今日はバスでルクソールを出発し、エドフとコム・オンボの観光をした後、アスワンに移動することになっている。
警察の車に前後を警護されながらの走行なので、7時にホテルを出る。警察署の前で10台ほどの大小のバスが隊列を組み7時半にアスワンに向けて出発する。

エジプトにとって観光は国家収入の30%を占める重要産業なので、97年に起きた原理主義者による観光客の殺戮がまた発生するとエジプト経済への打撃が大きいのでピリピリするほど警戒しているようだ。

ナツメヤシの林や砂糖キビ畑の広がるのどかな農村地帯を2時間ほど走ってエドフに着く。エドフはグレコローマン時代には上エジプトの州都とされた町だ。

ホルス神殿

ホルス神殿はなぜかナイル川の西岸にある。神殿はプレトマイオス朝時代のもので巨大な門塔には王がホルス神の前で敵を打ち負かす様子が描かれている。
第1列柱室の前には二重王冠を被ぶりハヤブサの姿をしたホルス神像が佇んでいて写真撮影のスポットとなっている。

第1列柱室に入ると、柱にはコリント様式の装飾がされている、この列柱室には天井も残っていてエジプトの神殿のなかでは最も保存状態がよい神殿とされている。
第2列柱室の奥には前室、至聖所が続いている、前室の天井は黒くすすけているが、後にキリスト教徒が台所にしていたためらしい。

コム・オンボ神殿

エドフを出発して1時間あまりでコム・オンボに到着。
コム・オンボ神殿はプトレマイオス時代に建てられ、ローマ時代に完成した神殿でギリシャのパルテノン神殿を思わせる様式である。
この神殿の最大の特徴は塔門の入口、通路、至聖所もそれぞれ2つあり神殿全体が二重構造になっていることで、ハヤブサの頭を持つハロエリス神とワニの頭を持つソベク神の2つの神に捧げられたものと言われている。
神殿の壁には太陽の運行をもとにした暦に1年の行事が詳しく刻まれていたり、手術の器具、骨を切るノコギリ、歯の治療器具などの医学、出産の様子などレリーフがあり興味深い。また、神殿の右手のハトホル神礼拝堂にはワニのミイラが保存されている。