ナポリ~カプリ島

カプリ島のあれこれ

ナポリのホテルは中央駅の裏手にあるアメリカンスタイルのホテルである。昨年オープンしたばかりのピカピカのホテルであるが再開発地域に建てられているので周辺はまだごみごみしている。

朝、カーテンを引いて外を見るとどんよりと曇っている、昨夜は雨も降っていたので天気が持つのかちょっと心配だ。というより、元々日本を出発する時には雨マークの多い天気予報だったので、今までよい天気が続いたことに感謝すべきかも知れない。

シチリア、南イタリア観光もいよいよ最終日、今日もカプリ島の青の洞窟、ポンペイ遺跡にナポリ市内の車窓観光と盛りだくさんの観光予定となっている。

7時半にホテルを出発、すぐにナポリの通勤ラッシュに巻き込まれてノロノロ運転となる。ゴミの山がいたる所に放置されているのかと車窓を眺めるが、さすがにメインストリートには悪名高いナポリのゴミの山は見当たらない。
ゴミ問題が解決したわけではないのでちょっとわき道に入ればナポリの現実が見られるのかもしれない。

車の流れが止まると、ティッシュ売りが車の間に入って来てティッシュをドライバーに売りつけたりしている。日本では街頭でティッシュをタダで配ったりしているが、ティッシュがタダという方が世界では珍しいのだそうだ。もっともティッシュはそんなに高くはないらしい。

30分ほどでナポリ港のベヴェレッロ埠頭に到着、しばらく待って、8時35分発の高速船で出航する。
天気はすぐに回復する筈もなくどんよりと曇ったまま、デッキに出てナポリ港を撮る気にもなれないので席に座って、イタリア政府観光局から送って貰ったカプリ島のパンフレットを開いてみる。

その説明によれば、カプリ島は、地質学的には石灰質で構成され、海岸線は海にせり出した絶壁が続き、そこには不思議な洞窟が点在している。島の東にはティベリオ山、西にはソラーロ山があり、その間の鞍の部分に、北のマリーナ・グランデ(大きい港)、南にマリーナ・ピッコラ(小さい港)の両港にまたがってカプリの町が位置しているのだそうだ。

カプリ島の語源はラテン語のCapreeae(カプレエ=山羊)に類似しているが、実はギリシャ語のKapros(カプロス­=猪)に由来していて、発掘されたたくさん猪の化石物が島は‘山羊の島’ではなく‘猪の島’であったことの証拠なのだそうだ。

ギリシャの殖民都市の後、ローマの初代皇帝アウグストゥスはカプリ島の天然美の魅力に圧倒され、カプリ島より面積が広く資産の豊かなイスキア島と交換してカプリ島を手に入れたと言われ、後を継いだティベリウス帝はカプリ島から広大なローマ全土を統治し続けたそうだ。そして、その後継者達も島に逗留したり、また貴族達の休暇の場として評判高い地となっていたとのこと。

ローマの後はナポリと同じ運命を辿ったようだが、その自然美と温暖な気候は芸術家を惹きつけ、また現代では金持ちの別荘が立ち並んでいるそうだ。

さて、青の洞窟、添乗員の話では天気が良くても波が高いと洞窟はクローズになったりするので、3回も4回もカプリ島に来ても洞窟に入れない人がいたり、運が良ければ1回で入れることもあるらしい。

ナポリ湾を出ると白波が立っていたりしてちょっと心配だが、旅行社のパンフレットで4月に洞窟に入れる率は96%とあるのが頼りである。そんなこんなで40分ほどでカプリ島のマリーナ・グランデに着く。

カプリ島観光

青の洞窟

われ先にと急ぐ大混雑の中、我らの添乗員が掲げる子豚のぬいぐるみを竿の先に付けた目印を見失わないように小走りついて行き、青の洞窟への乗り場に着く。

青の洞窟へ行くモーターボートが出ることは青の洞窟に入れることだと添乗員の説明があって一安心、20分ほどで青の洞窟に到着する。

観光客が殺到すると洞窟の周りで1時間も待たされることがあるらしいが、先行しているモーターボートは2隻だけなのですぐに3~4人乗りの手こぎのボートに乗り移って洞窟の前に向かう。入口の穴は幅が2m、高さは1mほどだが、洞窟は水面下で海とつながっており、太陽の光が紺碧の海をくぐり石灰岩の海底に反射して、水面下から洞窟のなかに屈折して差し込んでくるため、洞窟の中はコバルト・ブルーと言われる水面が広がり神秘的な世界が醸し出されるのだそうだ。

いよいよ順番が来るとボートに仰向けになって頭を下げるように言われ、船頭が波の引きに合わせて穴の上に取り付けられている鎖をぐいと手繰って穴を潜るのである。洞窟の中は真っ暗、一瞬何にも見えない、7~8隻は洞窟の中に入っているはずだが左右を見回してもボートらしき気配が感じられるだけだ。ボートが奥に進み、しばくすると目がなれてきて壁や水面が見え始める、洞窟の中は結構広そうだ。

水面は濃いダーク・ブルー、どんよりと曇った天気なので洞窟の中をカプリ・ブルーの世界にするには光量が弱すぎるようだと思っているとボートが回転して洞窟の入口が見え始め、そこからエメラルドグリーンに輝く水面が伸びている。それは閉じられた暗い空間から浮かびあがるようプリ・ブルー、これだと思っていると、もうボートは出口に向かっている。

洞窟の中にいたのは4~5分ほど、あっという間に洞窟見物は終りである。でも、高速船を降りる時には‘駄目らしいと’いう噂を流す輩がいて、最悪駄目かもと覚悟していたので青の洞窟に入れたうえに、青の洞窟のカプリ・ブルーをちらっとでも目にすることが出来たのは幸運と言うべきか。

この後はマリーナ・グランデから小型バスで坂を昇り、カプリの町の中心ウンベルト1世広場でフリータイムとなる。 青の洞窟見物が順調に行き過ぎたので昼食の時間まで小1時間もある。

添乗員に‘島の反対側に下りるとマリーナ・グランデとは違った景色が楽しめますよ、10分ちょっとで行けます’と薦められてヴィットリオ・エマヌエル通りやセレーナ通りのブティックや土産物屋などを眺めながら下りて行き、アウグスト公園に着く。マリーナ・ピッコラやファラニオーニの岩島が見えるのかと期待していたが視界が悪く、ちょうど見ごろの藤棚をみて引き返す。