エジプト神話の予習
寝たり起きたり、うとうとしたりしてかなり飛んでいると思ったが、まだ残り時間が6時間もある、時間つぶしにエジプト神話の予習を始める。

古代エジプトは多神教で、天地創造の神々や太陽や月などの神とかエジプト各地の守り神など、わが八百万の神のようにやたらと神様がいて頭が混乱する。

神話のなかでオシリス、セト、イシス、ホルスなどが登場し、セトが兄のオシリス王を暗殺してナイル川に流したり、オシリスの妻イシスが捜し出して来ると今度はばらばらにして捨てたり、イシスが身ごもっていた子供ホルスを生むとセトは神々の会議でオシリスのペニスはちょんぎって魚に食べさせたのでオシリスの子供ではないと主張したり、なんとなくイシスの処女懐胎が認められたり、ホルスが成長して王位を取り戻す話など人間臭くて面白いが、天地創造の話もいくつかあって興味深い。

ヘリオポリス(太陽の都市・・・カイロ近郊)の伝説では暗黒の闇の海からアトゥムが自力で生まれてきて、まず住むための丘をつくり、大気の神シューとテフネトの兄妹をつくる。二人は夫婦となりゲブとヌトを生んだ。
ゲブとヌトは結婚し仲が良かったのでシューが嫉妬し、二人が抱き合っているところにシューが割り込みヌトを高く押し上げてしまった。

その結果ヌトは天になりゲブは大地となった、天と地の間に充満した大気はシューである。ヌトはゲブから引き離された時、子供を宿していたがシューは1年(30日×12ケ月)、どの月にも子供を生むことを禁じてしまった。この時、知恵の神トトが同情し、月とかけをして勝ち5日の閏日を手に入れ、ヌトはこの間に子供を生むことが出来た。
それが先ほどの話に出てくるエジプトに送りこまれたオシリス兄弟というわけだ。

ところで、古代エジプトの神と言えば、まず太陽神ラーである。太陽神ラーはヘリオポリス起源とされるが、ラーはこの天地創造のお話とどのように繋ってくるのであろか。
太陽神ラーは最高神であり、闇から生まれし光、宇宙の魂であるので、ヘリオポリスのラーの神官団はラーを全ての神々の上に立つ原初の神にしようとして、アトゥム=ラーと同化させる話しを作り上げたものと思われる。アトゥムにとっては迷惑な話かもしれない。

王は神、あるいは神の子として、また神に庇護された存在として王権が認められるので、王としても神々との付き合いは民を掌握するためにも大切なことだったと思われる。
おもな神々を並べてみると、

 アトゥム神
シュウ神
ヌト女神
ゲブ神
トト神
天地創造の神話
空気の神
天空の女神
大地の神
学問と知性の神、神界の書記

鋭い嘴のトキの頭を持つ

 太陽神ラー

アメン神

神話の創造主、最高神

テーベの守護神
太陽神ラーと習合し、アメン・ラー神となった最高神

 頭上にコブラが巻付いた太陽の円盤を頂く
2枚の羽毛冠をかぶる
 オシリス神  死者復活の神、冥界の支配者、弟のセトに殺される
ホルスの父、セトの兄、イシスの夫
 緑色の顔とミイラの体、
両手に王権を表すネケク(穀竿)とヘカ(杖)を持つ
 イシス女神 王座や死者の守護神、豊穣の女神
すべての女神の母、エジプトで最も人気のあった神
ラーの孫、オリシスの妻、ホルスの母
 頭上に王座をのせた女性、または牛の角を持ち日輪をつけた女性
 セト神 オシリスの弟、嵐と暴力の神  正体不明の動物の頭
 ホルス神  エジプトの主神、
すべての王はホルス神の化身とされる、天空の神
オリシスとイシスの子
ハヤブサ、またはハヤブサ
の頭を持つ
 ハトホル女神 純愛の女神、出産の神、死者の守護神 牡の角と日輪を頂く
女性
 ケプリ神  創造神として太陽神ラーと同一視
され、太陽神の日の出の姿を表す
太陽円盤のなかのスカラベ(糞ころがし)
 アテン神 アクエンアテン王により最高神となる 先端に手のついた光線を持つ太陽円盤
 アヌビス神 死後の世界の神
墓の守護者、ミイラ作りの神
最後の審判、死者の心臓と正義を表すダチョウの羽毛を天秤にかける
 山犬の頭をもつ
アマト女神 真理、正義の神、死者の裁判で天秤に魂と彼女のつけている羽根を乗せる  頭のダチョウの羽根
 アピス神  古代エジプトの聖なる牡牛  角の間に日輪をのせる

頭がこんがらがってきて、また横になって寝たり起きたりしていると14時間の長旅が終わる。飛行機を降りて入国審査場に行くと、現地の旅行社の人が審査場の中に入ってきてビザをパスポートに貼ってくれる、なんともおおらかな国なのか、いい加減な国なのか、楽しい観光になりそうだ。