ルクソール西岸

ルクソールはホメロスが百門の都と謳った首都テーベの一部で、アラブ人がテーベに侵入してきた時、巨大な建築物を見て驚き、城塞(エル・ウスクール)だと思ったことからきている。
ホテルを8時に出発、気温が上がりそうだと言うことで、予定を入れ替えて午前中にルクソール西岸の観光になる。

ガイドさんはカイロ大学の工学部卒の193cmの大男で日本語がうまい。日本大使館の文化広報センターの講座で勉強したのだそうだ。
観光スケジュールの説明などの後、アラビア語ミニ会話のお勉強が始まる。

おはよう  ・・・・ 鯖 腹 減る (サバーハヘイル)
こんにちは ・・・・ 又 腹 減る (マサ アルヘイム)
ハロー   ・・・・ サラ モアー リク
ありがとう ・・・・ シュクラン
バッチリ  ・・・・ メイヤ メイヤー
1、2、3 ・・・・ (ワーヘド)(イトネーン)(タラータ)
などなど
最後にツアー参加者それぞれ名前をアラビア文字で書いて貰って会話教室は終り。

さて、バスは橋を渡りナイル川西岸を走る。以前は西岸には船で渡っていたが10年ほど前に橋が出来て観光客には便利になったそうだ。
全長6700km、世界で一番長いナイル川は源流を遠くヴィクトリア湖やエチピア高原にもち、毎年きまって氾濫、水が引くと肥沃な土が堆積し、豊かな作物を実らせてきた。まさにエジプトはナイルの賜物なのである。
また、古代エジプトではナイル川の東岸は此岸、生者の町で、西岸を彼岸、死者の町として分ける働きもしていた。

王家の谷

ガイドさんによれば、王家の谷に最初に王墓を造ったのはトトメス1世で、古王国時代の王のようなピラミッドへの埋葬は望むべくもなく、テーベ近郊のエル・クルン山の頂上が天然のピラミッドのように見え、この岩山の麓に自分の墓を掘ることにしたのだそうだ。
以来、王様達はこの谷に葬られるが伝統になっていて、現在王の墓は62発見されている。

バスが王家の谷に近づくと、広大な土砂の採掘場のような風景が見えてきて、すでに大勢の観光客で溢れている。
駐車場でバスを降り、シャトルトロッコのような乗り物に乗換えて、いよいよ王墓の見学が始まる。1枚のチケットで3つの墓に入ることが出来、今日はラムセス4世、ラムセス9世とラムセス6世の墓に入ります。

ツタンカーメンは別料金なので別のチケットを用意します。ラムセスを名乗る王は11人いるがラムセス3世以降の王様はラムセス2世の子孫でなく、ラムセス2世死後外国に侵略されたりして混乱していたエジプトを収拾した地方豪族出身のセトナクト王が第20王朝を樹立、その子孫が代々ラムセスを名乗っているとのこと。

ラムセス4世の墓

まず、王家の谷の入口に近いラムセス4世の墓。ガイドさんによれば、ラムセス4世の墓は第1通路、第2通路、第3通路、前室、玄室からなっていて、通路は緩いスロープになっています。
最初の2つの通路には主にラーの讃歌、第3通路に洞窟の書、前室には死者の書の抜粋が描かれ、玄室には、壁に門の書、天井に天の書、玄室の奥の部屋は洞窟の書からシーンで飾られていますとのこと。これらは古代エジプト人の死生観を表しているらしい。

入口を入ると、通路は高さ3~4m、幅が3mくらいで、第1、第2通路にはイシス女神が太陽円盤を捧げているところ、王が太陽神を戴いたハヤブサを礼拝しているところや王の戴冠式の場面、ヒエログリフ文字で王様の名前が書かれているカルトゥーシュなど。

奥に進むと、太陽が夜、地下の洞窟を旅して行く場面らしい場面が描かれ、玄室の天井には天空の書といわれるヌウト女神が描かれている。
玄室には大きな石棺が置かれている。石棺の周りにはイシス神などが彫ってあり、棺はほぼ製作当時の姿をとどめているらしい。
ラムセス4世の治世は7年と短く、第1列柱室になる予定のところに玄室が作られなど計画が短縮されたようだ。

ところで、王のミイラはアメンヘテプ2世墓の隠し場所から見つかったと言われている。ミイラと言えば、古代エジプトでは人は死んだあとも再生復活が出来ると考えられていて、ミイラを作り棺に入れて墓に運んだあと、口開けの儀式などを行って安置すると、そこから魂が出てきて最後の審判を受け、合格すると来世への鍵は貰えるとされていたので、ミイラ作りは大切な仕事であった。

王墓を実際に見て、岩山をくり抜いた墓の巨大さと壮大さに圧倒され、壁や天井の絵が色彩豊かで活き活きと描かれていることに驚き、死者の書などシーンが描かれたのが3000年前だと思うと古代エジプト人の文化の高さに驚嘆する。

さて、ラムセス4世の墓の見学が終わると、またトシャトルロッコに乗って奥に進んで行くが、午前中にも拘らず暑い! 真冬の大阪から真夏の炎天下にいきなり放り出された感じである。添乗員の話では36度を超え、38度くらいになるらしい。

ラムセス9世の墓

ラムセス9世の墓は「洞窟の書」で有名ですとガイドさんの説明を聞いて墓の入口でチケットの端をちぎってもらい中に入る。
入口付近の梁に描かれた王の横顔は端正でなにか現代的な感じがする。
イシス女神とネプトゥシュ女神を伴って太陽神に祈りを捧げているなど、太陽神の祈りの場面など、ラー讃歌が通路に描かれている。

通路を奥に行くと太陽神やへび、オシリスなどが描かれたており、太陽神が地下の洞窟(冥界?)を通って行く様子のようで、洞窟の書の世界らしい。
さらに奥に進むと玄室があり、2段になっている穴があるが、王の石棺はない。奥の壁には王のミイラや太陽円盤、復活の印の糞ころがし(スカラベ)などが描かれて、天井には天空の世界が描かれているが、保存状態はよくない。

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