今日はヤーラまで390kmの移動である。スリランカの中央高地の山道をドライブ、途中ヌワラ・エリヤの近郊で茶畑や紅茶工場を見学したりする予定となっている。

しばらく走っていると、添乗員が出番がきたとばかりにスリランカの紅茶について話し始めた;
スリランカではスパイスガーデンで見たようにスパイスが有名だが、もっと有名なのが紅茶で農産物の輸出の半分以上を占めているのが紅茶である。因みにスパイスは1割もないそうだ。

19世紀の初めにスコットランドから多くの開拓者がやって来て、最初はコーヒー農園を営んでいましたが1869年にサビ病が発生、コーヒーの葉をすごい勢いで枯らしてしまうのでコーヒー農園は壊滅状態になっていきました。
この危機を救ったのがスコットランド人のジェームス・テーラーと云う人です。テーラーさんは派遣されていたインドから茶の技術と種を持って帰ると、2年ほどで茶樹の栽培を成功させ、製茶工場も造りました。その後も良い香りを出すための茶樹の栽培の研究を続け、また製茶の機械を開発したりしてセイロン紅茶を世界に広めました。こうしたことからジェームス・テーラーさんはセイロン紅茶の父と呼ばれています。

セイロン紅茶ではリプトンなら誰でも知っているが、スリランカの紅茶産業の基盤を作ったのがジェームス・テーラーと言う人だと初めて知った。

2時間ほど走って小さな町を通り過ぎる。地図(旅行社のツアー資料、地図はい何時もついているようだ)を見るとパセラワと云う町らしい。トゥクトゥクが客待ちしているようなので、キャンディからヌワラ・エリヤに行く観光客が険しい山道行にそなえてランチをしたりして一休みする処なのかも知れない。

再び山道になると車窓の両側に茶畑が広がってきた、一山全体が茶畑になってものもある。
駐車スペースを見つけて下車、茶畑の側道を下りているとガイドが茶葉の摘み方を見せてくれる、茶摘みは開き切っていない新芽とその下の若葉2枚をもぎ取るんだそうだ。
手作業でしかやれない作業なので大量の労働力が必要とされるが、その労働力をタミル人が安価に提供させられていると云うことのようだ。

暫らく走ってグレンロック(GLENLOCK)という紅茶工場を見せて貰う。コーヒー党なので紅茶にはあまり興味がないが、係りの若い女性が一所懸命説明してくれるので有り難く後をついて回る。

  1. 最初の工程はウィザリング(?)、茶葉を萎れさせる工程とのこと。部屋いっぱいに、細長く仕切られた棚が幾つもあって、茶葉が10cmほどの厚みに広げられている。温風をあてて茶葉を萎れさせ水分を30~40%程度蒸発させる。
  2. ローリングの工程、ローリング機にかけて茶葉に捻じれを与えて葉の組織を砕く。
  3. ふるい分け工程、ローリング工程でかたまりなった茶葉をほぐしてやる。
  4. 発酵の工程、湿度の高い発酵室で3~4時間寝かせる。すると茶葉は緑色から赤褐色になり紅茶の香を発するようになる。
  5. 乾燥、100°くらいの熱風で乾燥させる、水分は3~4%になる。

緑茶と紅茶の違いは発酵させるか否かと言うことだそうだ。

別室に移って紅茶について、これまた熱心な説明を受ける。
机の上にはBOPやBOPF GOLDのラベルが貼ってあるビンやOP、PEKOEと表示されたプラスチック容器が置かれている。OPとかBOPは紅茶の等級(グレード)を表すもので茶葉の大きさや形状の分類なので紅茶の品質とは関係ないとのこと。
PEKOEやオレンジペコ(Orange pekoe)は茶葉の形状としては比較的に大きく、細くよじれた長い茶葉なんだそうだ。因みに茶摘みの時、新芽とその下の若葉2枚をもぎ取るが、新芽の下の若葉がオレンジペコでその下の若葉をペコと呼ぶそうだ。
BOPはブロークン・オレンジペコでオレンジペコになる茶葉を細かく砕いたもの、BOPF GOLD
はBOPよりさらに細かくなった茶葉のこと。

この後、皆さん期待の紅茶の試飲タイムとなるが、紅茶にはあまり興味がないのでガイドとおしゃべりをする。1つは聖犬歯について;
釈尊が荼毘にふされてから1000年も経って、しかも遠く1000kmも離れたカリンガ国に聖犬歯があったと云う話は不信心者にはちょっと信じられないし、どちらかと言うと嘘っぱちの感じがする。真偽を確かめたりしたんだろうかう疑問なのだが?
大統領とか寺院の幹部など限られた人だけしか実際に犬歯を見ること出来ない…、など要領を得ない。ただ、くわしいことは知らないので勉強しますと言う返事であった。
真面目なことは確かなようだ。
もう1つはコーランのハウワー(イヴ)が楽園を追放され、スリランカに落とされたと言う話について;そんな話は知らないとのことであった。当然かも知れない。