何回か利用したことのある旅行社のツアーであるが、あまり集客力のない旅行社にしては珍しく年明けに申し込みをした時にはすでに10名を超えて催行決定となっていた。他の旅行社に比べて旅行代金が10~20万円安いことや2月10日出発は1人部屋追加料金が半額に設定されていることが理由のようである。

旅行代金が割安の理由の1つはカタール航空を利用するフライトであるらしい。日本から南米に行くツアーでは成田からアメリカの空港のどこかを経由するのが普通だが、このツアーでは西回りに、ドーハ経由でアフリカ大陸を横断、さらに大西洋を越えてブエノス・アイレスに行くことになっていて、地球をほぼ三分の二周する感じである。アメリカの空港でのわずらわしいさや乗り継ぎ待ち時間の長さを考えると西回りもありかなと納得である。

月末になって最終日程表が送られてきたが、よく見ると3日目と4日目のウスアイアの観光日程のところに注書きが一杯ある。

それら中で、4日目の午前中予定のビーグル水道クルーズが3日目の午後に変更されていることについて、‘ビーグル水道クルーズの今期のスケジュールは、15.30分~21.00となっている’という注書きがちょっと気にかかった。それでなくても短い夏の書入れ時に午前中のクルーズを取りやめにすることってあり、と思ってインターネットで調べたら、3社ほどが3時間とか5時間のクルーズをそれぞれ午前と午後に出していることが分かった。

旅行社に電話してみると、 ‘わが社のはペンギン島まで行くクルーズなんです’という返事である。ペンギン島へ行く5時間のクルーズはほかの社でも取り扱っているようだし、日程変更の理由にはならないはずだがと問うと、企画担当に聞いてみますということであったが返事はいらないと断った。

パタゴニアツアーは、この旅行社にとって新企画らしいのでノウハーウの蓄積があまりなく現地のエージェントの言いなりになっているのかもしれない。

当日、関空の集合時間は21時半である。バスが5~6分、私鉄が12分、梅田から空港リムジンが1時間ほどだが、今回はタクシーで家を出た。で、私鉄の駅に着いた途端に部屋の電気を消したかどうか記憶がなく心配になってきた。9日間も留守にするので、慌てて引き返してみると電気は消えている。運転手には安心して旅行を楽しんで下さいと慰められる始末、とほほ・・・・

それでも、早めに家を出ていたので集合時間にはなんとか間に合ったが、今度は空港で買った雑誌を待合室に置き忘れてしまった。痴呆が進んで、今、何をしようとしているのか元のところに戻らないと思い出さないともしょっちゅうあるので、旅行中、本人が忘れ物にならないように気をつけなけないといけない。

添乗員コールで、今回のツアーの参加者は関空から7名、成田から8名の15人ということであったが、関空の7名は高松の夫婦のほかは1人参加で、1人を除いて、皆さんそれぞれ年季のはいった熟年である。ことに、新大阪と名古屋のお二方は80台だそうだが、お元気そのものの様子である。お二人にあやかりたいが痴呆の進行が許してくれそうにない。

さて、日付が変わって0時5分、予定より早く関空を出発、ドーハまで12時間ほどのフライトが始まる。深夜便にもかかわらず座席はほぼ満席である。わがツアーの1人参加の皆さんは通路側の席を占めているようで、以前のツアーでもそうだったが、この点では旅行社の気配りが感じられる。水平飛行に移って、早めの食事の後は映画をみたり、うとうとしたり、退屈な時間を過ごす。