ツアーの皆さんとは別行動なので少しゆっくり目の朝食をとる。
ホテルから博物館まで歩いて5分ほどなので8時半にチェックアウト、荷物を預かって貰い、タフリール広場でしばらく通勤ラッシュ風景を眺めた後博物館へ。
カイロ考古学博物館見学 その2
朝一番なので開館時間になってもあまり混んでいない。まず、正面の大ギャラリーの奥に行き巨大な坐像を見る、アメンホテプ3世と王妃ティの像である。
エジプトでは王家に属する女性を妻に迎えることで王権を正当化する風習があったが、アメンホテプ3世はこの風習を無視して民間人の出であるティを妻にしたと言われている。絶世の美女と言われたティにぞっこんであったのだろうか。
次に47号通路でのメンカウラー王の3柱神を見る、片岩製で上エジプトの白冠をかぶった王が真ん中で右に頭上に牡牛の角に挟まれた太陽円盤を頂く女神、左には上エジプトのアビドスを擬した女神を従えている。
他の2像も左に立つのが上エジプト地方神である。片岩製なので黒光りをしており畏怖感を覚える。
通路の突き当たりを曲がって、37号室、このあたりは古王朝時代の出土品の展示が続いている。
この部屋の書記坐像は膝の上にパピラスの巻き物を広げ、右手は書き取りの準備が出来ていますといった様子である。顔は端正でいきいきとしている。部屋の左手には木造のカ・アペル像があり、力強さを感じさせる。
部屋の奥にはクフ王の小さい象牙製の像がある、7.5cmのこの像が現存する唯一の像らしい。
32号室には有名なラーホテプとネフェルト夫婦像がある、目はクリスタルの象がんがはめ込まれ黒く縁取られている。
ラーホテプは赤茶色に彩色されやや上目ずかいに正面を凝視している姿は威厳がある、ネフェルトの方はクリーム色で白い服をまとっている、顔や胸がふっくらとしており穏やかな感じである。
同じ部屋のセネブと家族の像は妻が右手を夫の肩に回し、左手は夫の腕に添えるという何ともほほえましい家族の像である。
さらにこの部屋の左手には鴨の絵がある、近代絵画を思わせる絵はこれが本当に古王国時代に描かれたのと言いたくなるほど精巧である。
26号通路では20人位の人だかりの前でガイドがしゃべっている、ドイツ語のようだが、中王国時代のメンチュヘテプ2世像について説明しているらしい。11号通路にあるハトシェプスト女王の頭部像は女王の容貌をよく表し、赤茶色に彩色された顔の色は男性として描かせたものらしい。
突き当たりを右に折れた通路はハトシェプスト女王のスフインクスがあり、少し進んだ3号室にはアクエンアテン王の巨像4体がある、面長の顔は端正であるが腹が異常にふくれている。実際、王は下腹部がふくれていたようで、美化することなく自分をそのまま彫らせたらしい。
アクエンアテン王はアメン神官が勢力を持ち政治に口出しするのを排撃するため、カルナックのアメン大神殿を閉鎖し、アテン神を唯一神とする宗教改革を断行した強力な個性を持った王である。
アテン賛歌のパネルは太陽円盤から光が降り注ぎ、王は手に権力と永遠の生命の印を持っている、ネフェルティティ王妃は太陽円盤を戴きその上には長い羽根を飾っている様子が描かれていて太陽神を崇拝していることを表しているものと思われる。
同じ部屋に王妃ネフェルトィティの頭部像、ベルリン博物館にある絶世の美女像とは少し違う感じ。
この通路の突き当たりにホルス神に守られる幼いラムセス2世像がある。
その先の通路と部屋はグレコ・ローマンの部屋。
2階に上がり、副葬品の小物を見て回る。
装飾品 | 金のブレスレット、ファイアンス製のネックレス、胸飾り |
生活関係 | やぎの取っ手の金、銀製の坪、赤めのうと金のつぼ、青いファイアンス焼き皿、金のサンダル、ミニチュアの機織場、火を熾している料理人 2艘の網漁、帆掛け舟、漕ぎ舟 |
美術 | パピルス文書、パレットや絵筆などの道具、金とガラスでできた豪華なスカラベ |
王権 | オシリスのからざお |
玩具 | 小人が3人並んでいるブランコのような玩具、青いファイアンス焼きのハリネズミ、青いファイアンス焼きのカバ |
軍事 | ヌビア人の弓の射手40人の行軍 |
古代エジプトでは死後も現世と同じ暮らしをすると信じられていたので、生活に必要な衣食住のあらゆるものは言うに及ばず生活を楽しむ娯楽品なども副葬されていたことが良く分かる。
博物館内は撮影禁止なのでショップで絵葉書をたくさん買ってカイロ考古学博物館の見学は終わり、で、エジプトの観光もこれでお仕舞い。
ホテルに寄り、荷物を受け取って、ドアーマンに空港へのタクシー呼んで貰う。
50エジプトポンドでどうだろうと言うと、ドアーマンが頷いて運転手と話し、OKとなる。ドアーマンが50ポンドを運転手に渡してくれて、1時半過ぎに出発する。
ガイドさんが書いてくれた、第1ターミナルの第1出発ゲートのアラビア語のメモを運転手に渡すとにっこりして人なつっこい。ぶっとばして小1時間、日本円で千円ほどなのでエジプトのタクシーは安い。
帰りの便はいくつかのツアーが一緒になるようで、4席独占と言うわけにはいかないようだ。それでも窓側の2列席で隣が空いているので少しはゆったり出来そうだ。