オスロ~フロム

昼食後、いよいよフィヨルド観光の基地、フロムに向けて出発、5時間あまりのドライブである。
ドライバーは現地の人手が足りなくてスエーデンから来ている応援ドライバー、初めて走る道とか、添乗員は何回も走ったルートなのか自信がありそうだ。

B4版のオスロ~ベルゲン間の地図、A4のソグネフィヨルドのクルーズマップが配られる。
B4版の地図をみるとボルグンド、フロム、グドヴァンゲン、スタルハイムやミルダールなどこれからの観光ポイントに蛍光ペンでマークしてあり旅程を頭に入れるのに都合がよい。

バスが3時間あまり走り、海抜1000mくらいの山岳地帯に入ると、徐々に景色が変化し、ごつごつした山と深い谷が見えてくる。氷河が山肌を削って出来たU字谷である。スイスのラウターブルネンで見た雄大なU字谷は単数であったが、ここでは険しいU字谷を見ていると山や丘の向こう側に別のU字谷が現れて車窓にパノラマのように展開されてくる。

ボルグンドのスターブ教会

山岳地帯を抜けて少し走ると、右手に石垣の中の墓に囲まれた奇妙な建物が見えてくる。スターブ教会というノルウェーの教会である。
スターブ教会とは聞きたことのない教会だが、スターブがノルウェー語では丸太という意味なので、文字通りには丸太教会ということ。

木造の屋根は一面にこけら板で覆われて、屋根の両端には龍頭が付いている。龍頭はヴァイキング船の船首と船尾にあったものと同じく魔除けを、屋根一面に覆われたこけら板は龍の鱗をそれぞれ意味するとのこと。

スターブ教会はヴァイキングの時代より100年後くらいに建てられた教会で、当時はキリスト教と土着の宗教が入り混じった時代であったので、このようなノルウェー独特のスタイルになったようだ、1200以上あったスターブ教会だが、現在残っているのは30ほど、このボルグンドの教会では今でも日曜礼拝が行われているらしい。

フィヨルド観光

短いフリータイムの後、再びバスにゆられていると、バスはトンネルに入る。添乗員によれば、このトンネルはラルダールトンネルと言い、24.5km、世界最長の道路トンネルなのだそうだ。トンネルの途中には広い空間が3つあり、青色や黄色でライトアップされている。長いトンネル内を走るドライバーの圧迫感を和らげるように工夫されているようだ。

北欧観光の最大のハイライトがフィヨルド観光で、フィヨルドを見たいために北欧ツアーに参加していると言ってもいいほどだが、朝、目を覚ますと雨が降っている。観光に雨降りは気分が滅入るが、殊に、フィヨルド観光で雨にかすんで景色が見えないとなれば最悪、様にならないと思いながらバスに乗る。添乗員の昨日の口ぶりではガイドは別行動でフロムに入っていると思ったが、どうやらガイドは来ていないようだ。

今日のフィヨルド観光はソグネフィヨルドの一番奥にあたる2つの支流をグドヴァンゲンからフロムまでクルーズするスケジュールだが、バスはグドヴァンゲンを通り越してスタルハイムに向かう。

スタルハイム展望台

グドヴァンゲンから20分あまり走ってスタルハイム展望台の麓に着く。
370mほどの山の上にホテルがあり、そのホテルに通じる道がスタルハイムスクレイヴァ道、やっと通れるほどの道幅で対向車が来たらお手上げだ。13のヘヤピンカーブがあり、カーブをうねりながら曲がる度にシヴレフォッセン滝ともう1つの滝が見えたり隠れたりする。急傾斜と急カーブで左右に振られ、落ちたら助からないなと思っているうちに頂上に着く。

スタルハイムホテルの裏手の中庭が展望台になっていて、自由に出入り出来るようだ。オスロの国立美術館で最初に案内された‘スタルハイムから’を思い出しながら展望台に進むと、U字谷の風景が眼前に広がってきて、息を呑むような絶景をしばし楽しむ。

ホテルに戻ってお茶を飲んでいる間に雨も上がってきて、添乗員の心がけがよいので雨があがったなどとヨイショしたりしてフィヨルド観光の気分も盛り上がってくる。