今回のイラン旅行は、ホテルは4つ星、ヤズドでは5星クラス。シラーズがオリエンタルであった以外は生野菜や果物が豊富なビュッヘスタイルの朝食で、昼食、夕食も結構美味しくて満足であった。

ただ、最終日のテヘランの部屋はいただけなかった。旅行中ずっとツインの部屋であったこともあるが、シングルで、バスタブがないのは仕方ないにしても、シャワー室と洗面所の仕切りがなくシャワーを使うと洗面所がびしょびしょになったり、ドアーの鍵も半分壊れかけていたりして落差が甚だしい。盗られて困るものもないので部屋替えの要求はしないが気分ははなはだよろしくない。

さて、イラン観光もあっという間に最終日となる。

国立考古学博物館

イスラム以前とイスラム後の2つの建物に分けて展示されているが、われわれの見物はイスラム以前の旧館だけである。
入口を入った正面にBC5000年頃の石器が展示され、右まわりに進むと年代順に見られるようになっている。素朴なうつわ、動物の絵が描かれた壷、ユーモラスな動物の形をした陶器など土器のコーナー。印章や迫力満点の牡牛像、土棺、ハンムラビ法典のレプリカなどを見ながら進むとペルセポリスのコーナーにいたる。

クセルクセス1世謁見のレリーフ

ダレイオス大王のものと言われてきたが、帽子の形ななどからクセルクセス1世らしい。もともとはアパダナの北階段を飾っていたが宝物庫に移されていたので保存状態が非常に良い。王座に座った王は右手に笏、左手に蓮の花束を持っている。

前には香を焚く2本の筒が置かれ、メディア人と槍持ちのペルシャ人は貢朝使節を王に紹介している。王の後ろには蓮の花束を持った王子、タオルや斧を持った高官や槍持ちなど。保存状態が良いので登場人物の表情も分かって興味深い。

中央宮殿の階段、アパダナの牡牛の柱頭、スフィンクス、エジプトで作らせたダレイオス1世の立像(残念ながら頭部が欠けている)などペルセポリスのコーナーは面白い。

この他、人面有翼獣や兵士のレリーフ、ソルト・マン(塩漬けの首)、セラミック陶器、パルティアのシャミ王子像などなど。
イランの首都の国立考古学博物館にしては小ぶりな展示だが、アレキサンダー大王がペルセポリスの宝物を略奪したように世界中にペルシャ帝国の遺物は散逸しているようだ。

ガラス・陶器博物館

ガラスや陶器の紀元前から19世紀までの貴重なものが展示されているらしいが門外漢で興味がない。そんなこんなで陶器とガラスの代表選手を、それぞれ1品。

陶器

ノウルズのご馳走を盛ったという7つ穴があるお皿、イランにも日本と同じようにご馳走を作り、家族や親戚が集まって新年を祝う慣わしがある。

ガラス

涙壷、戦地に赴いた夫の無事を祈って、留守宅の妻が流した涙を溜めたと言われている。

宝石博物館

イラン中央銀行の地下金庫にある博物館、まず、セキュリティチェックの厳しさに驚かされる。お金とパスポート以外はバスの中に置いて下さいと添乗員に言われていたが、銃を持った兵士が見守るエックス線検査は空港より厳しい。

薄暗い部屋に入ると、サファビー朝以来のイラン歴代王家が収集した宝石類がライトアップされケースに狭しと並べられている。豪華絢爛ぶりにため息がでるほど。

パーレビ王冠

レザー・ハーンやパーレビが被ったと言われる王冠、ダイヤモンドが3000個以上も使われているそうな。

宝石地球儀

宝石が5万個もちりばめられた直径66cmの地球儀である。イランの位置にはダイヤモンドで輝いている。

ピンクダイヤモンド

182カラットのダイヤモンド、ピンクのダイヤモンドでは世界最大。光の海と呼ばれている。ナーデル・シャーに敗れたインドのムガール皇帝から贈呈されたものと言う。

ナーデルと言えば、ムガールから戦利品として略奪した‘孔雀の王座’が知られているが、この博物館に展示されているものはレプリカだそうだ。

撮影禁止なので、最後に絵葉書をたくさん買って宝石博物館の見物はお仕舞い。

イランの人たちは人なつっこい。チャベツ大統領ではないが、悪魔がイラクのようにイランを滅茶苦茶にすると、こうした無辜の明るい人々が地獄に落とされる。世界の叡智がOK牧場の暴走を制止することを願って、イラン観光はお仕舞い。