シラクーサの観光を終えて、ヨーロッパ屈指のリゾート地と言われるタオルミーナに向けて出発する。予定になかったオルティージャ島の観光が入ったり、ガイドさんの説明がやたら詳しかったりで、シラクーサの観光が1時間半くらい延びたのでタオルミーナのホテルに着くのは7時頃になりそうだ。

途中、トイレ休憩のためにバスを降りると、眼前にエトナさんが見える。現在も噴煙を上げている活火山で標高3,350m、富士山よりちょっと平べったりした感じだが裾野の広がりは雄大である。

ギリシャ神話で巨人族がオリンポス神族に敗れてしまい、ガイアが最後に生んだのが星にも届くと言われた巨体怪物のテュポンだが、ゼウスにシチリアまで追い詰められてエトナ山の下敷きにされた。以来、テュポンがエトナ山の重圧を逃れようとしてもがく度に噴火が起こるのだと言う。いかにもギリシャ人の話作りの上手さに感心させられるし、シチリアはギリシャ神話に事欠かないようだ。

グラン・ブルー撮影の舞台となったイソラ・ベッラが夕暮れに佇むのを右手に眺め、暫く走って今日の長旅がおわる。

ツアーの食事

タオルミーナの高級ホテルやレストランはタロウ山の中腹、ウンベルト通り辺りにあるが、わがツアーのお宿は残念ながら海岸エリアである。

今晩の夕食はレストラン、美しいタオルミーナの海を眺めながらのディナーと言いたいところだが外はもう薄暗くなっている。

多くのツアーではペアーで座れるように一人参加者は最後まで席を待っていることが多いが、一人参加が多いこのツアーではそう言った気遣はいらないので皆さん適当に席をとっているようだ。もっとも一人参加の男性軍は自分と川西市から参加の男性の2人だけなのと、どちらも、女性陣に笑われながら、小ビールを分け合って飲む下戸なので自ずとペアーのように座ることが多い。

女性陣は食欲旺盛、白ワインに続いて赤ワインを空けたりしながら、料理や旅の話で盛り上がっている。(いつも思うのだが、ツアーの食事ではだいたい7割くらい食べてお腹が一杯になったと思っていると、女性軍は全部平らげたりして健啖ぶりに驚かされることが多いい。ダイエットを気にしなくなるとこうなるのだろうか)

タオルミーナの席はわれら2人にセレッソの本拠地の長居から参加のご夫婦と唯一人のビジネス搭乗の福岡の女性である。一見何の繋がりもない5人だが、子供の学校の話になって長居のご夫婦が、息子さんがすぐ近くの大学の経済を出たと話すと、川西の男性の子供さんも同じ経済学部、福岡の女性も同窓、自分もキャンパスに駐留軍の跡がまだ残っていた頃の商学部、息子は工学部ということが分かって和気あいあい楽しい夕食となる。ツアーの食事時は情報交換の場でもある。