バスがガムラ・スタンとセーデルマルム島を結ぶ橋のところに差しかかると、‘ガムラ・スタンの北側と南側にある橋がメーラレン湖とバルト海の境目です、こちら側の橋の下には水門があり、船はこの水門に入ってメーラレン湖とバルト海の水位を調節してからバルト海に出るようになっています。

ガムラ・スタンの北側の橋は水門がなく流れが急なので船の乗り入れは禁止されています、その代わり鮭などを放流しているので誰でも自由に釣りを楽しむことが出来ます’とガイドさんの説明。
バスはメーラレン湖沿いに市庁舎の対岸を走り、長い橋を渡って市庁舎に向かう。

市庁舎

ストックホルム中央駅西側のメーラレン湖畔にたつ赤煉瓦の建物で、市のシンボル。
3つの王冠が輝く高さ106mの塔と赤煉瓦の建物は中世の宮殿のように優雅で気品があるが、建てられたのは20世紀になってから。建物はナショナル・ロマン様式を基本に、ルネサンス・スタイルなどさまざまな様式を調和させているのだそうだ。

青の間

内部に入ると、まず青の間という大ホール。天井まで吹き抜けになっていて中世イタリアの修道院の中庭の感覚をイメージしているとガイドさんの説明。当初、壁を青色に塗る計画であったが、天窓から採光された光が赤レンガの壁に映えて美しいので中止、名前だけが残ったらしい。

このホールではノーベル賞の授賞式の後の晩餐会が開かれるが、1300人の招待客の前で司会をするのは昔から女子大生で、何カ国語を自由にしゃべれ、紙の書いたもの読むのではなく自分の言葉で表現できることが条件なのだそうだ。

青の間の奥の階段を2階に上ると、事務室や会議室が並んでいて、各国からの贈り物が展示されている部屋にはローマのオオカミの彫刻などが展示されている。

市議会議場

ガイドさんによればストックホルムの議員さんは101人、うち10人くらいがプロの政治家であとは職業を別に持っている人達で普通の市民と変わらない生活をしているとのこと。

議会は隔週の月曜日の夕方に開かれ、自転車に乗ってやってくる議員さんもいるようだ。政党は保守党、キリスト教民主党、社会民主党などだが、緑の党が強く47人もいるらしい。

議場の天井はヴァイキングのログハウスを思わせる造りになっている、その昔ヴァイキングの時代には、冬が近づくと船を陸に上げ、船を逆さにして議論をしたと言われ、この言い伝えがモチーフになっているようだ。

宴会ホールに続く卵形の小部屋は豪華なゴブラン織りのタペストリーで飾られ、毎週土曜日には結婚式が挙げられるとのこと。

黄金の間

見学の最後は黄金の間、ノーベル賞受賞パーティーの舞踏会の舞台として使われるが、この部屋だけがきんきらきんなんですとガイドさん。1900万枚の金箔モザイクで飾られた壁面は豪華絢爛そのもの。

北側の壁の絵は女性で、ストックホルムを意味しているそうだ。ストックホルムはメーラレン湖の女王さまと言われているので、そのイメージで描かれているらしい。

女王さまは両手に権力のシンボルであるしゃくと冠を持ち、膝の上に市庁舎を抱いてストックホルムを守り、足の下にはメーラレン湖が広がっているので、ストックホルムを描いているのだと言うことがよく分かる。

ガイドさんによれば、女王さまはお釈迦様のポーズをとっているようで、東洋的な雰囲気がしますと言うことだが、東洋人へのヨイショかも知れない。

メーラレン湖の女王さまの右側には東洋の国が描かれ、インドの象や3角帽子の中国人など、左は西洋でパリのエッフェル塔、少し左にマンハッタンの高いビル、アメリカの国旗や自由の女神など。世界の中心が自分の国なのは洋の東西を問わないようだ。 (旅の日程へ)

12時20分発のX2000でマルメに向かう。X2000はスエーデンが誇る北欧の新幹線といったところだが、コペンハーゲン近くで遅れることがあるとかで、マルメからコペンハーゲンにはバスで移動するスケジュールになっている。長時間なので警察物の小説を読み始めるが、原書は久しぶりなので格好の眠りクスリ、4時間半の殆どは船を漕いだようだ。