今日は午前中、スリランカ観光のハイライトの1つであるシーギリヤ・レディを鑑賞した後、午後はオプショナルでスリランカ第2の聖地ポロンナルワ遺跡を見物することになっている。

ホテルからシーギリヤ・ロックまでは10分ほどだが、込み合う前にゆっくりとシーギリヤ・レディを鑑賞しましょうと云うことで7時20分に出発する。途中、ビュー・ポイント(昨日とはちょっと角度が違うようだ)で集合写真を撮るためにストップ。沼地の奥にジャングルから垂直に切り立った崖が聳え、カメラを望遠にしてみると頂上には遺跡のようなものが見える。

そのシーギリヤ・ロックは高さ195mほどで形状は楕円柱、その形成は火山体の浸食がだんだんと進み、火道のマグマが硬化して出来た岩頸が露出したものと考えられているそうだ。

シーギリヤの遺跡は5世紀の後半にカッサパ王によって造られた岩山の頂上の王宮跡と麓に造られた宮殿跡や水路、庭園などからなっていて、岩山の中腹には有名なシーギリヤ・レディが描かれており、当時は500体あったのが現在、残っているは18体だけとのこと。

(シンハラ王朝、第72代ダートゥセーナ王(AD460~477)はアヌラーダプラ近郊に周囲60kmにもおよぶカラー・ウェア貯水池、灌漑施設を造ったり、アウカナ大仏を建立したりした名君であった。

王には2人の息子と愛娘がおり、長男がカーシャパ、弟はモッガラーナと言った。娘は甥の司令官ミガラに嫁がせていた。(愛娘が婿から暴力を受け、その原因が姑にあると知った王は姑を殺してしまう、婿はこのことで王に恨み抱いていた)

カッサパの母親は平民出身なのに対し、弟モッガラーナの母は王族の出身なので王位が弟に譲られるのではないかと恐れていたカッサパは司令官ミガラに唆されてクーデターを起こし、王を牢獄に閉じ込める。

カーシャパに王室の財産の在り処を教えるよう強要された父王はカラー・ウェア貯水池の畔に連れて行き、これが私の財産の全てだと諭すが、怒ったカッサパは司令官ミガラに父王を殺させてしまう。

弟モッガラーナはカッサパ王の追手を避けてインドに逃げていった。
王位を弟に奪還されるのではないかと恐れたカーシャパ王は都をアヌラーダプラからシーギリヤに遷都、父親殺しの罪の意識に苛まれていた王はしょく罪の意もあって父王がやり残していたシーギリヤ・ロック王宮の工事を再開し、7年の歳月をかけて完成させた。

そしてシーギリヤ・ロックの中腹には500体ものシーギリヤ・レディを描かせた。
その後、弟のモッガラーナ軍が侵攻、シーギリヤは陥落してカッサパ王は自害して果てる。カーシャパ王の在位は17年間であった。

モッガラーナ王は再びアヌラーダプラに首都を移したのでシーギリヤはやがて深いジャングルに囲まれ忘れられてしまう。)

さて、シーギリヤ・ロックは1200段ほどの階段を登らなくてはいけない。昨日のダンブッラの岩窟寺院の階段でもきつく辛い思いであったので、添乗員に頼んでヘルパーを雇うことにした。

ガイドが選んでくれたヘルパーはグループのリーダー、190cmの偉丈夫である。ヘルパー料は$15、特別に良くしてくれたら$20払ってやってほしいとのこと。

かっては、ワニが棲んでいたという水路を渡り、入口に上がると庭園が広がっている。王の沐浴場やいくつもの堀を見ながら小道を進んで行くと、穴のあいた丸い石板がある。ガイドによれば丸い石板は噴水なんだそうだ、なんでも地下にパイプが敷いてあり雨が降ると岩山の高所からパイプを通って沐浴場や堀に水を供給する仕組みなっているそうだ。で、たくさんの雨が降ると石板の穴から水が噴き出すらしい。

この後、ちょっと時間にゆとりがあるとかで皆さんは野鳥観察に寄り道されるが、福岡から参加のご婦人と2人、バァ-バとジィ-ジで先行する。

象の鼻と呼ばれる岩を横に見ながら大理石(?)の階段を少し登ると、巨岩がぶつかり合った狭い隙間に階段が通してある。2人並んで通るのがやっとの幅なので敵が攻めて来てもきても難攻不落の感じである。巨岩の隙間に入ると階段の先が見えるので圧迫感はあるが恐怖感はない。

ヘルパーに背中を押して貰い、テラス・ガーデンと呼ばれる辺りにやってくると、階段のあちこちに踊り場が造られている。少し平地を歩けるし、階段の方向も変わったりするのでちょっとだけ気分にゆとりが持てる。休み休みしながらも何とか頂上にたどり着けそうな感じである。

で、いよいよ断崖にやって来た。断崖には鉄製の階段や鉄板のスロープが取付けられている。岩に杭を打ち込んで土台を造り、その上に鉄板をのせて階段を造っているようだ。何だか無理やり階段をくっ付けているようで危うい感じである。

断崖の上の方を見やると所々、鉄パイプの足場が組まれている。崖の崩落防止や階段のメインテナンスなど安全対策が大変のようだ。

そんなこんなで、螺旋階段にやって来た。金網に囲まれているとはいえ、断崖が丸見えである。高所恐怖症には下を覗くと震えそうになる。ヘルパーが覆いかぶさるようにして周囲を隠して呉れて何とか登りきる。