ポレチュ見物を終え、5時過ぎに今夜の宿泊地のオパティヤに向けて出発する。地図を見るとオパティヤはイストラ半島の東側の付け根の辺りにある。クヴァルネル湾を挟んでオパティヤはリエカと向き合っているようだ。

添乗員によれば、オパティヤはウィーンからもアクセスが良いのでオーストリア・ハンガリー帝国時代にはハプスブルグ家の王侯貴族たちがこぞってこの地に別荘(ヴィラ)を建てたと言う。海沿いには19世紀に建てられたそのヴィラが建ち並び、今はその多くはホテルとして使われている。

‘クロアチアの貴婦人’とも呼ばれるところが、今日我々が泊まるオパティヤなんだそうだ。
そのホテルだが、もともとヴィラとして建てられたものをホテルに転用しているので部屋の大きさやバスタブなどの設備も一様ではない。屋根裏部屋のような部屋に泊められたこともあるとのこと。

町のリゾートとしての歴史は隣町リエカの富豪スカルパが19世紀半ばに奥さんの名前を付けて海辺にヴィラ・アンジェリーナという別荘を建てたことに始まる。
敷地内には中国、日本、オーストラリア、南米などから持ち帰った椿、木蓮、椰子、バナナ、ユンカなどエキゾチックな植物を植えヨーロッパの上流階級の人々を招いた。

特にオーストリア皇帝フェルナンド1世夫人マリア・アンアを迎えてからオパティヤはオーストリア貴族の間に広く知られるようになったようだ。

この地を訪れた有名人はオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ、ドイツのウィルヘルム2世、スエーデン王、ブルガリア、ルーマニア王族など、またイタリアのプッチーニ、マスカニーニ、オーストリアのマーラーなどなど枚挙に暇がないんだそうだ。

ヴィラ・アンジェリーナは、現在アンジェリーナ公園となっており、中に自由に入れるようになっており、ホテルからもすぐ近くなのでお勧めだとのこと。

また、海岸に沿ってリエカの辺りから南のロヴランまで12kmの歩道が整備されており、そのうちの一部がフランツ・ヨーゼフの小径と呼ばれ、夕暮れ時には観光客の熟年カップルもロマンチックな気分になって手をつないで散策する姿が見られるらしい。

まずまず順調なドライブでオパティヤの町に着くが、ホテルを捜すのにもたついてチェックインは6時半少し前となる。ホテルは、なるほど、ヴィラを買い取ったものらしく4棟からなっており、メインストリートのチトー通りと下の通りに分かれているそうだ。(ホテル棟にはそれぞれ、カメリア、マグノリア、ウィステリア、メリアなどオパティヤの花に因んだ名前が付けられているそうだ)

バスは下のホテル棟(カメリア)に着いた為、フロントのあるチトー通りには40~50段ある階段をヨイショヨイショと上らなければならない。我らがツアーはポーターが一切付かないケチケチツアーであるが、さすがに添乗員も荷物はポーターに運ばせることにした。夕食、朝食は下のカメリア棟になるとかでややこしい。

で、部屋に入ってエアコンを調節しようと、いろいろ操作してみてもうまくいかないのでフロントに電話して係員に来て貰う。
何でも、窓とエアコンが連動していて窓を開けるとエアコンが切れるとのことだが、係員が調べてもエアコンは作動しない。結局、部屋を替えて貰うことで決着した。

一応4つ星ホテルということだが、クロアチアの観光はまだ歴史が浅いのでこまかいところまでは目が届かないようだ。

夕食までちょっと時間があるのでヨットハーバーまで下りてみる。