イラン航空の成田~テヘラン便は、ボーイング747SP、短胴で300くらいの座席である。45機しか作られなかった珍しい機種で、製造後かなり経っているようだ。
ツアーはわれわれの1組、イラン人の乗客もぱらぱらといった感じで、後方の横2席が空いている席に移らせて貰う。

ソウル経由便なので仁川新空港に着陸、一旦機外に出てトランジットの手続きとなる。ソウルからも同じ飛行機なので出口の近くにトランジットの待合室があるのかと思ったら、通常のトランジット手続のようで、広い空港ビルをトランジットのエリアまで行き、エックス線検査を通って、また搭乗口に戻ってくるので空港ビルをぐるっと回る感じである。

ソウル到着前の食事は遠慮したが、それでも3回の食事があり、食っては寝、寝ては食うようで、何ともしまらない感じである。フライトはウルムチ、ゴビ砂漠、タシケントの近くを通過するルートでテヘランに近づくと、女性の服装についてのアナウンスがある。

イランでは外国人の女性でも、髪や肌を出すのを避け、体の線を隠すようにしなくてはいけないとのこと。イラン人のスチュアーデスはさすがに着こなしている感じだが、わがグループの女性陣のなかには風呂敷をかぶったように見える人もいて慣れるまでに時間がかかりそうだ。

ツアーの参加者は28人、そのうち1人参加が19人と異常に多いのと、いつもは女性が7~8割を占める海外旅行では珍しく男女がほぼ半数なのが特徴である。
1人参加の追加料金がないこともあるが、イランと言えば怖いとか危ないという先入感があり、楽しいこともあまり無さそうなので、奥さんを誘っても1人で行ったらと言われたり、友達も嫌がったりで1人参加になった人が多いようだ。
それだけにヨーロッパなどは見終わった人、世界遺産マニア、シルクロードの延長線の人など多士済々のようだ。

イランについてのお勉強

飛行機のなかで、食ったり寝たりしている間に、旅行社から送られてきたガイドブックを拾い読みしたが、イランは世界最初の大帝国を築いたペルシャの時代から、アラブの侵入によるイスラム化、トルコやモンゴルなどの異民族支配の時代、近代では西欧列強による領土の侵食など、3500~4000年の歴史は複雑で一筋縄ではいかない感じである。
で、おもなできごとなどをまとめてみる。

王朝、年代など できごとなど 観光
BC20世紀 南ロシア高原からインド・ヨーロッパ系の部族がイラン高原に移住。
当時イラン高原にはエラム王国があった
考古学博物館
ペルセポリス万国の門碑
メディア王国
BC715~550
エラム王国はアッシリアに滅ぼされ、アッシリアはイラン高原西部に定住したインド・ヨーロッパ系の一派メディア人に倒される ペルセポリス
アケメネス王朝
BC550~330
イラン高原南部に定住したもう一派、後のペルシャのキュロス大王がメディア王国を倒し、アケメネス王朝を興す。
アケメネス王朝はインドからエジプトまでを支配する大帝国となる。
ダレイオス1世は中央集権国家を整備する。ゾロアスター教浸透
ダレイオス1世の後、クセルクセス1世、アルタクセルクセス1世・・・・と続く
ペルセポリス
ナクシュ・ロスタム
考古学博物館
アレキサンダー大王
BC330
アレキサンダー大王によりアケメネス王朝は倒され、アレキサンダーの死後、幕閣のセレウコス朝となる 考古学博物館
ペルセポリス
パルティア王国
BC248~AD226
地方分権国家、ローマと死闘を繰り返す。シルクロードの交易を盛んにした
ササン朝
AD226~651
パルティア時代の後、アルデシール1世がササン朝を興し、オリエント以東を支配する帝国となる。シャプール1世はローマ皇帝を捕虜にする、400年続く。ゾロアスター教が国教になる ナクシュ・ロスタム
アラブ侵入
アッパーズ朝
AD750~1258
イスラム軍が侵攻し、ササン朝滅亡。
ウマイヤ朝、アッパーズ朝など徐々にイスラム化する
トルコ系侵入
セルジューク朝
AD1038
トルコ系セルジューク朝、中央アジアからシリアを支配 ジャーメ・モスク
モンゴル侵入
イルハーン朝
ティームール朝
チンギス・ハーンのモンゴルがイランに侵入、イルハーン朝、ティームール朝と続く ジャーメ・モスク
サファヴィー朝
AD1501
エスマイール1世、全国を統一、戦乱時代に終止符をうつ。アッパーズ1世、首都をエスファハンに移す。シーア派を国教にする イマーム広場、
イマームモスク
シェイク・ロトフォラーモスク
アリカブ宮殿
チェヘルソトウン宮殿
アルメニア教会
ハージュ橋、33橋
アフガン侵入
AD1722
サファヴィー朝滅亡
ザンド朝
AD1736
ナーデル、アフシャール朝を興し、イランを再統一、インドに攻め込むが暗殺される。
アフ シャール朝の没落後 、一時期 イランを支配 した キャリー ム・ハーン・ザンドが都をシラーズに置く
シラーズ
キャリー ム・ハーン宮殿
ガジャール朝
AD1796
トルコ系のガジャール朝がイランを再統一、首都をテヘランに置く。西欧帝国主義列強に領土を侵食される シラーズ エラム庭園
パファラビー朝
AD1925
立憲革命によりカジャール朝は倒れ、パーレビ1世がイラン最後の王朝を興す。
石油が出て、西欧化を急ぐが独裁圧政、ホメイニのイラン革命で1979年に滅びる
イラン・イスラム共和国

テヘラン、シラーズ、ヤズドとエスファハンを回るツアーなのでアケメネス朝、ササン朝、サファヴィー朝などがポイントのようだ。