ソグネフィヨルド観光

‘1000~2000mもの厚い氷河が重さに耐えかねて山の斜面を下っていくと、厚い氷に底にある大地を深くするどく削って深いU字形の谷がつくられます、これがU字谷です。

氷河が海の方に押し流されて出来たU字谷に海水が浸水して出来た入江がフィヨルドです。U字谷は内陸深くまで続いているのでこれからクルーズするソグネスフィヨルドは全長204km、一番深いところは1300mもあります、ベンゲルの北から内陸に延び、先に行くといくつもの細い支流に枝分かれしています’、‘今日はソグネフィヨルドの2つの支流、ナールオイフィヨルドとアウランフィヨルドをクルーズします。

グドヴァンゲンからナールオイフィヨルドを下り、2つのフィヨルドの合流点で向きを変えアウランフィヨルドを上ってフロムに着く2時間のクルーズです’と添乗員の説明。

乗船時間となり、運良く2階船尾デッキの一番後ろの席をツアーの6、7人で確保する、この船には船首にデッキはないので、われわれの席が両岸ともよく見えるベストシートのようだ。

11時30分、150人ほどの乗客の大半はヨーロッパ人で、カラフルで賑やかに出航する。出発後20分、フィヨルドの幅はせいぜい250mほど、見上げる両岸には切り立ったような断崖絶壁が続き、名もない滝が流れている、絶景としか言いようがない。

バッカ村という小さな集落、 ヘスタネス滝やオドネス滝などに見とれていると、スティヴィ滝が左手に見えてくる、美智子さんも北欧訪問の時に見た滝とのこと。麓の村は人口20人くらい、スカンジナビア半島で一番小さい郵便局があるらしい。

添乗員が、かもめが飛んできてパン切れをつついたりするので、興味のある人は朝食の残りを持って行くといいですよと勧めていたが、なるほど5、6羽群れて船に近づいてくる。左舷の席に座っているわがツアーの人がパン切れなげるとさっと飛んで来て上手にくわえていく、そのうち差し出した手からパンをつつくようになり、皆の喝采を浴びる。

フィヨルドの幅も広くなりアザラシが見えることがありますよと言われたディルダールの辺りにさしかかるが、今日は姿を見せないようだ。

東山魁夷が描いたと言われるサーグ滝を見たりしているとナールオイフィヨルドとアウランドフィヨルドの合流点、バイテレンに着く。右手の700~800mの切り立った断崖に見とれているとまた、小さな集落が現れる。さらにしばらく進むと、少し大きな集落にさしかかる、ウンドレダールという村でブラウンチーズというヤギのチーズで有名なのだそうだ。

船上はフィヨルドの風が結構強く冷たいので、このころになると体の芯まで冷やされたのかデッキの人は少なくなる。カイロを背中に2枚貼っていたが、効果うすく操舵室の後ろに移って風をよけながら、折角の風景を堪能する。

こうして2時間のフィヨルド観光が終わる。何処までも続く断崖絶壁、深いフィヨルド、どこまでも静かな水面、行き止まりかと思えばまた開けてくる水路、この風景は目に焼きついて忘れられない気がする。

クルーズの後はフロムの港のレストランでちょっと遅い昼食となる、添乗員は皆の飲み物のオーダーをまとめたり、次の観光の資料を配ったりで、ここでもこまねずみのように忙しい。

フロムのレストランのハイネケン、驚くなかれ72クローネもする、ざっと日本円に換算すると1400円、昼食のことなので銀座の高級レストラン並みか? 夏の間の3カ月で1年分を稼ぐので観光地の物価は高いのは分かっているつもりだが、ちょっとひど過ぎませんか。

 フロム~オスロ

フロム鉄道

オスロからグドヴァンゲンまではバスの旅であったが、帰りは鉄道の旅、バスは先回りしてオスロで待つことになる。4時5分にフロムを発ち、オスロに着くのは10時半、5時間半ほどの長旅である。

ソグネフィヨルド観光のもう一つの人気がフロム鉄道、フロムから海抜866mのミュルダールまで20kmを40分かけてゆっくり走る。

フロム駅を出発して、次の駅ではもう絶壁が目の前、圧倒的な迫力に感激していてると、牧場なども見えてくる。

峡谷に落ち込むフロム川やナイフで切り取ったような断崖を眺めながら進み、いくつかの短いトンネルや長いトンネルを抜け、カーブにさしかかると切り立つ絶壁にフロム鉄道の軌道が3階層になっているのが見え、こんなところを走るんだと驚かされる。

さらに少し進むと左手に巨大な滝が見えてきて車内にオーと言う喚声があがり、皆が立ち上がる、ヒョース滝だ。列車もトンネルの入り口で停まる、駅ではないホームに降りて滝の前に進むと滝しぶきが飛んでくる。93mの瀑布は迫力満点、素早く順番に写真を撮る。

列車が再び走り出すが、全員が乗車したのを確認して発車するようだ。曲がりくねったトンネルの中で180度回転しながら走ってミュルダールに着く。

ベンゲル鉄道に乗換えて、いよいよオスロに向けて出発、このベンゲル鉄道も最近世界一美しい路線の一つに選ばれたとか。次の駅のフィンセの辺りがベンゲル線で最も高いところで、全く木がなくツンドラ地方のように薄い苔のようなものが僅かに見えるだけで、夏でも雪が解けないようだ。遠くに見えるのはハルダンゲル・ヨークレーン氷河であろうか。

1時間あまり走ってヤイロという駅を過ぎるころ山に緑が見えて来て、さらに10分も走ると木が高くなってくる。気候と植物の縮図をみるようでなかなか面白い。