ファティマのバジリカ(大聖堂)

アルファマ地区のレストランで、あんこうのリゾットの昼食をとった後、ファティマに向かう。
メキシコ旅行をした時、ガイドさんにフランスのルルド、ポルトガルのファティマとメキシコのグアダルーペはバチカンが認めた3大奇跡なんですと説明されたりして、ちょっと調べたこともあったのでファティマの奇跡の現場を見るのは興味津々である。

このツアーのガイドは観光地毎の契約のようで、ファティマはガイドなし観光となっている。そこで、われらが添乗員の出番となる、「ファティマの奇跡と言われるのは第1次世界大戦中の1917年の5月13日、丘で羊飼いをしていた3人の子供の前に聖母マリアが現れたというものです。

3人は10歳のルシアといとこのフランシコ、ジャシンタで、1本の西洋ヒイラギのそばで不思議な輝く姿を見た、それがマリア様であったと言われています。

彼女は子供達に、これから6カ月間、毎月13日にここに来なさいと言い、翌月から子供たちの話を聞いて村人も集まりましたが、聖母マリアが見えたのは3人の子供だけでした。

こんなことが繰り返されて、最後の10月13日には7万人の人々が集まりましたが、またしても聖母マリアは3人だけに聞こえる声で3つの予言をされました。

1つは戦争がもうすぐ終わり平和がくること、2つ目はルシア自身のこと、最後の1つは大変恐ろしいことで誰にも言ってはいけないことでした。
3人はマリア様にあなたの存在が集まっている人たちにも分かるようにして下さいと祈ると、それまでどんよりと曇った雨空の中から、突然太陽が輝き、光が走りました。そしてマリア様はここに礼拝堂を建てるようにと言われましたが、その声も子供達に聞こえるだけでした。

聖母マリアの1番目の予言の通り、第1次世界大戦は間もなく終わり、そして2番目ルシアにかかわる予言では、フランシスコとジャシンタが間もなく天に召されました。
最後の予言は1981年の5月13日、ヨハネ・パウロ2世が暗殺されそうになったのがその内容であったと言われています。

この聖母マリアのファティマでの出現は1930年に厳重な調査のあとファティマの奇跡と認められファティマは聖地とされました」

ファティマ大聖堂(バジリカ)観光

明日が丁度ファティマの奇跡が起きた1917年10月13日から90年になるので、すでに交通規制が始まっていて駐車場も近くのは使えなくなっている。

10分ほど歩いてバジリカの前の広場に着く。(インフォメーションセンターで貰った日本語のパンフレットでは大聖堂と訳されているが、一般にはバジリカと呼ばれている。司教座を持つ教会が大聖堂、一つ都市に一つしかない最高の教会であるが、教会のなかで特に格式が高く、由緒のあるものがバジリカと呼ばれている。バチカンのサン・ピエトロ大寺院など)

広場は30万人を収容するという広大なもので、幅160m、長さが540mあるそうだ。広場のなかほどまで進んで、「バジリカの左手前のたくさんの人々が集まっている建物がご出現の聖堂です。ヨハネ・パウロ2世を襲った弾丸はあのご出現の聖堂の聖母マリアの冠のなかに納められています。正面のバジリカの塔の高さは65m、ネオ・クラシック様式の建築です。バジリカにはフランシコとジャシンタそして最近亡くなったルシアの柩が安置されています」と添乗員の説明があり、近くのインフォメーションセンター前を再集合場所にして40分ほどのフリータイムになる。

ご出現の聖堂ではミサが行われていて大勢の信者や巡礼者が何重にも聖堂を取り囲んでいるので、残念ながら聖母マリア像の冠を確認することは出来ない。

驚いたことにこのご出現の聖堂を目指して、膝でいざりながら這って広場を進んでいる信者が何人もいる。こんな苦行を自らに課しているカトリック信者の日常生活はどんなものか、ちょっと気になるところだ。

バジリカに近づいてみると、正面には大きな司祭席が設けられ、背後の左右の柱廊にはイエスの受難を描いた壁画がある。バジリカの中ではルシア、フランシコ、ジャシンタの棺を拝もうとする長い行列が出来ていて、とても異教徒が写真を撮る雰囲気ではない。

広場にはあっと言う間に雲霞のように人が増えている上に、パイプ柵で真ん中に通路が作られて行き来ができなくなっている。なんとか集合場所にたどり着いたのは二人だけで、時間が過ぎても誰も来ない。いらいらしていると添乗員のイヤフォンが微かに聞こえて各自駐車場に戻ってほしいことのようだ。

さて、聖母マリアの3つの予言、1つ目の「第1次世界大戦は間もなく終わる」は 予言と言うほどのことでもないし、2つ目の「予言の通りフランシコ、ジャシンタが天に召された」と言うのは、なんでそもそもルシアが召されないのと言うことになり、3つ目の「ヨハネ・パウロ2世の暗殺未遂」の話はあと出しジャンケンだと言われても仕方がない気がする。

バチカンが発表した予言の解釈はもう少し生臭く、聖母マリアの汚れない心にロシアを献納するとか、ロシアは戦争と教会への迫害を推し進めながら自分の誤りを世界中に撒き散らしているとかの内容があるらしいが、聖母マリアが10才前後の子供に言ったこととは思えず、ギリシャ神話のアポロンの神託のような気がしてならない。

7万人が目撃したという太陽の光は、100%UFOだという説もあるらしいが、何かが起きたというのは事実のようだ。