カルデロヴァツ湖

大滝見物の後、先ほどのT字路を今度は真っ直ぐ進んでカルデロヴァツ湖畔の木道を歩く。
湖を見渡すと、沖合の方は青いと言うか、コバルトブルーのように見える。

海が青く見えるのもそうだが、太陽の光が湖面に入射すると波長の長い赤が水に吸収され、残った青が湖底まで進み、その青い光が反射されて湖面に出て目に映るのと、青い空の色が湖面に映るのとが一緒になって青く見えると言うことのようだ。

湖の透過率が高くて深度があると、深みのある青さに見え、湖底に苔や藻などが生えているところでは、青みに緑や黄色が加わりエメラルドグリーンなどに見えると言うことらしい。

湖面を何枚か撮ってから、後ろに目をやると、堰堤のあちこちからカスケード状に水が噴き出しているかのようである。草木が茂っているので堰堤を越えて流れ出しているのか、斜面の穴から流れ出ているのか分からない。ともかく、滝の流れも一様ではないようだ。

少し進むと、前方に上下2つの洞窟が見えてきた。一帯がカルスト地形なのであちこちに洞窟があるようだ。下の洞窟は‘青の洞窟’と呼ばれているらしいが、入口は殆んど水没しかけている。

かっては、奥まで舟で入れたそうだ。入口の辺りは舟が沈んでいるとも言われているらしいが真偽のほどは定かではない。

カヴァノヴァッツ湖

カルデロヴァツ湖のボード・ウォークが終わり、上から流れてくる滝を見ながら崖の麓に造られた地道の散策道を上がると、少し小ぶりな湖が目に入ってきた、カヴァノヴァッツ湖である。

湖の縁に立てられている杭の標識(この標識はあちこちに立てられていて、湖群全体の中での位置関係、その湖での入口なのか、中間点なのか、終点なのかが分かるようになっている)を見ると面積は0.9hなのでカルデロヴァツ湖の半分ほどである。また、標高が518mとあるので、さっきの滝の高さは14mくらいだったようだ。

湖面は幅が狭いこともあってか、木漏れ日を浴びる辺りはエメラルドグリーン、その先は青が軟らかく、ターコイズブルー、さらに対岸の断崖の下では輝くような群青、と様々に変化してほれぼれするように美しい。

ミラノヴァッツ湖

ミラノヴァッツ湖の面積は3h、下湖群のなかでは一番大きい。湖面の美しさもさることながら、湖と湖を繋ぐ大小の滝の風景がまことに好ましい。

カヴァノヴァッツのすぐ上の滝はミルカ・トルニノ滝と呼ばれている(ミルカ・トルニノはクロアチアが生んだ世界的なソプラノ歌手、彼女の寄付によってプリトヴィツェ湖群の木道など施設の整備が行われた)、その流れは浅く緩やかである。

4~5枚カメラに収めた後、階段状に流れる滝を眺めながら遊歩道を上っていると、奔流が迸るように流れ落ちる滝が現れた。緑のなかで白く輝く水の流れを見るのは何とも心地よい。

女性陣のなかには歩道から斜面に下りてベストショットを狙った勇敢な人もいたようだ。

下る人上る人で混雑する遊歩道を迷子にならないように気をつけながらミラノヴァッツ湖畔を進んでコジャック湖から流れる滝に向かうと、一帯は奥入瀬渓谷を思わせる雰囲気があって気分はいよいよよろしい。 また、対岸には豪快な滝が二流、三流と流れていてますます愉快である。

コジャック湖

コジャック湖の手前に設置されている案内板を指差しながら、ガイドのヤスナさんがこれからの予定について説明してくれた。添乗員の通訳では、コジャック湖の遊覧の後、上湖群にも少し足を伸ばすそうだ。なんでも、ガロヴァッツ(?)湖から流れ落ちる滝がすばらしいのでぜひ見てほしいとのこと。旅行社のスケジュールにない観光を付け加えてくれるのは貧乏人根性の者にはえらく得をした気分である。観光客に良い思いをして帰ってほしいというヤスナさんの人柄が伝わってくる。

さて、広めの樹間の遊歩道を5~6分歩いて遊覧船の乗り場P3に着く。コジャック湖の遊覧船の乗り場は3つあって、ホテルやレストランなどがあるP1、上湖群の遊歩道の起点になるP2、そして下湖群の遊歩道と繋がっているのがこのP3である。

コジャック湖の面積は82h、下湖群に比べれば圧倒的に大きい。つい、400年ほど前までは2つの湖だったのが合体して1つになったらしい。

われわれの年代でコジャックといえば、禿げ頭であくの強いテリー・サバラスが活躍する刑事ドラマが思い出されるが、この湖の名前の由来とは関係なさそうだ。この湖の別名は山羊の湖と言うらしい。

運よくあまり待たずに乗船、岸の辺りを振り返るとマスの仲間が群れをなして泳いでいる。 遊覧船は50人乗り、電動で動く。2つの湖であった名残なのか湖の真ん中に島があたりして何となく風情があるなと思ったりしていると13分ほどでP2に着く。

プルスタヴァッツ?滝

上湖群は下湖群とは少し違った趣である。船着場から少し上ると、ハイキングするような雰囲気の森の中に木道が続き、小さな池が連なった感じの湖には炭酸カルシュウムが付着して石化しかけた倒木があちこちに見られたりしてより自然が残っている感じである。

プルスタヴァッツ滝が人気があるのかアップダウンのある木道が縁日のような賑わいであるが、丸太を製材して作った感じの木道は段差が分かり難い。上りはまだしも下りは用心しておかないと足を取られそうになる。

そんなこんなで、押し合いへし合いしながらプルスタヴァッツ?滝の正面に回る。滝の高さは20mほど、トラバーチン(石灰華)が積み上がるには途方も無い年月を要したものと思われるが、滝の形も半円形をしたユニークなものである。ヤスナさんが自慢するのも分かる気がする。