -the primitive inhabitants of the area’

とあった。

ともあれ、ダーウィンが通った海峡をクルーズするんだと思いながら乗船する。
チケットをみるとペンギン島へ行く5時間のクルーズではなく、トリの島、アシカの島を見物、灯台のすぐ側を通って帰る3時間のクルーズである。

ビーグル水道は大西洋と太平洋を結び、フェゴ諸島の本島(大島)とナバリノ島やピクトン島、オステ島などの島々を隔てる240kmにもおよぶ水道である。水道の幅は広いところは10km、狭いところは1kmだそうだ。

気温は10℃前後でも、船上で風に向かうと体感温度が4~5℃低くなるので、皆さんダウンを着て真冬の出で立ちである。9時半に出航、ウスアイアの町並みを眺めていると、背景にオリビア山とシンコ・エルマノス山が並んで見えてきた。町なかからのアングルでは2つの山を揃ってみることが出来なかったので、暫らく雄姿に浸る。シンコ・エルマノス (Cinco Hermanos)は5人兄弟という意味らしく、なるほど頂上には峰が5つある。

20分ほど走ったところで、船が速度を緩めて小さな岩礁に近づく。よく見ると岩礁の上には無数の鳥が舞っているようだ。カウケンという雁の種類らしい。夏の餌が豊富なビーグル水道で子育てをして、寒くなると北に帰って行くのだろうか。

船がさらに進んでいくと、海の色は藍鉄色と言うか濃い藍に変わり、遠くに雪を頂いた山々が見える。寒さを忘れて見入っていると、今度は少し大きな岩礁が見えてきた。岩礁にはオタリア(アシカの類、英語ではsea lionと呼ぶ)が群れをなして寝そべっている。ひときわ大きいのが雄、たてがみのような毛が首回りを覆っているので海のライオンと呼ばれるにふさわしい。ハーレムの主は10頭ほどのメスを従えているらしい。

ケープ半島では何千頭という気味が悪いほどの数のオットセイをみたが、ここは、せいぜい100~200頭のコロニーのようだ。並んで寝そべっているメスの姿はなんとなく可愛いが、群れをひきいるハーレムの主は獰猛で凶悪な感じである。

岩礁はオタリアとウミウがシェアーしているようで、右手をみると、数え切れないほどのウミウが岩礁を覆っている。それこそ、あしの踏み場がないほどなので、子どものウミウを捜そうとしてカメラを望遠にしてもよくわからない。

この後、エクレルール灯台の側を通ってウスアイアに戻る。ケープ半島では小さいペンギンのコロニーしか見られなかったので、今回のツアーでは、ペンギンの大生息地を、ぜひ、見たいと思っていたが、ペンギン島に行くことが出来なかったのが残念である。ま、予定をこなさなければならないので先を急ぐ。

(予定変更の損益計算書)

  • ペンギン島まで行くクルーズのキャンセル:-300ペソ
  • 船舶博物館、元監獄:70
  • オタリオ島までのクルーズ:200
  • 差し引き:-30

添乗員は無料で船舶博物館、元監獄の観光を案内すると言っていたが、有料にしても30ペソが浮く勘定になる。コーヒー一杯くらいサービスしてくれると観光客は嬉しいのだが、そこは派遣添乗員、観光客が気づかず、文句も出なければ、旅行社にいい顔をしたいのが派遣の性か・・・・