コトル旧市街

フリータイムになって、先ずは聖トリフォン大聖堂へ。

添乗員の話では、大聖堂は有料、聖ルカ教会と聖ニコラ教会は団体だと有料だが、個人で入る分には無料らしい。

大聖堂の入り口では絵葉書やガイドブックが売られていて、ちょっとビックリだが日本語のガイドブックもある。添乗員の説明は消化不良気味だったし、6ユーロを払ってガイドブックを手に入れる。と、売り子のお兄ちゃんが‘大聖堂の中に入ってもよい、階段を上がると美術館もある’と手ぶりで教えてくれる。

中央祭壇

祭壇の4隅に立てられた柱の上に、3層の6角の屋根(天蓋)を乗せたような作りとなっている。トロギールでも同じような作りの祭壇を見たのでバルカン半島で流行した祭壇らしい。

中央祭壇の天蓋と云えば、バチカンの巨大な祭壇が思い出されるが、あれは教皇が説教をするための威厳と威圧を示す仕掛であった。

こちらは小ぶりで上品な感じであり、一層目の屋根を支える柱をよく見るとテラモーネ(人像柱)が何体かあるようで細かい作りである。

祭壇の中には聖人たちの金張りのレリーフが収められており、同じようなレリーフが礼拝堂にも掲げられている。レリーフの一番上の段にはキリストとマリア、それに洗礼者ヨハネが描かれている。2番目の段の中央がコトルの守護聖人トリフォンで、コトルの模型を抱えていると云うことのようだ。

その聖トリフォンだが、ガイドブックによれば、232年頃の生まれで、斬首されたのが250年らしいので18才の若さで殉教したことになる。18才の若さで殉教したことが聖人に列せられる理由だったのだろうか。

キリストの磔刑像やピエタ像などが祀られた祭壇、聖ニコラウスや聖ゲオルギウスなどの絵画、墓石(ガイドブックによれば司教トリポ)、石棺(聖トリフォンを祀った元々の教会を809年に建造したサラツェニス夫妻の石棺)などを見て回る。

2階の美術館も見てみたいがフリータイムが30分ほどしかないので外に出る。で、あらためて鐘楼を眺めながら、ガイドブックを開いてみると1667年の破壊的な地震でファサードや鐘楼などが壊滅的な被害を受け、コトル市民の懸命な復旧工事が行われたが、当時の財政事情により左側の鐘楼は未完成のままとなっているとのこと。バラ窓は復旧工事でバロックの大型のものに作り替えられたようだ。

聖ルカ教会

4福音書のうちルカ伝を書いた聖ルカを祀る教会である。1195年にカソリックの教会として建てられたものだが、一見してロマネスク様式の教堂とわかる。現在は正教の教会であるが、17世紀の中頃からナポレオンがこの地を占領する19世紀の初め頃まではカソリックの祭壇と正教の祭壇が併存していたらしい。

主祭壇の金張りのイコノスタシス(聖障)には、幼子を抱く聖母マリアとイエス・キリストのイコン、その上には磔されたキリストを2匹の魚が支えるような感じの磔刑像が掲げられている。

聖ルカ教会は小さいながら正教の教会らしく荘厳な感じである。また、地震で崩れた内壁のフレスコ画の一部が復元されおり、歴史を感じさせる。

聖ニコラ教会

主祭壇のイコノスタシスにはキリストの生涯や聖人が描かれているようだ。ピカピカの聖母マリアとイエス・キリストのイコン(?)の間にある扉が聖所への入り口のようである。

聖ニコラはサンタクロースである。司祭であった時、貧しくて娘を売春させようとした商人の家に夜中に金を投げ入れて娘を守り、娘は晴れて結婚することができた。このことから、子供たちが枕元に靴下を置いて寝ると夜中にサンタクロースがやって来てプレゼントを入れてくれると言う習慣が生まれたと言われている。

で、コトル見物はおしまい。

岩礁のマリア教会

コトル旧市街の見物が3時半過ぎに終わり、今日の最後の観光予定の岩礁のマリア教会に向けてコトル湾を北上する。例によって、岩礁のマリア教会についての添乗員のお話;

‘ペラストと云う村の沖合に岩場があり、村の漁師の兄弟がその岩場に流れ着いた聖母マリアのイコンを見つけました、15世紀のことです。そのイコンは最初、村の教会に置かれていましたが、漁師や航海に出る人が多いペラストの村では、冬場にはブラが吹いたりするので漁や航海の安全を願う気持が強く、聖母マリアのイコンを見つかった場所に祀りたいとして岩場に石や岩を積み上げていきました。小さい島が出来て教会が建てられたのは17世紀のことでした’

30分ほどでペラストの町に到着、沖合には2つの小さな島が浮かんでいる。左側がセント・ジョージ島で修道院が置かれていて一般人は上陸出来ない、右手の島が岩礁のマリア教会である。

われらご一行様だけで満員になるようなボートで5~6分で岩礁のマリア教会に着く、丁度、同時に100人乗りくらいの遊覧船も着いて島は込み合っており、入場制限をしていても教会の中はごった返しの状態でガイドさんの説明は聞こえない。

中央祭壇にも副祭壇にも聖母マリアのイコンが祀られ、天井画も聖母マリア昇天の様子が描かれていて、さすが、聖母マリア一色の教会である。

安全のお礼に奉納された航海や漁の道具などが展示され、お金(ユーロ?)もさい銭箱に入れられているようだ。壁には金張りの額のなかに聖母(?)が描かれたものが掲げられている、ガイドさんの説明はよく聞き取れなかったが、中国の金と日本の絹が使われているらしい。

で、本日の観光はおしまい。コトル湾沿いを走った後、再びクロアチアに入国、ドゥブロブニク空港近くのツァヴタト(南スラブ人に追われてドゥブロブニクの岩場に逃げたローマ人はこの町に住んでいた)のレストランで夕食。2階のオープンテラス席で海を眺め、生野菜といわしのから揚げの前菜、さらだ、小えびのグリルでクロアチア旅行の最後を楽しむ。